2013年11月2日(土)、3連休の初日は曇り空、埼玉・小川町に向かいました。
今年の「有機米づくり体験会」の最終回、収穫祭が開催される日です。
主催はUS.Peaceファーム。
東京のシステム開発会社の一部門ですが、有機農業を目指し新規就農した若者たちを支援する様々な取組を行っています。
朝10時に東武東上線・小川町駅前に集合。
US.Peaceファームの小林紀美江さん、地元のNPO「生活工房・つばさ・游」の高橋優子さん達が出迎えて下さいました。
自家用車とタクシーに分乗して、下里地区にある集落センター(集会所)へ。
ここで、今年1年、講師を務めて下さった松永崇史さん(まつなが農場)が待っていて下さいました。
松永さんは群馬県出身の松永さんは、小川町に研修に来た後、6年ほど前に新規就農された方です。
この日の参加者は総勢20名ほど。何組のご家族は子どもを連れて来られています。賑やかな体験会になりそうです。
着替えなど準備を済ませて、田んぼに向かいます。秋の野の花が咲いています。
空も明るくなってきました。
この半年間、米作り体験会の会場として使わせて頂いた田んぼに行くと、前回の稲刈りで収穫した稲がはざにかけて干されています。
今日は、この脱穀をするのが主な体験のメニューです。
足踏み脱穀機、ハーベスター、それにコンバインが、田んぼの中に並べられ準備されています。
はざから稲わらを外して運び、まずは、昔ながらの足踏み脱穀機の使い方を教えてもらいます。
(今はほとんど使われていないそうです。ちなみに文字は右から書かれています。)
ペダルを踏むと、突起の付いた金属製の重いドラムが回転し、そこに稲穂を当てるとばらばらと籾が落ちるというもの。
仕組みは単純ですが、足を踏みながら手で稲穂をかざすのには、少し慣れが必要です。
ペダルの踏み方を間違えるとドラムが逆回転してしまいます。また、回転が上がるとかなりのパワーがあり、しっかりつかんでいないと、稲束ごと持っていかれてしまいます。
小さな子ども達は、お母さんと一緒に挑戦していました。
次にハーベスターの実演。
脱穀のための機械ですが、中を開けて構造を見せてもらうと、何のことはない、足踏み式と同じ金属製のドラムが入っています。稲束を運ぶのが機械化されているだけで、構造は全く同じだそうです。
足踏み式を発明してくれた先人の素晴らしさを、松永さんはしきりに称賛されていました。
稲束をベルトに挟むようにあてがうと、機械の中に吸い込まれてどんどん脱穀が進みます。手間もかからず、みるみる稲束が少なくなっていきます。
この頃から日が射してきました。
足踏み式とハーベースターでの作業を手分けして行い、小一時間ほどで予定のされた稲束の脱穀は終わりました。
足踏み式の下に敷いたシートの上には籾の山。大きなごみを取り除いて袋に入れます。ハーベスターの方は、袋詰めまで自動化されています。
たくさんの稲わらができました。松永さんは、畑の敷き料や苗づくりの断熱材等に用い、最後はすき込むそうです。循環型農業に無駄なものはありません。
もらって帰られる方もおられました。お一人は正月の〆縄が作りたい、と。
最後に、コンバインの実演。松永さんが運転して見せてくれました。
この機械は、鎌を使ったり稲刈り機(バインダー)で刈り取り、はざにかけて乾燥させ、脱穀機やハーベスターで脱穀するという行程を、一台で行うという優れものです。
農業の機械化の効果(省力化)を、目の当たりにすることができました。
一方で、農業機械等の初期投資額の大きさが、新規就農する際の大きなネックとなっいるとのこと。松永さんも中古の機会を譲ってもらうなどして揃えられたそうです。
手を使った農作業も体験としては楽しく貴重ですが、経営としては、機械に頼らざるを得ない部分が小さくありません。また、適期に作業するためには、共同利用にも限界があるとのことです。
現に今年の秋は、2度の台風も含めて雨が多く、稲刈りが遅れ、この日の田んぼもぬかるんでいました。
野菜の生育にも支障が出ているそうです。
収穫した籾の袋は軽トラに積んでもらい、みんなは歩いて集会所に戻ります。
玄関先に据えられている小ぶりな機械は、籾すり精米機。
籾を入れると、自動的に白米にまでしてくれるという機械です。還流式というそうで、時間とともに、籾が玄米、白米へと変化していきます。目に見えて色がも変わっていく様子に、子ども達も興味深そうに覗きこんでいました。
羽釜(はがま)を2基しつらえて、火もをおこし始めます。
ここでも子ども達が大活躍。確かに今の生活の中で、火を扱ったり燃えている火を見る機会はあまりありません。煙たい、目が痛いと言いながら、釜の前から離れようとしません。
松永さん達が、地元の新鮮な野菜や柿(今年は豊作とのこと。)を準備してくれていました。
女性陣が中心になって台所で調理。さつまいもを洗うのは男性陣の担当。これはアルミ箔や濡れ新聞紙でくるみ、後で羽釜の置き火に入れて、美味しい焼き芋になりました。
料理が揃ってきました。
野菜の煮付けやサラダ。岩手・北上特産の里芋の煮付けを持参して下さった方もいました。わが家からは、山梨・さいはらの大豆を使ったネギ味噌と梅味噌。
地ビールや地酒も並べられます。いずれも地元産の原料を中心に、地元で作られたものです。
そして、羽釜を開けると、湯気とともに豊かな新米の香りが。収穫し精米したばかりのご飯が、美味しそうに炊けています。
実はこの日、いつも参加されるUS.PeaceファームのYさん(水加減など絶妙で「羽釜の女王」と呼ばれています?)が不参加で、ふまく炊けるかみんなで心配したのですが、うまくできました。
火をおこしてくれた子ども達との共同作業のお陰です。
野菜が一杯入った具だくさんの味噌汁もできました。
この味噌は、地大豆「青山在来」を使った高橋さんの自家製です。
しばらく、思い思いに食べたい物をとって食事。持参したネギ味噌等は、子ども達も喜んでご飯につけて食べてくれました。
優しい秋の日射しの下、大勢で頂く食事は格別です。
みんなで作った食事、そしてその食材は、この地で天地の恵みによって育まれたものです。収穫祭とは、その喜びを分かち合い、天地に感謝するためのものです。
参加者の皆さんからは、楽しく充実した時間を過ごせた喜びの感想が語り合われました。
食事の後は、松永さんから、自家製の小麦を使ったうどんやクッキーの販売もありました。このうどん、清獏の度合いをわざと低めてあるため、小麦の風味があって、なかなか美味しいです。
今日、脱穀し精米したお米は、小袋に詰めてお土産に頂きました。
小袋に分けるのも、子ども達が率先して手伝っていました。
今年のUS.Peaceファーム主催「有機米作り体験会」は、これで終了。
4月の籾ふりと苗床つくりに始まり、6月の田植え、7月の草取り、10月には稲刈り、そして今回の収穫祭と、稲作の一連の作業を体験することができるプログラムでした。
もっとも、私は結局、最初と最後しか参加できず、ほとんど籾しか見ていません(つまり、あまり作業していません)。
この間、一連の作業と管理をされた松永さん、主催者の皆さん、そして作業に参加された全ての参加者の方に感謝申し上げたいと思います。
US.Peaceファームでは、この体験会のほか、小川町の野菜を宅配する「美味しいお野菜届け隊」、小川町の美味しい野菜等を一流のシェフが調理する食事会「シェフズテーブル」等のイベントを開催しています。
わが家も、この半年間の月2回、松永さんが育てた美味しい野菜を届けて頂きました。生産者の方は変わりますが、引き続き届けてもらうことにしています。
それにしてもこの(親)会社、プログラム開発という、一次産業からは最も遠い業種のようですが、若き社長さん(今回も参加されていました。)の農業に対する熱い思いもあって、私のような一般人も参加できる様々な取組を企画して下さっています。
会社でも、定期的に小川町のお米等を使った食事会を開催されているとのこと。
この体験会、来年も企画されるのであれば、ぜひ、また参加したいと思います。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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