あれから1カ月が経過しました。
しかし、未だ1万人を超える方が行方不明で、かつ福島原発事故は終息に向けた目立った前進も無く、事態は現在進行形と言わざるを得ません。言葉の軽さを痛感しつつも、被災されている方々に改めてお見舞いを申し上げるほかありません。
東京では先週半ばから暖かくなり、桜も一気に満開となりました。
通勤途中にあるH市立第五中学校横の桜並木です。
ここの生徒達と先生方は、毎朝、道路を箒で掃除していて、通りがかる人にはいつも大きな声で挨拶をしてくれます。去年の秋から冬、毎日大量の落ち葉を降らせて生徒たちを困らせた桜並木は、今は生徒達を祝福するように満開の花をつけています。
先週は、都内で開催されたいくつかのイベントに参加しました。
6日(水)の昼休みは、竹橋のちよだプラットフォームスクウェアで開催された「ちよだ青空市」を覗いてきました。これは、東京のど真ん中から地方を応援しようと、毎月1回、農産物など地域産品の物産市が定期開催されているものです。そして今回は、「頑張ろう、日本!ちよだ青空市」と称し、被災地応援イベントとして開催されました。福島応援ブースも設置され、ボランティアの方たちが募金活動と農家への応援メッセージ受付の活動をされていました。多くの人たちで賑わっていました。
8日(金)の夕方には、地球サミット2012 Japan 主催による「今、フクシマで起こっていること」と題する報告会が水道橋でありました。
南相馬市、相馬市、飯館村にニーズ調査とボランティアに行かれていた佐野淳也先生、中村弘さんからの生々しいレポート、さらに福島から来られたNPO法人「元気になろう福島」の本田紀生事務局長からの現地の状況の報告には、さんざん報道等で知らされているはずの現実について、改めて身につまされる思いがしました。
ご本人もまだお若い佐野先生からの最後の言葉、「若い人たちに現地に行ってもらいたい、そしてその若い人たちが必ず日本を再生してくれるはずだ」、との言葉が胸に響きました。
土曜日は所用があったついでに、東京駅八重洲にある福島県のアンテナショップ「観光交流館」に立ち寄ってみて驚きました。
ものすごい人で、混雑のため、入場制限の列までできています。店内のレジもすごい行列です。
日本人は、食の安全性に対して極めて神経質な面があります。輸入農産物の残留農薬や偽装表示には強い拒否反応を示します。今回も、福島県産の農産物等について、出荷制限されていない品目まで取引が停止されたり売れなくなっているといった事件も報じられています。
しかし、その一方で、青空市やアンテナショップの盛況ぶりを目の当たりにすると、日本の消費者は、国内で困っている産地や生産者を応援しようという気持ちも、また、強いことが分かりました。いわゆる風評被害を軽減していくのは、消費者一人ひとりの気持ちと行動しかありません。それは、特に福島原発の恩恵を一方的に蒙ってきた首都圏の消費者(もちろん私もその一人です。)の責任でもあるし、さらには日本全体の消費者が確実にできることでもあります。
野火止用水の土手は紫色の花大根で彩られています。
日比谷公園の菜の花も満開です。
まずは駅近くの「ヴァン ドゥ リュ」でランチ。ここのシェフは一見、愛想はありませんが料理は絶品です。豚肉のソテーの白ワインソースがけ、季節の野菜の煮物、手作りのケーキとコーヒーまでついてランチ1000円、カウンターだけの小さなお店はすぐに満席、入れないお客さんが何組もおられました。
そして桜の名所、小金井公園。
都知事の「花見どころではない」発言もあり、自粛ムードかと心配しましたが、家族連れやグループで大変な人出でした。
さすがにドンチャン騒ぎをする人たちはいませんでしたが、それでもアルコールも入りつつ、人々は満開の桜の下で談笑しています。お母さんに叱られつつ、裸足で土の上を走り回る小さな子ども達の頭上に、はらはらと花びらが落ちてきます。
今年も小金井公園には春がめぐってきました。花見もできました。当たり前のような春が、今年ほど有難く思えた年はありません。
これから東北の被災地で咲く桜が、少しでも被災された方々の慰めになることを祈らずにはいられません。
惨禍を前に、フード・マイレージなんか何と生ぬるい、まだるっこしいことかと、しばらく気持ちも沈んでいました。しかし、そろそろ私も活動を始めなければ、という気持ちになってきています。
原発に象徴される集中型巨大技術に依存する社会の仕組みを、分散型・循環型の社会に変えていくことが、今回の震災が私たちに課した重い重い宿題です。フード・マイレージの考え方も、そのために少しは役立つこともあるのではと、考えています。
ところでこの日の阪神ではもう一つの「桜」。春のクラシック第1弾、まず1敗目。