2013年1月14日(月)の成人の日は、強い雪になりました。新成人には気の毒です。
鉄道や高速道路など交通にも大きな影響。全国高校サッカー決勝戦も、中山競馬も中止。
庭のサザンカの木に降り積もる雪に、枯れ残ったカラスウリの橙色が映えています。
この日付けの朝日新聞のトップ記事は、避難先で授業を再開している福島県・双葉郡と飯舘村の小学校には本来の17%しか児童が戻らないとの記事。
福島地方では、さらに強い雪が降っているようで心配です。
先週の火曜日、2013年1月8日の夕方、「トーキング サークル Vol.7 -福島移住し復興支援に中る佐野淳也さんをお招きして-」と題するイベントが開催されました。
場所は、世田谷区経堂の農大通り近くのマンションの1室です。
佐野淳也さんは1971年徳島市の生まれ(私と同郷です)。
日本福祉大、一橋大社会学研究科を修了後、徳島県上勝町のまちづくり会社、立教大学大学院特任准教授等を経て昨年5月から福島市に移住。しあわせ社会デザイン研究所の代表、「東北コミュニティの未来・志縁プロジェクト」の共同代表でもあり、福島県など被災地での「対話による未来づくり」活動の支援及び研究を行なっておられる方です。
この日のイベントの主催者は、佐野さんと親しいセラピストの方。そして、現地・福島の生の声を聞きたいと、若い方を中心に13名が集まりました。
マクロビ鍋と自作の梅酒、さらに飲み物を持ち寄っての新年会を兼ねたイベントで、食事も懇談も進んでいるところに1時間ほど遅れて到着。
参加予定者が揃ったところで、映像を交えながら佐野さんの話が始まりました。
豊かな自然と伝統文化に恵まれた福島県南相馬市は、震災と原発事故で7万人以上いた人口は一時1万人に減少。放射能汚染はチェルノブイリほど深刻ではないものの不安は消えない。それでも前進するために、2012年2月、対話の場を作ったとのこと。
「メッセージ・ツリー」に寄せられた子どもたちの声・・・海や川で遊べるのはいつですか、国道はいつ全面開通しますか、いつ友だちが帰ってきますか、じいちゃん家のすいかをたべても大丈夫ですか、等々・・・。
そして、人と人とのつながりの大切さ、自分自身で考えることの大切さ等を学んだ人たちが、「脱受け身」で復興に取り組み始めている様子が紹介されました。
また、通信社を退職し、いわき市に移住された元記者の方の寄稿文が、現在の福島の複雑な状況を的確に言い当てていると、紹介がありました。
福島でも地域、年齢や立場、置かれている境遇等によって大きく状況が異なり、「分断と対立」を生んでいること、大勢の見知らぬ人に踏み荒らされていると感じ排他的になっている人達もいること。
それでも、未来への希望の光が見えない中で、一部の市民達が新しい歩みを始めていること・・・、新品種など付加価値をつけた野菜の生産、故郷の地域を見直す「デザイン」づくり、エネルギーの地産地消を目指す電力会社の設立、等々・・・。
佐野さんは、大切なのは福島中から内発的に生まれる解決へのアクションと、そこから導き出される新しい社会であって、外部の支援者によって一方的に持ち込まれる解決策ではないと強調されました。
そして、それぞれの被災地で起きている多くの意味のあること、大事なことを、より多くの人に知らせる活動をしたい、その深い意味を研究して社会に届ける仕事もしたい、とまとめられました。
引き続いて鍋をつつきながらの意見交換。鍋料理だけに、なかなか熱い中身です。
参加者から様々な質問や意見が出されましたが、その中で印象に残ったのは、「平和呆け」している都会で、どのように被災地のことを我がことに引きつけて考え行動することができるか、との質問に対して、
「復興とは被災地を支援することだけではない。今回の震災・事故を教訓に、そこに住む人が主人公となる街づくりが本当の意味でのこの国の復興。緊急支援の時期は過ぎ、これからは、細く長く、復興の意味を考え行動していくことが大事」との答でした。
今回の震災・事故で傷ついたのは、もちろん濃淡は大きいものの、福島など被災地の方たちだけではありません。日本中の私たち自身、それぞれが復興が求められているのです。そして「本当の意味での復興」とは、私たち自身、身の回りの地域を、どのように作り直していくかということ。
私自身は、佐野さんのお話をこのように受け止めました。
ところで1月7日(月)付けの日本経済新聞1面のコラムに、「上総堀り」の話が掲載されていました。
千葉県に伝わる伝統的な井戸掘りの技法が、NPO等の取組もあって水の確保に悩む東南アジアやアフリカで広がりつつあるとの内容です。
上総掘りは、原発に象徴される巨大テクノロジーの対極にある技術のはずですが、よく読むと、「苦しんで生み出した技術は、(途上国で歓迎され)きっと大きな花をつけるはず」との結論は、原発輸出を意識したものと感じられてしまうのは、日経に対する偏見でしょうか。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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