
−原田マハ『生きるぼくら』(2015.9、徳間文庫)−
https://www.tokuma.jp/book/b496237.html
高校時代にいじめにあって引きこもりとなった主人公は、24歳になった今も、昼夜パートで働く母親(父親とは離婚)に寄食中。毎日の食事はカップ麺とコンビニおにぎりばかり。食事とは、死ななければいいだけの「日常業務」にしか過ぎませんでした。
ある日、突然、母が蒸発して途方に暮れた彼は、母が遺した年賀状を頼りに、長野・蓼科の祖母を十数年ぶりに訪ねます。
ところが祖母は認知症を患い、彼の顔も名前も分かりません。それでも食べさせてくれたおにぎりやみそ汁の美味しさが、閉ざされていた彼の心を徐々に開いていきます。… 続きを読む