2016年9月6日(火)は、久しぶりに東京・神田の全国交流うまいものサロン・なみへいへ。
7月9日(土)の熊本応援食事会以来です。オーナーの川野さんにその時のお礼。
月替わりの特産品メニュー、9月は長崎・対馬です。
前菜には、対馬名産・どんこしいたけの唐揚げ、芽ひじき(ひじきの芽の部分)の白和えなど。
野菜料理は、アスパラ、トマト、ナス、それに芽子にんにくの和風トマトソース。これらは岩手・金ケ崎町から直送されたものだそうです。おまかせ一品は鮭のムニエル。
そして、対馬産の焼き穴子。対馬は穴子の水揚げが日本一だそうです。
メインの鍋料理は、対馬地鶏を使った「いりやき」。冠婚葬祭など行事などの際によく振る舞われる郷土料理とのこと。地鶏のスープが最高です。
〆には、これに対州蕎麦(中国・朝鮮半島から伝わった日本の蕎麦のルーツだそうです。)を入れて頂きました。
今回もご馳走様でした。9月一杯、この対馬特産メニューが頂けるとのこと。
ちなみに来月(10月)は茨城・かすみがうら市と岩手・一関市、11月は長野・上田市と宮城・大崎市、12月は熊本・玉名市など被災地特集を予定されているそうです。
翌9月7日(水)は、銀座農業政策塾第5期の講座。
特定NPO法人銀座農業環境イニシアティブと農業情報総合研究所が主催するこの塾は、主として都市住民の方、専門家ではないけれども農業に関心のある方たちを対象に、農業や農村に関する実践的な知識を伝えようとするものです。
この日、開催された第4回のテーマは「新規就農を考える人のための農地法と農地取得」。
農業情報研究所の植村春香さんの司会により開会、塾長の高安和男さんからの挨拶に続き、谷脇修さんによる講義が始まりました。詳細な2種類のレジュメを準備して下さっています。谷脇さんは(株)農林水産広報センター代表取締役で、全国農業会議所で事務局長を務められていました。日本の農地制度についての第一人者の方です。(以下文責、中田)。
「この銀座農政塾で話をさせて頂くのは3回目。農地制度をめぐって様々な議論があるが、誤解による批判等もある。ぜひ理解を深めて欲しい。
基本的に重要なことは、土地は労働生産物ではなく、自然、有限の財であるということであり、生産や経済活動の基盤となる公共財であること」
「戦後日本の農地改革はGHQが行ったとされている。しかし実際には、地主、小作、第三者から構成され、地域における農地の所有・利用関係の実情をよく分かっていた農地委員会が取り組んだから実績を上げられたもの。
その結果、200万ha近い小作地が解放された。フランスでの土地改革が革命の流血の下に行われたのとは対照的」
「農地解放の結果、平均1haという零細な所有権が固定化されたことは間違いだったという議論があるが、これは一面的。当時は1haあれば農業で生活できた。さらに粒ぞろいの多数の自作農・家族経営が生まれたにより、生産力の増大と戦後の食糧難の克服、さらには経済成長の基礎や日本社会の安定にも貢献した」
「古代ローマでも、社会の安定のために特定の貴族が奴隷を使って大農園を経営することを規制していた。土地制度とは、2000年以上にわたる人類の叡智の上に成り立っている」
「日本の特殊事情として、バブル期を中心に土地が投機の対象とされたことがある。取引が自由な一般の土地と異なり、生産手段である農地は一筆毎に許可制が取られているというギャップのために農地制度が攻撃対象にされる面がある。しかし、収益性の低い農地を転用圧力から守るためには規制が不可欠」
(農地法、農業経営基盤整備促進法など農地に関連する法制度について説明された後)
「農地に係る規制は、本当に農業をやろうとする人、自ら耕す人にとっては決してハー ドルが高いものではないことがを分かって貰えると思う。
そもそもヨーロッパでは、国土(土地)は原則として開発禁止で、詳細な計画を立て許可された場合のみ開発できるという仕組み。土地は公共財であるという意識が強い」
「欧米でも(スケールは違うが)家族農業が基本。
家族経営は生産と生活・暮らしが一体だからこそ、地域に定住し、経営と文化が一緒に引き継がれる」
最後に「都市住民が農業に従事する方法」として、①農業経営者として自立、②農業法人等に就職(雇用就農)、③市民農園を借りる、④体験農園の会員となることの4種類の方法があり、このうち①については地域社会や農業者とのコミュニケーションの確保が課題である等の説明がありました。
続いて、銀座農業政策塾のメイン講師である蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所代表、農林中央金庫総合研究所客員研究員)から、ご自身のフィールドワークの拠点の一つであるで長野・伊那東部(高遠地区)で新規就農者された3人の方についての事例紹介。
同じ伊那東部でも置かれた地勢的・社会的状況により経営の形態は様々であること、Iターンの先輩のサポートや女性達の「つなぐ力」の大きさ等について紹介がありました。
最後に会場の参加者との間で質疑応答。
農業の専門家ではない方が多いのですが、農地の借り手側 (担い手)の権利保護の強化が必要では、新規に農地を取得しようとする者には厳しい要件が課されるということだが既存農家についてはどうか、農地中間管理機構の運用状況等の専門的な質問が出されました。
この後は、高くの居酒屋さんに移動しての懇親会。塾生の皆さんの中には、11月のグループ発表に向けて真剣に打合される姿も。
大都会・東京のど真ん中の銀座で、多くは農家出身でも農業の専門家ではない方たちによって日本農業の将来像について熱心な議論が続けられている姿に、励まされたような思いがした夜でした。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
(プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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