F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.039

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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信 ◇◆◇

     No.39; 2014.3/1(土)[和暦 如月朔日]発行

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 和暦では今日から如月(きさらぎ)です。

 その語源は、寒い日が続くため重ね着をする「衣更着」とも、気候が

暖かくなり草木の芽が萌え始める「生更木」等ともされます。7日は二

十四節季の啓蟄(けいちつ)、土の中の虫たちもが動き出す季節です。

 また、奈良・東大寺の二月堂では、1200年以上続く「修二会」(しゅ

にえ、お水取り)が、今年も執り行われます。

 

 本メルマガは、時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日

=新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。

 


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  F.M.豆知識

  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎

 回少しずつ取り上げていきます。

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5 フード・マイレージ基礎知識

(4) 輸入食料の輸送に伴う二酸化炭素排出量の試算

 これまで3回にわたり、日本の輸入食料のフード・マイレージ(食料の

輸送量×輸送距離)の概要について紹介しました。

 総量でも一人当たりでみても、韓国・アメリカ等と比べて最も大きく

なっています。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-1_FM1.pdf

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-2_FM.pdf

 

 また、日本の輸入食料のフード・マイレージの大きさは、輸入量の大

きさもさることながら、諸外国に比べて長距離を輸送されているという

事情を反映していることも説明しました。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-3_FM.pdf

 

 このように、大量の輸入食料を長距離輸送していることにより、大量

の二酸化炭素が排出されています。

 食料の輸送に伴う二酸化炭素排出量は、フード・マイレージ(単位は

トン・キロメートル)に、二酸化炭素排出係数を乗じることにより計測

されます(詳細は参考2をご覧下さい)。

 なお、二酸化炭素排出係数(単位はグラム/トン・キロメートル)と

は、1トンの貨物を1km輸送する際に、何グラムの二酸化炭素が排出され

るかを表す係数です。

 

 輸入食料のフード・マイレージにこの係数を乗じることにより、輸入

食料の輸送(海外の産地から日本の輸入港まで。日本国内の輸送の分は

含まれません。)に伴う二酸化炭素排出量が計測できます。

 なお、輸入食料は全量を船舶で輸送するものと仮定していますが、船

舶には穀物等を運ぶバルカー(ばら積み船)と、畜産物や野菜を運ぶコ

ンテナ船の2種類があるので、それぞれの係数で計算します。

 また、輸出国内の輸送手段は船舶とトラックが半々と仮定しています。

 

 試算の結果、輸入食料の輸送に伴い排出されている二酸化炭素排出量

は、16.9百万トンと見積もられました。

 

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-1_CO2.pdf

 

 これに比べ、日本国内における食料(輸入食料も含みます。)の輸送

に伴い排出されている二酸化炭素排出量を、国内の輸送量やエネルギー

使用量のシェアから試算すると、約9.0百万トンとなります。

 

 つまり、日本国内における食料輸送に伴う排出量の2倍近い量を、輸入

港に到着するまでの間に地球環境に排出しているという結果となりまし

た。

 この試算の意味や評価については、次回、引き続き説明したいと思い

ます。

 

[参考]

1 フード・マイレージ関係資料

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

 

2 「食料の総輸入量・距離(フード・マイレージ)とその環境に及ぼす

 負荷に関する考察」[農林水産政策研究 No.5, 2003

  http://www.maff.go.jp/primaff/koho/seika/seisaku/pdf/seisakukenkyu2003-5-2.pdf

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組

 んでおられる方達を紹介するコーナーです。

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 2014222日(土)、日本橋で「豊年萬福塾江戸東京野菜を知る」

という講座が開催されました。

 講師は、食育・野菜料理コーディネーターの酒井文子さん(2013.11/

17発行No.32の本欄で紹介させて頂いています。)に加え、東京・小金井

市の農業生産者である高橋金一さん(1961年生まれ)と井上誠一さん

1963年生まれ)です。

 お2人とも家業の農業を継がれ、地域の中堅・若手のリーダーとして活

躍されている方です。

 

 多摩地区にある小金井市は全域が市街化区域。井上さんの農場には、

私も江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座の現地研修会の際に訪問した

ことがありますが、住宅やアパートが立ち並ぶ中、そこだけ畑が残され

ています。

 そのような地域で農業を続けることは、機械の音やたい肥の匂い等の

面で周辺住民への気配りが欠かせないなど、色々と難しい面があるそう

です。

 一方、都市農業は近年、環境面や防災面でその役割が見直されつつあ

ります。

 

 さらに、そのような条件の下、お2人は生産や流通の面で有利とは言え

ない江戸東京野菜の生産に取り組んでおられるのです。東京では江戸時

代から多くの独特の品種が栽培されていましたが、都心では農地そのも

のが消滅し、栽培もほとんど行われなくなっていました。しかし近年は、

これら伝統品種を見直し、復活・普及させようという取組が各地で盛ん

に行われています。

 特に小金井市では、市をあげて「江戸東京野菜でまちおこし」に取り

組んでいます。

 

 井上さん、高橋さん達の取組は生産だけに留まってはいません。

 セミナーやシンポジウム等で江戸東京野菜や都市農業について積極的

に情報発信されるとともに、地域の幼稚園や小学において食農教育の一

環として野菜の栽培体験等を指導されています。

 亀戸大根の栽培を指導された時には、種まきや収穫だけではなく種取

り(採種)もしたいという声が子ども達から上がったそうです。

 

 「江戸東京野菜の美味しさは食べて頂くと分かる。その普及に取り組

み、食文化を次世代につないでいくことが自分たちの使命」と、高橋さ

ん、井上さんは力強く語っておられます。

 

[参考]

 小金井市ホームページ「江戸東京野菜でまちおこし」

 http://www.edotokyo-yasai.jp/edoyasai/index.html

 

 お2人が参加された講座の例

 「東京の農業を知る」(2012.7/11、JA東京中央会・東京都生活協同

 組合連合会主催)

 http://coop-toren.or.jp/Portals/0/images/service/food/aguri/120731/%E3%81%82%E3%81%90%E3%82%8A%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%9B%9E%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf

 

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  情報ひろば

  食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各

 種イベントの開催情報等をお知らせします。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 NHK「里山資本主義」を見て未来を考える会(最終回)(02/18)

  ECOM主催で池袋で3週連続で開催された会の最終回。ワークショップ

 では各自が「何を」「どうしたい」「どうやって」について書き出し、

 話しあいました。

  http://food-mileage.jp/2014/02/18/

 

 「食」の会(仮称)準備会が開かれました。 (02/22)

  自由が丘・シェア奥沢では、3月下旬から「食」の会(仮称)を開催

 する予定です。多くの方たちと食や農について語り合える場になれば

 と、ワクワクしています。

  

 

 豊年萬福塾東京の農業を知る−@日本橋 (02/23)

  東京・日本橋で開催された講座では、食育・野菜料理コーディネー

 ターの酒井文子先生と、小金井市の生産者・高橋金一さん、井上誠一

 さんによる楽しい話と試食。

  江戸の中心地・日本橋で味わう江戸東京野菜の味は格別でした。

  http://food-mileage.jp/2014/02/22/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  2月は、山梨や東京・檜原村で(都区内でも)大雪で中止されたイベ

 ント等も徐々に再開されています。ぜひ足をお運びください。

  なお、満席等の場合がありますので、参加を希望される場合等は、

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 さいはら・ゆずりはら 食の学校

   〜「雑穀&地元野菜」を学ぶおとなの家庭科講座〜

  日時:32日(日)14:0016:30

  場所:上野原市保健センター(山梨県上野原市上野原3504-1

  主催:上野原市観光協会

  (詳細、お問合せ等

  上野原市役所西原出張所(TEL0554-68-2002

  http://ameblo.jp/biryukan/entry-11781666224.html

 

【ガッツリ開墾!】東京ゴマ01檜原村2014プロジェクトキックオフ!

  日時:38日(土)9:30 JR武蔵五日市駅集合

  場所:東京都西多摩郡檜原村

  主催:グリーンスマイル

  (参考、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/678702538846552/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

 西原の在来種「せんごく大豆」で味噌を作ろう

  日時:38日(土)11:0015:00

  場所:びりゅう館(山梨県上野原市西原)

  主催:びりゅう館

  (詳細、お問合せ等

   http://ameblo.jp/biryukan/entry-11781666224.html

 

 都市農業のすごい役割〜杉並区の都市農地による地域コミュニティ

 つくりと多面的機能〜

  日時:313日(木)19:0020:50

  場所:ちよだプラットフォームスクウェア(東京・竹橋)

  主催:農業情報総合研究所、日本危機管理学総研

  (詳細、お問合せ等

  http://m-motegi.at.webry.info/201402/article_3.html

 

 第13回全快野菜ちゃんリベンジ!(品川マルシェ)

  日時:316日(日)10:0015:00(売り切れ終了)

  場所:品川寺(ほんせんじ、南品川3-5-17(京急・青物横丁))

  主催:グリーンスマイル

  (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1445280725706519/

 

 蔦谷栄一氏『地域からの農業再興』出版記念演奏会&パーティ

  日時:317日(月)18:3021:00

  場所:紙パルプ会館1Fラウンジパピエ(銀座3-9-1

  主催:発起人有志

  (お問合せメールアドレス

  info@sp-senryaku.org (担当/茂木さん)

 

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* 今回も最後まで読んで頂き有難うございました。

 花粉の季節に加えPM2.5やインフルエンザ、どうぞご自愛ください。

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は、全て筆者の個人的なものです。

  ご意見、ご質問等をお待ちしています。

 

* 次回は315日(土)(和暦・如月十五日)の配信予定です。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

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