2014年3月21日(金)は春分の日。風は冷たいものの春本番の到来を思わせる晴天です。
池袋駅から徒歩15分ほど、みらい館・大明に向かいました。
旧豊島区立大明小学校の校舎を活用した生涯学習施設です。
ここで、16時から「しごと塾さいはら・収穫祭-手しごとをとおして暮らしを見つめる」が開催されます。
「しごと塾さいはら」とは、山梨・上野原市西原(さいはら)地区の暮らしや手しごとを体験したいと思う人たちの集まり。
月1回程度のペースで訪問し、蕎麦や大豆、ジャガイモの栽培、味噌や豆腐のほか、竹かごの手作り等を地元の方から学んでいます。
発足からほぼ4年に及ぶ活動の内容を、より広く伝えようと、初めて都心での報告イベントが企画されたのです。
スタッフのうち6名ほどは12時過ぎに集合。
分担や段取りを確認した後、会場準備に取りかかります。旧・家庭科室には調理器具や食器が完備されています。
壁には、メンバーの一人「みっきー」さんが自宅で印刷してきてくれた写真を貼りだしてくれます。これを見るだけで、西原での多彩な活動(蕎麦、大豆と味噌、ジャガイモ、お茶、竹かご、木槌など)が分かります。
プロジェクタとパソコンもセット。スクリーンは黒板に模造紙を貼って代用します。
そのうち、西原から「たろうさん」が到着。
西原の食材を始め、味噌等の加工品、竹かごや木槌、農具等をライトバンで運んで来てくれました(前日の首都高火災に伴う渋滞がひどかったそうです)。
早速、料理に取りかかります。後で参加者とともに行う料理体験の下準備も行います。
受付のテーブルもセット。
しごと塾オリジナルの手ぬぐい、西原の加工品、地元のジャガイモ「ネガタ」等も並べられました。
15時過ぎ、しごと塾「生みの親」でもあるECOMの森さんの手作りの看板を玄関に設置。何とか開場予定時間に間に合いました。
徐々に参加者の皆さんが集まってきます。小さな子どもを連れた家族連れの方もいらっしゃいます。
定刻の16時を回り、スタッフを含めて30名ほどで手作りのイベントがスタートしました。
最初に主催者代表の「しおじ」さんから開会あいさつと、「しごと塾さいはら」の概要説明。
地元の方に「一緒に歩んでいるようだ」と言われたことが嬉しかったそうです。
プログラムの第一部は「しごと塾さいはらの収穫物 まるごと報告会」。
メンバーが西原で見たり、聞いたり、感じたりしたことを報告します。
トップバッターは「みっきー」さん。地元でも回覧している活動報告「しごと塾さいはら」の編集長でもあります。西原での楽しさだけではなく、大きく文明が転換する中でのしごと塾の深い意味等について、思いを伝えて下さいました。
続いて「れんこん」さんと光子さんから、西原で体験できる手仕事のうちで一番好きなことについて。
れんこんさんは竹かご作り。山から竹を伐り出し、細く切って手で編んでいくというものです。実際に作った小さなかごを見せてくれました。
光子さんが好きなのは蕎麦や大豆の脱穀作業。実際に使う木槌を示しながら、農作物が食べ物に変わっていく姿を目近にできるのが興味深いとの報告。
続いて西原出身のフルイエさん。現在は都会に住んでいますが、しごと塾に参加するようになって故郷の素晴らしさを再認識されたそうです。
帰省して戻ってくる時は、必ずペットボトルに水を汲んで持って帰るようになったとのこと。
最後は、たろうさん。
元々農業に興味があって各地の農山村を尋ね歩いていたところ、西原には昔ながらの農法や暮らしの知恵が生きていることを発見。しかも、それらを支えているのは80~90代の高齢者であることに衝撃を受け、少しでも受け継ぎたいと移住されたそうです。
機械に頼らず、自然に合わせることの大事さを知ったとのこと。例えば、傾斜地ばかりの西原では、鍬などもそれぞれの畑に合ったものが作られているそうです。
話が終わらないうち、セットしてあった餅つき機から出来上がりを知らせるブザー音が。
雑穀まんじゅうは、つきたてのうちに作らないと美味しくできないということで、直ちに次のプログラム「一緒に体験!つくって味わう交流会」へ。
まずは、あんこを丸める作業から。
できたての雑穀入りのもち(熱い!)をちぎって片栗粉を敷いた板の上に置き、その真ん中にあんこボールをのせて包んでいきます。子ども達も楽しそうです。
できあがった雑穀まんじゅうは、出来たてが美味しいというのでまずは一つずつ試食。残りはお土産です。
引き続き、3班に分かれての料理体験。
1班は「せいだのたまじ」づくり。ネガタという在来種のジャガイモの小ぶりのものを、味噌で甘辛く煮付ける郷土料理です。
2班はヤーコンのきんぴら作り。
3班は、手作りこんにゃくを切って皿に盛りつけ、味噌を添えるというもの(これは簡単)。
食材は、いずれも「しごと塾」の畑など西原で獲れたもの、加工されたものです。
味噌は、びりゅう館で販売している生姜味噌のほか、西原の大豆(せんごく)を各メンバーが仕込んで自宅で熟成させたものが4種類ほど。同じ材料、製法ながら味が違います。
料理が一段落するうち、隣のテーブルではカルタ遊び。
シブカワさん(この日は欠席)、みっきーさん始めメンバー全員でアイディアを出し合って作ったものです。西原の不思議と楽しさが、読み札と絵札(写真)に盛り込まれています。子どもだけではなく盛り上がりました。
別のテーブルでは、大豆のよろげ(選別)作業の体験も。
そうこうしているうちに、雑穀入りごはんも炊きあがり、お待ちかねの食事の時間。
地元のジャガイモ焼酎も準備して頂きました。
献立は、参加者みんなで作ったせいだのたまじ、ヤーコンのきんぴら、こんにゃくに加えて、スタッフが準備した雑穀入りごはん、大根の煮物、けんちん汁など。
この日のイベントは、メンバーの報告を耳で聴くだけではなく、西原を自分の舌で味わうことができるのです。しかも、自分たちで作ったものですから、美味しさも格別です。
食事の間、たろうさんからは、2月の大雪の様子の話を聞かせてくれました。今回は、自宅から出られなくなるほどの未曽有の大雪だったそうです。
そして、不便なところもあるけれども、西原の暮らしに興味を持ち共感してくれた方は、ぜひ訪ねてほしい、と話されました。
最後のプログラムは、4~5人ずつのグループに分かれてのワールドカフェ。「豊かな暮らしとは」というテーマでの話し合いです。
まずは健康であること、美味しくて安心できる食事を頂けること、自分のペースで生きられること、手間をかけプロセスを楽しむこと、人とつながること等の意見が出され、グループでシェアし、最後はそれぞれ付箋に貼ってホワイトボードに貼りつけます。
最後に、しおじさんから「このような小さな取組が各地の普通の地域で広がり、どんどんと情報発進していければいい。興味を持たれた方の参加をお待ちしています」等と締めくくられ、イベントは無事に終了。
すでに終了予定時間の20時は30分近く過ぎてしまっていましたが、小さな子ども連れの方も含めて、皆さん後片付けを協力して下さいました。食器を洗って整頓し、テーブルやいすを元の場所に戻し、掃除機をかけて何とか退室時間ギリギリ。
「慌てなくていいですよ」と声をかけて下さったみらい館の皆さま、お世話になりました。
さて、次の「しごと塾さいはら」は4月13日(日)の予定、詳細はウェブサイトやフェイスブックで案内される予定です。
よろしかったら、「さいはら」を実感しに来られませんか。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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