とうとう師走に入ってしまいました。
もっとも旧暦だと、まだ神無月(10月)半ばです。今年は閏弥生(三月)があったため、日付のズレも大きくなっています。
12月1日(土)は、久しぶりに山梨県上野原市の西原(さいはら)へ。
「しごと塾さいはら2012」の秋そばづくりプロジェクトの第5弾、題して「山はクリスマスイルミネーション☆」の日です。
しごと塾さいはらとは、池袋のNPOの活動から2010年に生まれたプロジェクトで、地元の「NPO法人さいはら」等と協働し、「まちからむらへ通い続けるきっかけ・しかけ作り」に取り組んでいます。
1年を通じて様々な農作業体験、地元の祭りへの参加とお手伝い、古民家を活用したコミュニティハウスの活用、ハイキングなど、様々な活動を楽しんでいます。
朝10:10にJR中央線の上野原駅に集合。晴れてはいますが風が冷たい日です。
2台の自家用車に分乗させてもらい、曲がりくねった山道を1時間弱で西原に着きます。回りを山で囲まれた盆地は、吹く風までが穏やかに感じられます。
東京等から来た10名ほどの参加者は、まず、地域の観光交流拠点である「びりゅう館」へ。
ここは、食堂と直売所を兼ね、体験活動の会場やギャラリー等にもなる会議室がある施設です。
入り口脇には、様々な雑穀が吊るされています。館内には「とうみ」も展示されており、地元の野菜や加工品が販売されています。
郷土料理の「せいだのたまじ」(小ぶりのジャガイモを甘辛く煮付けたもの)も。
着替えた後に、この日の午前中のメニューである大豆の脱穀作業に取りかかりました。
この大豆も、しごと塾の行事の一環で植えたものです。
刈り取って乾燥しておいたものを、木づちやビール瓶で叩いて脱穀するのですが、なかなか力の加減とコツが必要な作業で、うまく豆を取り出せません。
いつもお世話になっている地元の農作業の先生、もりおさんに指導して頂きます。
黒ずんで乾燥したさやが割れると、中から黄色味を帯びた白い豆が飛び出してきます。普通の大豆よりは、やや小ぶりの地大豆で、「せんごく」という品種だそうです。
映画「よみがえりのレシピ」ではおばあちゃんと孫が大豆を踏んで脱穀する場面が出てきたのを思い出しました。
集めた豆を、何度かふるいにかけてごみを取り除きます。
これを味噌に加工することが、来年のしごと塾の体験メニューの一つになる予定です。今度は納豆作りにも挑戦してみたいという参加者も。
13時にお楽しみの昼食。
びりゅう館の食堂では、通常も蕎麦(蕎麦打ち体験もできます。)や「せいだのたまじ」等の郷土料理を頂くことができますが、この日は特別に旬のメニューを準備して下さいました。
黍ご飯(西原には雑穀づくりの名人もいらっしゃいます)。季節の野菜がたっぷりと入った味噌汁。大ぶりの大根を手羽元と煮付けたもの。里芋。ヤーコンと人参の天ぷら。高菜漬け等。そして刺身こんにゃく。
手作りのこんにゃくは、味も食感も市販のものとは全く異なり、ねっとりとして深く甘い味です。
午後は「冬伏せ」という作業です。
古民家を改造したコミュニティハウスへ。途中、しごと塾に参加していたメンバーの一人、若い男性が、東京での仕事を辞めて西原に移住することを決めたという話を聞きました。
すでに移住された方の中には、現在はびりゅう館のスタッフとして、様々なイベントの企画や運営、ブログによる情報発信等に携わっている女性の方もおられます。地元の男性と結婚された方も。
私は参加しなかったのですが、9月のしごと塾では、コミュニティハウスの裏山の芝やススキを刈り取って束ね、コミュニティハウスの庭に立てかけておく作業をしました。
この日、適度に乾燥したこれらの束を担いで、いつもの活動拠点である畑に向かいます。
今年一年、先ほどの大豆「せんごく」や蕎麦、落花生、ヤーコン等が植えられ、多くの実りをもたらしてくれた畑も、今は何も植えられていません。
この畑に、刈った草をすき込む作業が「冬ぶせ」です。
地味ですが、土づくりのための大切な仕事です。かつては多くの農家で行われていた作業も、近年は労力がかかるため、あまり行われていないそうです。
三本鍬(くわ)で溝を掘り、ここに刈った草を入れて踏みこみ、今度は畝を立てるように脇から土を被せていくという、一見、単純にみえる作業です。
もりお先生は、いかにも簡単そうに、しかもスピーディーに作業されましたが、実際に鍬を持ってみると、鍬を入れる方向と距離など、難しいものです。一人ひとり、もりお先生に手ずから指導して頂きます。
ようやくコツが分かりかけてきたところで16時が過ぎ、暗くなってきたため、この日の作業は終了しました。
結局、終わったのは3分の1ほどで、後は2日目も参加される方たちに委ねることになりました。
びりゅう館に戻って着替えや買い物。
そしてこの日は、これから大きなイベントが予定されていたのです。
丸山は、地域のほぼ中央にある姿の良い小高い山で、西原のどこからでも臨むことができます。
地元有志「丸山クラブ」の皆さんにより登山道が整備され、頂上近くには休憩所やハンモックが設置されています。晴れた日のここからの眺めは絶景です。
暗くなった山道を、丸山を望める山の中腹にある広場に向かいます。
休憩所とテントの脇では火が焚かれ、すでに多くの人が集まっています。
そして、その瞬間がきました。
17時ちょうど、山の端にはまだ明るさが残る中、真っ黒だった丸山にイルミネーションが点灯されたのです。
シンボルである1本杉は光のツリーになり、その脇には「2012」の文字。
山腹にはリボンの飾り。デザインは地元の小学生達から募集しているそうです。
焚き火にあたりながら、豚汁や甘酒、ビールや日本酒を振る舞って頂きました。
丸山クラブの皆さんが呼びかけ、地域住民等の寄付により運営されているこのイベント、今年で4年目だそうです。自分たちが楽しみたいからやっていると語られる丸山クラブの皆さんの笑顔が印象的した。
中山間、条件不利、限界集落など、農山村の厳しい現状を表現する嫌な言葉はたくさんあります。
しかし、ここ西原地区では、イルミネーションのみならず、地域の祭りや神楽も行われているなど、地域外の移住者も含めたコミュニティが、しっかりと根を下ろしているのです。
都心の大規模なものとは違い、地元の方達による手づくりのイルミネーションを眺めていると、冷え込んできた気温とは対照的に、心は温かくなるように感じられました。
来年1月13日までの毎日、17時から21時まで点灯されるとのこと。
大晦日からお正月にかけては、サプライズも仕掛けられているそうです。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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