2015年9月12日(日)。
北関東・東北に大きな被害をもたらしている雨雲もようやく去り、東京地方は快晴です。
ところが朝6時前に駅の駐輪所に着くと、防災スピーカーが大音量で「先ほど大きな地震が発生しました」と放送しており、びっくり。少々遅れてきた電車に乗って新宿へ。調布で震度5弱だったとのこと。自転車に乗っていて、全く気付きませんでした。
7時前に新宿駅西口の待ち合わせ場所へ。
この日は、JKSK(認定NPO法人 女性の活力を地域の活力に)が主催する「ふくしまオーガニックコットン・ボランティアバス2015」の2回目の日です。
地震のせいで集合がやや遅れ、7時過ぎにバスは福島・広野町に向けて出発。
事務局の柏木智帆さんから行程等の説明の後、JKSKの大和田順子理事長から次のような挨拶がありました。
「このボラバスの取組は3年目、昨年から地元・広野町の方達も積極的に参加 してくれるようになった。今年度は復興庁の「「新しい東北」先導モデル事業」にも採択された(双葉八町村に春を呼ぶ!広野わいわいプロジェクト)。広野町に賑わいと生業(なりわい)をみんなで創っていきたい」
続いて約30名の参加者の間にマイクが回され、一人ひとりから簡単に自己紹介。 初めての方も多数。
小学生の子どもを連れた方、男子大学生3人、板橋でコットン栽培をされているNPOの方、いわきには熊本の大学時代にボランティアで訪ねて以来という方も。
予定より少々遅れ、11時前に広野町のコットン畑に到着。快晴です。こちらもしばらく天気が良くなかったとのこと。
いわきおてんとSUN企業組合代表で、ふくしまオーガニックコットン・プロジェクトの中心メンバーである吉田恵美子さんと、根本賢仁さんたち広野町の方達が出迎えて下さいました。
午前中は草取りです。
根本さんに鎌の使い方などを教えてもらってから、 思い思いに畑に散って除草作業スタート。
6月(第1回ボラバス)に植えたコットンの苗は、無事に大きく成長していました。
ところが、アカザ等の雑草はそれ以上の背丈に伸び、畝の間を埋め尽くしています。短時間の作業ではとても無理ではないかと半ば絶望しつつ、鎌を片手に畝の間を進みます。
もともと砂地であるところに雨の日が続いたためか、幸い、比較的簡単に草は抜けます。
しばし無言で作業に没頭。
あちらこちらに薄黄色の綿の花。オクラに似た清楚な姿です。花が落ちた後にできるコットンボールも。
コットンの間にはマリーゴールドの花も。病害虫の防除に役立つコンパニオンプランツです。
途中、休憩を挟みつつ、正午過ぎにはほぼ作業は終了。
一本一本の畝とその間の通路が、はっきりと分かるようになりました。人海戦術の威力を実感。
まだ少しですが綿も収穫できました。
畑の脇に張ったテントの下や草の上に座り、お昼を頂きました。
二ツ沼総合公園内にあるレストラン「アルパインローズ」特製のおむすび弁当。
このレストランの西 芳照シェフは、サッカー日本代表チームの帯同シェフとして活躍されている方で、「サムライブルーの料理人」等のご著書もあります。
地元産のお米を使ったおむすびのほか、漬け物、デザートの梨などを美味しく頂きました。
脇の軽トラックでは、ふくしまオーガニックコットンの各種製品の販売も。
13時過ぎ、バスで広野町体育館に移動。
剣道の練習中。気合いのこもった声が響くなか、2階の会議室へ。
午後は、株式会社さとゆめの取締役・島田俊平さんの進行により、広野の特産品を商品化するワークショップです。
(株)さとゆめは、「ふるさとの夢をかたちに」を理念に、具体的な商品や事業になるまで支援し続ける伴走型のコンサルタント会社。
「ナラティブ・プランニング」というマーケティング手法を用いて、ターゲットとなる消費者を主人公にした広野の特産品についての物語作りを試みるのが、この日のワークショップの内容です。最終的には、さとゆめが東京・永田町に有するショップ等で販売できる商品開発を目指します。
ブルーベリー、オリーブ、米ぬかホットパックの生産者の方から、特産品についての説明も。
青唐辛子味噌、ブルーベリー、オリーブ、米ぬかホットパック、コットン(そのまま利用)、コットン(糸や布に加工)の6グループに分かれ、それぞれ物語づくりのための話し合い。
私はコットン(そのまま利用)のグループに参加。仮設住宅でコットンベイブを製作されている女性の方達もおられます。NPO法人を立ち上げた立教大・セカンドステージ大学の卒業生の方達も。
貴重なお話を伺うだけで、どんどん時間が過ぎていきます。あちらこちらのテーブルから、笑い声が弾けます。
30分ほどの話し合いの後、グループ毎に前に出て発表。なかなかユニークな発想が飛び出します。
私のグループからは、シブヤの女子高校生がコットンベイプと出会ったこをきっかけに、被災地や農業のことに次第に関心を持つようになり、家族ができ子どもができるなど人生の節々にコットン製品が活躍するというような物語(?)を報告。
自分で組み立てるコットンのリースのキットを、新商品として提案。
15時30分頃にワークショップは終了。
残されたたくさんの付箋には、様々な「夢」が書き残されました。広野町のにぎわい・なりわい創出に向けての1歩になることを期待したい、と大和田理事長からまとめの挨拶。
広野町の方達に見送られつつバスは発車。いつもちぎれんばかりに手を振って下さいます。
バスには吉田さんが同乗して下さり、現地の状況等について説明してくれました。
ちこみに、この日の道路は空いていましたが、平日は除染・廃炉作業の関係ですごい混雑だそうです。
「大震災と原発事故から4年半。いわきには今も多くの方達が避難してきている。
福島第一原発が立地する富岡町の方達は、今年、「みんなの畑」を設けてコットンの栽培を始めた。他地域からの避難者やいわき市民も一緒に収穫祭を開催したいと言われている。避難されてきている方達も含め、地域のコミュニティが重視されるようになってきた。私たちはその手伝いをしていきたい」
「企業組合は、新たにいわき市内に民家を改装した事務所を設け、会報誌『おてんと日和』を創刊し、エコひいきの会という体験活動も始めた。キャッチフレーズは『太陽で紡ぐ糸』。
今日の経験が、皆様の次の活動につながっていくことを期待したい」
道の駅よつくら港で買い物。整備が進められ子ども達が遊ぶ平和な光景ですが、4年半前はここも津波で大きな被害を受けました。
最後にかんぼの宿で温泉に入浴し、吉田さん達とも別れ、バスは一路、新宿へ。
再びマイクが回され、今日の感想などをシエア。
「復興について自分で考えるきっかけになった」「これで終わりではなく、具体的な成果 を出していくことが必要」など。
大学生の1人からは「初めてのボランティア体験だったが、人のために働くことの気持ち良さが分かった」との感想。
また、「現地の方と再開すること、新しい方と知り合いになることが楽しみ」とのコメントもありました。
このボラバスは、11月22日(日)に3回目が実施される予定です。
様々な機会をとらえて「被災地」と呼ばれる地域に自ら足を運ぶことは、本当に色々なことを学ぶことができます(先日、大和田理事長にお声掛け頂き、東京新聞「東京復興日記」シリーズに個人の立場で同趣旨の記事を寄稿させて頂きました)。
広野町の皆さま、いわきおてんとSUNの皆さま、事務局の皆さま。
今回もお世話になりました。次回も楽しみにています。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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