2014年11月22日(土)、3連休の初日は好天に恵まれました。
JR新宿駅西口で「The Big Issue」を購入し、JA東京グループの東京アグリパークへ。
この日は、江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座(総合コース)第4期の最終日です。
東京の伝統野菜・江戸東京野菜の魅力を伝えることのできる専門家の資格取得講座として、3日間にわたり計7講座の内容で開催されているものです。
この日の参加者は30名ほど。生産者団体、野菜ソムリエ、学校の先生など、それぞれのお立場で食に携わっておられる熱心な方たちです。
事務局の福島秀史さんの挨拶で開会。
ちなみに、これまでの講師陣は、大竹道茂さん(江戸東京・伝統野菜研究会)、江原絢子さん(料理家、食文化研究家)を始め、野菜ソムリエ、生産者、飲食店経営の方など、錚々たるメンバーです。
私の出る幕はないのですが、私からは「フード・マイレージと地産地消」と題して、伝統野菜復活の取組の意義等について、総論的な話をさせて頂きました。
すなわち、日本人の食生活が大きく変化(外部化・簡便化、カロリー構成の変化)してきたことと、そのことが、栄養バランスの崩れ、食料自給率の低下、フード・マイレージの増大、さらには行事食の習慣や地域のコミュニティの喪失等につながっていること等について説明。
休憩を挟み、6名ずつに分かれてのグループワークです。
2つあるテーマの1つ目は、食材カードを使っての晩ごはんの献立作り。カードの裏に記載してある使用料、輸送距離のデータからフード・マイレージと輸送に伴う二酸化炭素排出量を計算するというもの。
計算は単純なのですが、単位等が煩雑で割と面倒で、各グループとも苦労されている様子。もっとも、食材選びと計算をきっかけに隣の人たちと話し合い、共同作業を通じてコミュニケーションしてもらうことが狙いです。
後半は、フード・マイレージ等を計算した感想も踏まえ、「未来のより豊かな『食』のために、私たちにできることとは?」というテーマで話し合ってもらいました。
思いついたことを次々に付箋に書き、模造紙に貼っていきます。各グループでの話し合いは自然に盛り上がっていきます。
計算と話し合いの時間は全体で40分ほどと短かったのですが、無理やり(?)結論(キャッチフレーズ)までまとめてもらい、グループごとの発表の時間へ。
最初のグループ(勝手に象さんチームと命名)のキャッチフレーズは「三丁目の夕日」。
食を人任せにせずに自分の身体は自分で守る。近所での助け合い、支え合いも大事。年中行事も大切にするなど、昭和の良かった部分を取り戻していきたい、との内容です。
次のきりんさんチームからは「今日のご飯は地産地消・旬産旬消」。
近くの農家と親しくなり、地元の良い食材をみつけて周囲の人に知らせていくことが大事、との意見。
うさぎさんチームからは「旬産旬食」。
旬を知ることが大事。季節外れのものは値段も高くなる。旬のものを近所で買って食べよう、という内容でした。
次の熊さんチームのキャッチフレーズは「買い過ぎ食べ好き注意!!」。
洋風の献立にするとフード・マイレージ等が大きくなったのに驚いた。食べ残しを減らすために計画的に献立を作りたい。賞味期限表示のルール見直しも必要ではないか、との意見。
大トリは北島サブちゃんチーム(と勝手に命名)。キャッチフレーズは「ライス・イン・ホーム」。
家庭だけでなく、地域や学校でもっと食のことを学ぶことが重要。栽培方法の分かる食べものを選ぶ。農作業を手伝うなど地域の生産者をサポートすることも大事、との内容でした。
各チーム、短い時間ながら濃密な話し合いができたようで、上手にまとめて下さいました。
さらに全体での質疑と意見交換。私からは、以下のような若干のコメント。
「映画『三丁目の夕日』の頃は家庭に冷蔵庫も普及していなかったため、六ちゃん(堀北真希)がシュークリームを食べてお腹を壊すシーンを引き合いに出しつつ、昔の食生活が全て良かったわけではなくリスクもあったこと、良かった部分を選んで、現代的にアレンジして取り入れていくことが大事」
「今回の食材は洋風メニューだとフード・マイレージ等が大きくなる設定になっている。しかし同じ牛肉でも、例えば阿蘇の赤牛など放牧されている場合は地域の環境保全にも貢献している。肉だからダメということではなく、どのように生産されているかを知ることが重要」など。
ワークショップが終了すると、いよいよ、毎回の江戸コン講座のお楽しみ・試食の時間です。
事務局のお一人、野菜ソムリエの上原恭子さんが今日の食材と料理を説明して下さいました。
この日の食材は、練馬大根と高倉大根です。
練馬大根は、五代将軍・綱吉が栽培を命じたともされる品種ですが、長く中太で収穫に手間がかかること等から近年はほとんど生産が途絶えかけていたのを、「引っこ抜き競技大会」の実施等を通じて復活しつつあります。
高倉大根は、大正時代に練馬大根を改良した品種で、八王子・高倉はじめ広く栽培されていたそうですが、こちらも生産者は今は1軒だけとのこと。
漬物用としての引き合いが多く、生の実物をみられる機会は稀だそうです(私も初めて見ました)。
ざく切りした生、煮物、クラゲと合わせたものなど数種類の料理を食べ比べ。高倉大根は、練馬大根以上にきめが細かく、えぐみの少ない味でした。
講座はこの後、検定試験と終了式が残っていますが、ここで失礼させて頂くことに。
翌日、世田谷・自由が丘のシェア奥沢で江戸東京野菜を紹介する機会があると言うと、何と、練馬大根と高倉大根を持たせて下さいました。貴重なものを申し訳ないことです。
帰宅して新聞紙の上に並べてみると、その大きさが分かります。重量もなかなかのものです(家庭用の秤には乗せられませんでした)。
正直、新宿から自宅(東村山)まで電車で持って帰るだけで、重くてかさばり、なかなか難儀でした。
福島さんに聞くと、漬物用の干し大根を作るためには、10本ずつ束ね、吊るしたり取り込んだりという作業があるそうです。江戸東京野菜の生産を継続することの大変さを、少しだけ、想像することができました。
今日のグループワークでは、地域の生産者のことを知ることが大事、サポートすることも大切といった意見も出されました。
新たに「江戸東京野菜コンシェルジュ」となられた皆さんが、地域の生産者と消費者をつないでいく等の面で活躍されていくことに、大いに期待したいと思います。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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