去る5月21日(火)は二十四節季の「小満(しょうまん)」でした。
草木は枝葉をますます生い繁らせ、蚕は盛んに桑の葉を食べるという季節です。一年のうち、最も生命力にあふれた季節を迎えています。
田植えの季節でもあります。
その日の日本経済新聞1面には、IC乗車券の普及等で膨らむ「ビッグデータ」の活用が、新事業創出の「苗床」になるとの見出し。
流行りの「ビッグデータ」と昔ながらの「苗床」という言葉のコントラストが面白く、また、日本では稲作を始めとする農業に関わる言葉が慣用句として根付いていることを改めて感じました。
23日(木)夕方は、久しぶりに「農業ビジネス研究会」にお邪魔しました。
日本橋川沿いのビルの上には14日目の月。今夜はメルマガの配信の準備をしなくては。
時の流れを感じる一助にと旧暦1日と15日の日(新月とほぼ満月の日)にささやかなメルマガを配信しているのですが、自分自身も月の満ち欠けを意識するようになりました。
会場はいつもの東京・竹橋の「ちよだプラットフォームスクウェア」。
千代田区の「SOHOまちづくり」のための拠点施設で、貸し会議室やレンタルオフィス等を備え、定期的に各地の特産品を扱う直売市も開催しています。
さて、この日の農業ビジネス研究会のテーマは「日本酒をいかにグローバルマーケットへ売り込むか? ~Sakeから観光立国 酒蔵ツーリズムの提唱~」。
30名ほどが参加。
主催されているのは、行政書士・司法書士や経営コンサルタントの方たちのグループ「戦略経営研究会」と、NPO法人農業情報総合研究所です。
そのような方たちが農業について定期的に勉強会をされているということ自体も驚きですが、毎回、農業関係者以外にも、幅広い方たち(会社経営、商社勤務、銀行系シンクタンク、公認会計士等)が参加されているというのが、この研究会の魅力の一つです。
この日の講師は平出淑恵(ひらいで・よしえ)さん。
酒サムライコーディネーター、IWCアンバサダー、株式会社コーポ・サチ代表取締役といった肩書をお持ちの方です。
NPO農業情報総合研究所理事長の植村春香さんの司会により、研究会は、平出さんの「空飛ぶソムリエ第一世代」という自己紹介から始まりました。
新卒でJALに入社後、国際線の客室乗務員として月20日間は海外という生活を28年間続けられたそうで、趣味は観光と食べ歩き。1992年にソムリエの資格を取得されたとのこと。
そして、海外のワイン専門家たちと交流の中から、日本酒の価値と可能性に気づかれたそうです。
ワインの風味や品質は、「テロワール」という言葉があるとおり、産地の気候や土壌によって大きく異なります。
日本酒もワインと同じ醸造酒。日本酒は日本そのもの、ワインの分かる人には日本酒の価値も分かるはず。それなのに輸出額や世界における認知度はワインにはるかに及ばないという現実。
そこで、2006年に「いてもたってもいられず」社外活動を申請し、全国の若手蔵元による「酒サムライ活動」に参画されるようになったそうです。
平出さんの尽力もあり、世界最大規模のワインコンペティション「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」に2007年からSake部門が創設されるなど、次第に海外での認知度は上がりつつあります。外務省では、新任大使に日本酒の講習会を開催しているようになっているそうです。
また、佐賀・鹿島市では、2011年にIWCの最高賞を受賞したことをきっかけに「酒蔵ツーリズム」が始められ、今年3月(2回目)には、5万人が来場したとのこと。
海外での認知度向上や輸出への取組が、国内の地域活性化にも大きく貢献しているのです。
なお、この日は事務局が、その「鍋島」と、2013年にゴールドメダル受賞の「本洲一」(広島・梅田酒造場)を用意してくださり、勉強会終了後に試飲させて頂きました。
JAL退職後の2011年に株式会社コーポ・サチ設立。
民間団体や行政と幅広く連携しつつ、豊富な国際経験と人脈を活かして「Sakeから観光立国」へのチャレンジを続けられています。
「日本酒を通じて日本の文化や地方を世界に紹介したい」と話される平出さんの、ますますのご活躍に期待したいと思います。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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