高円寺・うおこう落語会は茄子とともに

2013年8月10日(土)、表参道からメトロとJRを乗り継いで高円寺に着いたのは16時半過ぎ。
まだまだ暑さは収まる気配もありません。
北口から歩いて3分ほど、庚申通り沿いにさかな料理専門店「うおこう(魚浩)」の2階では、恒例の落語会が開催されていました。
うおこうの女将・松井つるみさんに、自宅の市民農園から担いできた野菜をお渡しして階段を上ります。
前座さんの出番はすでに終わり、メイン出演者の立川吉笑(たてかわきっしょう)さんの1話目が始まっていました。
(イベントの掛持ちは、両方とも中途半端になってしまいます。)
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松井さんは本当に幅広い活動をされていますが、地元在住の若手噺家さんを応援する意味も込めて、落語会も企画・開催されています。
江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座」(江戸コン)を受講された松井さん、吉笑さんに江戸東京野菜を題材にした落語の創作を依頼し、それでできたのが『大根や騒動』。私がここの落語会に参加させて頂くきっかけとなった噺です。
130810_12_convert_20130815222244.png その立川吉笑さんはまだ20代。昨年4月に異例のスピードで二ツ目に昇進した天才肌の噺家さんです。
高円寺でのアパート住まいの様子を面白おかしくマクラにした後、この日の最初の演目は『粗々茶(そそちゃ)』。
八っつぁんとご隠居という伝統的な設定の下、言葉遊びのような掛け合いがスピーディーに展開していきます。
中入り(休憩)の時に、松井さんがたくさんの茄子をザルに盛って来られました。
130810_13_convert_20130816063748.png 私が持参した長岡巾着茄子と仙台長茄子。それに、大ぶりな愛媛の絹かわなす(松井さんは愛媛のご出身です。)と小さな寺島ナス(江戸東京野菜)。一般的に流通している千両も添えられています。
時間つなぎに茄子の説明を、との女将からの突然の指示。
この日の観衆の多くは面識がない年配の方達で、数少ない顔見知りの一人は料理研究家。それでプロの噺家さんの合間に話すという大変な逆境の中です。
茄子には多くの伝統品種があるものの規格が揃わない、栽培しにくい等の理由から生産が減少してきた中、最近は価値が見直されて各地で普及の取組が拡がっていること等について、話させて頂きました。
汗顔の至りでしたが、皆さん、興味深く聞いて下さいました(と思います)。
後半の吉笑さんの演目は『舌打たず』。
こんどは八っつぁんが、舌打ちと表情の組合せから自分の気持ちを当ててみろと、ご隠居を煙に巻く内容です。表情を活かした噺の醍醐味は、小規模なライブならではです。
130810_11_convert_20130814005003.png 落語会の後は、いつも通りお楽しみの懇親会。
ところでこの日、壁には額縁に入った多くの絵が掲げられています。先日、急逝された画家、岩本晶さんという方の遺作だそうです(帰り際に奥様から絵葉書を頂きました)。
実は、岩本さんは松井さんの大学(水産関係)の同級生だそうで、この日は、落語会を兼ねて遺作展を開催するということで、多くの同級生の皆さんが参加されていたのです。
奥様からご挨拶、さらに同級生の方から亡くなった友人の思い出が語られ、しばし、会場はしんみりと厳粛な空気に包まれました。
しかし、乾杯が終わって懇親会が始まると雰囲気は一変。底抜けに明るく賑やかな、オジサン達の同窓会が始まりました。
料理は、まずはお造り、大きなマグロの鎌焼き、鮭のチャンチャン焼きなど。さすが魚の専門店です。
茄子は素揚げにして、味比べができるように出して下さいました。
料理研究家の方は、私が育てて持参した(育ったのは自然の力ですが)長岡巾着茄子も美味しいと言って下さり、嬉しく思いました(優しい方なので、お世辞も入っていたとは思いますが)。
同級生の方の一人が持参して下さったのは、静岡・焼津の日本酒「磯自慢」。初めて頂きましたが、きりっとした喉ごしで美味です。
「金婚」(豊島屋酒造、東村山市)の濁り酒等とともに、美味しく頂きました。
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偶然、隣になった方は墨田区業平で東京産食材にこだわったカフェを経営されている若い男性。
9月8日に、伝統ある日本のものづくりを代表する「酒蔵」と、ものづくりの街「墨田区」のコラボイベント「すみだ日本の技と酒めぐり」を紹介して下さいました。
全国の蔵元による試飲会等もあるそうです。
それにしても、卒業から40年以上たった同級生の皆さんの仲の良さ。
料理研究家の先生も江戸コン事務局の女性も、舌を巻いていました。
皆さんの楽しい話に私達も加わらせて頂き、美味しいお酒とお料理で、外気よりも熱い宴が続きました。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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