3月20日(火)の春分の日は快晴。風は強くテレビの花粉情報は真っ赤。マスクと目薬装備の上、夥しい瘴気の中、メーヴェならぬチャリンコで出撃。
日暮里・舎人ライナーの西日暮里駅近く、緑色の幟が風にはためいています。
近づいてみると「東京農業大学 城東常磐松会」の文字。ここが先日、SOLAの報告会で話を伺った中森剛志氏が経営されている「農業八百屋SUNDINO」です。
SOLAの報告会についてブログを書くためにネットを見ていたところ、この日は「八百屋談義」が開催されているとのことで、顔を出してみることにしました。定休日である祝日ごとに開催されているそうです。
所狭しと野菜や果物、卵が並べられている店内の一隅に、10名ほどの参加者の方達が車座になって「談義」中です。テーマは消費税、原発、TPPなど。
参加者は農大のOBで城東常磐松会の髙村理事長、「すみだ青空市ヤッチャバ」を展開する松浦さん。
それに一般の主婦の方や社会人1年生の女性の方も。以前、フード・マイレージ セミナーに参加して下さっていた方も見えられていて驚きました。
山梨で農業をされている方や宮崎で地域おこしをされている方など、遠方からの参加者も。
ちなみに午前中は、地元選出の代議士も全国ネットのテレビクルーを引き連れて参加していたそうです。
私は遅れて参加しましたが、真面目で、ありきたりではない意見が熱心に交わされていました。TPPについても色々と議論されましたが、政策は政策として、まずは自らの実践が大事ということで、何となくまとまりました。
もちろん地域に入るなどして実践をされている方は素晴らしいのですが、それは誰にでもできることではありません。
一方で、意識が変わりつつあるフツーの消費者も増えつつあります。そのような方達にとって、生産者の顔が見える農産物等を買うことができる「農業八百屋SUNDINO」のような店舗が近所にあることは、大変、貴重なことです。さらには、近所の方を中心に「談義」等のコミュニティのスペースともなっているのですから、中森さんの活動は色々な意味で意義深いものです。
SOLA報告会での講演によると、中森氏は都内で50店舗を展開する構想をお持ちとのこと。明日、卒業されるという現役大学生が立ち上げた「農業八百屋」の今後の発展拡大に、期待したいと思います。
14時に終了予定だったのが、話が尽きずに15時位まで。急いで銀座に向かいます。
数寄屋橋のビルには「東日本復興応援プロジェクト from 銀座」の看板。
東急不動産(株)が銀座TSビルに「東日本復興応援プラザ」を開設しています。その1階は被災地アンテナショップ「銀座いきなり市場」、2階が情報発信のイベントスペース「銀座ひろがれ舞台」です。
昨年12月、「呑みマス!ニッポン」でお会いした「気仙沼コンシェルジュ」のSさんから復興応援プラザのことをお聞きし、数日後の昼休みに出かけたところ、偶然、気仙沼市出身のHさんにお会いして名刺交換しました。
Hさんは「被災地へピアノをとどける会」との共催により、毎月1回、「数寄屋橋音楽会」を企画・開催されています。
Hさんからは毎回案内を頂いていたのですが、この日の4回目、被災地出身の演奏家等による「ご支援ありがとうコンサート」に、ようやく伺うことができました。
SUNDINOで求めてきた苺(とちおとめ)を差し入れさせて頂きました。
イベントスペースには、支援の寄せ書き、震災直後から現在までの復興の様子を映したパネル、地元の新聞等が展示されており、中央にグランドピアノが据えられています。
この日のプログラムは、バイオリン、ピアノ、サクソフォンによるクラシックや日本の唱歌の演奏。
合間には、出演者から被災当時の体験等が肉声で語られました。例えば、相馬出身のサックス奏者の方は、当日、演奏旅行で仙台に向かっていて電車の中で被災、幸い無事でしたが、もし一つ前か後の電車に乗っていれば脱線するか津波で流されたとのこと。
続いてステージに立ったのは、宮城県立気仙沼高校1年の小野寺正法さん。
自宅もピアノも津波で流されましたが、震災後、声楽とピアノのコンクールで上位入賞されたとの紹介がありました。
曲に先立ち、準備してきたメッセージを読み上げてくれました。
気仙沼では千人以上が死亡又は行方不明、全ての人が親しい人を失ったという現実があり、自らも叔父と、高校で同級生になるはずであった友人を亡くしたとのこと。ところが、そのように命の大切さに気づかされたはずなのに、日本では毎年3万人もの自殺者が出ている。命は多くの人と共有されているもの。それを決して自殺などで失ってはならない、との思いを、時にこみ上げてくる嗚咽をこらえつつ、切々と、かつ力強く訴えられました。
そして自作の「この町を通れば」(初演)を熱唱。その歌詞の一部です。
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命があればこその
別れならば乗り越えられるから
乾いたため息を今は飲み込んで 歩きだそう
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深い感動が会場を包みました。その様子を言葉にする表現力を、私は持ち合わせていません。
実行委員長のHさんのブログからの引用です。
「私たちスタッフも涙をこらえることができませんでした。彼は震災の耐えがたい悲しみと絶望感をのりこえ、被災地以外に暮らす私たちに、自分の与えられた命を生き抜くことの大切さを伝えてくれました。」
被災地の皆さんのことを忘れることなく、エールを送り応援し続けることも、もちろん大事なことです。
それと同時に、今、生かされている私たち自身が、命を大事にする社会をみんなで創り出していくことの大切さも、小野寺さんは教えてくれました。しっかりと受け止めなければなりません。
小野寺さん始め出演者の皆様、Hさん始め事務局の皆様に、心から感謝したいと思います。
今日、西日暮里の八百屋さんに集まった方たちも、数寄屋橋の復興応援プラザを拠点に活動されている方たちも、人と人とのつながり(地域の人同士、農家と消費者、農山村と都市、東京と被災地等)を、もう一度築き直していく活動に取り組んでおられます。
そのような活動が、命を大事にする社会を創っていくことにつながるものと思います。
さて、21日(水)はセンバツ高校野球が開幕。
昨年は開催自体が危ぶまれましたが今年は入場行進も。そして、選手宣誓のくじを引き当てたのは石巻工業高校の阿部翔人主将。
「日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔。いま野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。」
“命あればこそ” への4件の返信
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中田さん
八百屋談義ご参加、ブログ掲載
ありがとうございました。
中森です。
本当に、命あればこそ、僕が八百屋を始めるきっかけになったのは、まさにそこなんです。ずっと途上国の問題やフェアトレードに関する活動をしていた僕が、ローカルの極みである日本農業、町の八百屋へと舵をきったのは、周りに苦しんでいる人が多過ぎたからです。途上国の心配も大事だけれど、目の前で苦しみ命を削っている人がいる。
そこから目をそらせなかった。資本主義、合理主義大好きですが、失ってはならない、育まなければならない目には見えない何か、それを守るためのビジネス、社会構造を創るのが、僕の使命だと感じています。
またお誘いしますので、よろしくお願い致します!
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伺いたかったです、残念。でも、現代はこのようなブログで色々と、人、地域、思い、が繋がります。中森様、一度お話伺いたいものです。
本当に、中田様ブログ掲載有り難う御座います。中森様私、すぐ動きたいタイプです、よろしく。
経堂マラソンしかけた方と今、横浜、世田谷、墨田と青果持って、走ろうと。各地の農家等巡ろうと。
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ご来場ありがとうございました。
サクソフォンを吹いていた鴫原と申します。
聞きにいらしてくれた方々にどのように伝わったか不安でしたが、こちらの記事を見つけ少しホッとしております。
私は仙台でこれからも頑張っていきますのでご支援のほどよろしくお願いいたします。
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鴫原 葵 様
コメントを有難うございました。
サクソフォンの音色は、奥深くて柔らかく、人間の肉声にも似て素敵ですね。
皆様から直接お伺いした震災当時の様子等には、胸が締め付けられる思いでした。
一方、演奏は本当に素晴らしく、また、勇気づけられました。
命があればこそ、の思いを胸にしっかりと受け止めていきたいと思います。
さらなるご活躍を心から祈念しています。
> ご来場ありがとうございました。
> サクソフォンを吹いていた鴫原と申します。
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> 聞きにいらしてくれた方々にどのように伝わったか不安でしたが、こちらの記事を見つけ少しホッとしております。
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> 私は仙台でこれからも頑張っていきますのでご支援のほどよろしくお願いいたします。