2018年3月11日(日)。東日本大震災から7年目の日は、東京・国立へ。
14時から開催されたのは「これからは里山の時代! チャリティートーク&ライブ」と題するイベント。会場の国立せきやホール・エソラは、100人ほどの参加者で満席です。
入り口で、ずんだ餅と七福茶を頂いて入場。
山形県中央部にある河北町(かほくちょう)の野菜や加工品の販売も行われています。
定刻となり、ライブが始まりました。
この日の出演者は、まずMilk[弥勒(みろく)]のお2人。
三線とピアノのユニットで、琉球や八重山諸島の歌や民謡をアレンジした曲を演奏されているそうです。
それに二胡奏者の岩本薫美子さんと、岩本さんの門下生の皆さん(ニコふれんず)。
進行役も務められた岩本さんは、この日の2人のトークゲストとの縁で千葉や山形に通って米や野菜作りをされるなど「半農半音」という新しい生き方を模索中とのこと。
「花~すべての人の心に花を~」「てぃんさぐぬ花」「涙そうそう」など。
三線とピアノ、それに二胡という珍しいコラボレーションにより、魅力的な音色が紡ぎ出されていきます。
14時30分過ぎ、1人目のトークゲスト・髙坂勝さんがマイクを取られました。
「時代は、これまでの経済成長至上主義からダウンシフトへと変わっていく境目にある。
多くの人が里山への移住を始めている。昨年9月に発表された京都大学と日立製作所のレポートでも、都市集中型ではなく地方分散型のシナリオの方が望ましいとしている」
「移住やナリワイ作りを手助けしている千葉・匝瑳(そうさ)では、300平米の田んぼで150kg(1家族分)の米を収穫することができる。お米を自給することをきっかけに、色々なことができると実感できる。
移住すると収入は減るが満足度は上がる。低収入でも安心して暮らせる世界を実現させていきたい」
時計の針が東日本大震災が発生した14時46分を指したところで、全員で黙とう。
続いて髙坂さんがギターの弾き語りを披露して下さいました。
曲目は『小さなトマト』(内田ボブさんの元曲を宮城愛さんがカバーしたバージョンとのこと)。
「小さなトマトや畑で十分なのに、なぜ人はがんばるの。有り余るこの幸せをともに分け合おう」
会場の隅々まで染み渡るような歌詞です。
また、店主をされている東京・池袋のオーガニックバー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」は、今月一杯で閉じられることも報告されました。
続いて登壇されたのは、河北町で総菜店(デリカコンタ)や農家民宿(畑宿)を経営されている今田(こんだ)とも子さん。
傍らには河北町の特産品・紅花の鮮やかな反物が飾られます。
「家族の都合で東京から出身地の河北町に戻ったが、米価は安く、生活のためにおにぎりにして売ることを始めた。現在は10人ほどのメンバーで、必要以上に儲けようとせず、楽しく活動している。民宿も、みんなが楽しんでくれる場所になっていくことを期待している」
最後に、河北町の歌(『リパブリック讃歌』の替え歌)を披露して下さり、会場は盛り上がります。
後半の演奏は「早春賦」「海は命の宝物」(Milkさんのグランプリを受賞曲とのこと)、「糸」など。
アンコールの一曲目は「安里屋ユンタ」(ちむちむさんが踊って下さいました)。そして最後は「花は咲く」。
東日本大震災と原発事故は、多くの人々にとってライフスタイルや価値観を問い直すきっかけとなり、里山への移住や田園回帰の動きが加速しています。
一方で、7年が過ぎても7万人以上の避難者の方がおられるのも現実です。
「花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう」
7年目の3月11日。心に残るイベントでした。