◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎
回少しずつ取り上げていきます。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(6) 地球環境問題と地産地消
日本は大量の輸入食料を長距離輸送しているため、輸入食料のフード・マイレージは韓国・アメリカ等と比べて突出して大きくなっています。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-1_FM1.pdf
日本は、大量の輸入食料を長距離輸送する過程で約16.9百万トン(1世帯当たり約380kg)の二酸化炭素を排出していると見積もられます。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-1_CO2.pdf
また、これは、家庭でできる地球温暖化防止のための取組に比べて、相当量の二酸化炭素を排出していることを、前回は説明しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2-2_CO2_2.pdf
さて、食料輸送に伴う環境負荷の低減を考える際に、キーワードとなるのが「地産地消」です。
近年、多くの地域において地産地消の取組が盛んになっています。
地産地消とは、一般的に地域で生産されたものを地域内で消費することを指しますが、その「地域」の範囲等については、必ずしも明確な定義はありません。
地産地消が盛んになっている背景には、消費者、生産者双方のニーズがあります。まず、消費者にとっては、新鮮な食材の入手という面だけではなく、安心を求めているという面があります。近年、中国産冷凍餃子による健康被害やレストランにおける偽装表示など、食の安全と信頼を脅かす事件・事故が頻発しており、消費者は食に対して大きな不安を感じています(現下の最大の問題は放射能汚染ですが、これは稿を改めたいと思います)。
これら事件・事故の直接的な原因はそれぞれにありますが、共通する背景として、食卓(食)と食料生産の現場(農)との間の距離が拡大しているという事情があります。
消費者にとって地産地消は、この食と農の間の距離を縮め、顔の見える関係を取り戻し、食に対する安心感を得ようとする行動と位置づけることができます。
一方、女性や高齢者を含めた生産者にとっては、規格が不ぞろいで、少量・多品種の生産であっても、直売所に持っていくなどすれば現金収入が得られ、地域社会の活性化につながるというメリットがあります。
なお、地産地消は、国としての食料政策や学校教育の面でも重要視されるようになっています。
さらに、地産地消は、食料の輸送距離が短縮されることを通じ、輸送に伴う環境負荷を低減するという効果もあります。
フード・マイレージ指標を用いると、地産地消の取組により輸送に伴う二酸化炭素排出量をどの程度低減できるかを、簡単に試算することができます。
次回は、その具体的な試算例を紹介したいと思います。
[参考]
フード・マイレージ関係資料(F.M.豆知識)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html
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