猛暑の日々が嘘だったように、肌寒い日が続きます。
2015年8月29日(土)も、断続的に細かな雨が落ちてくる一日でした。
14時半頃、高架になっている京王堀之内駅で下車して歩き始めると、全国どこにでもある郊外の景色。
分譲住宅がびっしりと並んでいます。ここは、高度経済成長期に開発された多摩ニュータウンの中心部です。
ところが、交通量の多い平山通りを挟んだ反対側に一歩入ると、打って変わって農村と里山の風景が広がっています。
一部は里山公園にもなっています。
畑の中の細い道を進むと、やがて堆肥舎の建物が見えてきました。
近付くと、自動販売機の脇には「YuGI MURA Farm」のペイント。そして、FIO office の看板。
ここが、新規就農された方達が中心となって運営している株式会社FIO(フィオ)の事務所にもなっているユギムラ牧場です。
この日15時から開催されたのは、「みんな集まれ!」FIOを味わう食事会(BBQ)。
受付を済ませると、ウェルカムドリンクを頂きました。ここで作っているハチミツ入りの飲み物です。
始まるまで、他の参加者の方と農場を散策。
この辺りは純農村の風景ですが、向こう側の高台には、びっしりと住宅が並んでいるのが見えます。
農場の一部は、区画されて農業体験農園になっています。
この日も、男性と女性の利用者の方が訪れていました。男性の方は、近くの団地に住むリタイアされた方だそうです。
通り沿いには、ヤギ舎があります。人懐こい3頭のヤギが飼われています。
最初は怖がっていた小さな子どもも「触ったよ」と喜んでいました。
よく渋滞するという平山通りの自動車からは、よく見える「看板」にもなっているようです。
牛舎を改造した事務所兼集会施設に戻ると、食事会が始まったところでした。
この日の参加者は30名強です。
FIO代表の舩木翔平さんから挨拶。
「農をもっと手元に」をスローガンに、顔の見える関係の中で 「農のある地域」を八王子を拠点に広げていくため、様々なイベントにも取り組んでいるとのこと。
続いてスタッフの紹介。若い人ばかりです。
直接農作業に携わっている人ばかりではなく、デザイン関係、料理をされる方など多彩です。
続いてユギムラ牧場のオーナー・自称「牧場のおっさん」鈴木亨さん からもご挨拶を頂きました。
かつてニュータウン開発が進められる中でこの地域の農地と農業を守ってきた経緯、そして現在は舩木さんたち新しい担い手を受け入れて活動されている様子等について紹介して下さいました。
そしてバーベキュー・パーティーのスタート。火起こしも参加者全員で。
野菜は、FIOの農場で獲れたものだそうです。文字通りの地産地消。コリンキーという生でも食べられるカボチャも。
ビールやワインなど飲みものもふんだんに。
(ちなみに金婚(豊島屋酒造)は私の差し入れです。)
カボチャ入りの春巻き、人参葉のてんぷら、人参の炊き込みご飯等も。
途中、ビンゴゲームで盛り上がりました。賞品はFIOの農産物等(空くじなし!)。
私は、FIOのメンバーの一人が福岡で生産されている「大神米」(ヒノヒカリ)を頂きました。
会場には、参加者の愛犬(柴)と鈴木さんの愛犬(大きい。牛かと思いました。)も。
ヤギも連れてこられ、子ども達と遊んで(遊ばれて)います。
その後、参加者1人ずつから自己紹介。
地元近くの方が多いようです。体験農園の利用者の方も。農業関係やエネルギー関係に興味があったり、活動されていたりする方もおられました。
食事の後は、奥の方に設けられたブースへ。ハチミツや野菜が展示・販売されています。
珍しい相模半白キュウリを求めさせて頂きました(皮がちょっと硬く、パリパリして美味でした)。
様々なイベント等のパネル展示も。
18時を回って流れ解散に。外は暗くなっています。
来た時とは逆に、畑の中の道を通って街中に出て駅に向かいました。
それにしても、市街地の近くにこのような広い農地と里山が残されているのは、奇跡のように思われます。
しかし、この地域は決して自然に、あるいは偶然に残された訳ではありません。
経済の高度成長期に都市の勤労者の住宅を供給するため、言わば「国策」としてニュータウン開発が進められました。現在、ユギムラ牧場がある地域も、当初は開発区域に含まれていたのです。
それを、鈴木亨さんのお父君たちの世代が粘り強く都や公団と交渉を重ね、農地と里山を守ってきた経緯等は、「『農』はいつでもワンダーランド-都市の素敵な田舎ぐらし」(ユギ・ファーマーズ・クラブ編、1994) にも詳細に記録されています。
また、その後現在までの経緯等は、この日頂いた小冊子「NPO YUGI – ユギムラ物語『アグリ・ニュータウンの暮らし』」にもまとめられています。
日本は、経済も人口も、かつての高度成長期から安定成長期(成熟期)に移行しつつあります。
そのようななか、ここには、先人の方達の尽力の蓄積の上に、新しい感性を持った若い方達が参入し、これからの新しい日本農業のモデルが作られつつあるのです。積極的に様々なイベントも開催されています(FIOフェイスブックページ参照)。
これからも注目していきたいと思います。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキング参加中)
人気ブログランキングへ