お米を買うのに「通帳」が必要な時代がありました。
「豆知識」欄でも紹介したとおり、戦争が拡大するなか、国内の農業生産が次第に停滞・減少し、同時に朝鮮等からの輸入も困難となったことから、日本は深刻な食糧不足に直面することとなりました。
このようななか、太平洋戦争の最中の1942(昭和17)年に制定されたのが食糧管理法(食管法)です。
これは、米、麦、イモ等の生産・流通・消費を国家一元的に管理することによって、食糧を国民が平等に入手できるようにすることを目的としたものでした。
生産者には公定価格による政府への売渡(供出)義務が課され、販売には許可制度が設けられました。そして、全国の消費者は、米穀通帳がなければ米を購入する(配給を受ける)ことができなくなったのです。
しかし、このような強力な国家統制によっても、戦中・戦後の国民に十分な食糧を供給することはできませんでした。配給の量や質は次第に悪化し、配給日には長蛇の列ができたそうです。
戦後に入って米が生産過剰基調となるなか、食管法は(米穀通帳も)1995(平成7)年に廃止されました。
食糧を安定供給するという役割は、民間主導の仕組みを導入した「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法)に引き継がれています。
[参考]
昭和館特別展示「戦後復興までの道のり-配給制度と人々の暮らし」
http://www.showakan.go.jp/events/kikakuten/past/past20110723.html
────────────────────
出典:フード・マイレージ資料室通信 No.150
(配信登録もこちら)