F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.083

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.83; 2015.12/11(金)[和暦 霜月朔日]発行

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 カレンダーでは年の瀬を迎えつつあります。

 和暦では霜月に入ったばかりです。といっても、慌ただしさが変わる

わけではありません。

 「霜」の字は、喪う(うしなう)ことを意味するとのこと。寂しい冬

の光景のはずが、都心などまだまだ紅葉が鮮やかです。

 

 時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と

十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は霜月朔日の

配信です。

 

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  F.M.豆知識

  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

 あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げ

 ていきます。

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 本欄では、ここ数回にわたって米の価格と水田農業について取り上げ

てきました。

 先般、公表された2015年産米の相対取引価格(201510月)は全国・

全銘柄平均で13,116/60kg。前月からほぼ横ばい(99.5%)、前年同月

に比べると7.4%高くなっていますが、2013年産以前の水準までには回復

しておらず、No.80で紹介した状況が続いています。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/38_aitai.pdf

 

 今回は、この米価の水準をもう少し長期的にみてみます。

 添付の図41の下の方の青い線が、米の販売価格(コメ価格センター入

札価格、相対取引価格)です。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/41_beika.pdf

 

 米の価格は、かつて政府が管理していた時代とは異なり、基本的には

需要と供給のバランスにより決定されます。

 供給量は、他の多くの農差物と同様、天候に左右されます(ここが工

業製品と決定的に異なる点です)。このため、作柄が不良であった1993

年(作況指数73)、2003年(同90)には、米価は大きく上昇しています。

 しかし、これらの不作の年を除けば、米の販売価格はほぼ一貫して低

下傾向で推移しているのです。

 

 それでは需要面はどうでしょうか。

 上のグラフが1人当たり1年間の消費量(正確には供給量)です。これ

は一貫して減少傾向にあります。ちなみに最も消費量が多かったのは19

62年の118kgですから、この半世紀の間で米の1人当たり消費量は、実に

半分以下に減少しているのです。

 これは、畜産物や油脂の消費拡大といった個々人の食生活パターンの

変化に加え、近年は少子・高齢化も影響しているとみられます。

 

 図41からは、この消費量の減少に連れるようにして米の販売価格が低

下している様子が見て取れるのです。

 

 この少子・高齢化は、今後さらに進行していくことが予測されます。

とすれば、米の消費量は今後も減少を続け、米の販売価格も低下傾向が

免れないのでしょうか。

 どこかに解決策、あるいは展望はないのでしょうか(次回に続きます)。

 

[出典、参考資料等]

 農林水産省「米をめぐる状況について」

 http://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/pdf/1118_1meguji.pdf

 

 農林水産省「米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等」

 http://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/aitaikakaku.html

 

 農林水産省「食料需給表」

 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html

 

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達、トピックス等を紹介しています。

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 東京・八王子市は都心から西へ約40キロメートル、56万人の人口を擁

する中核市であると同時に、農家数、農地面積、農業生産額等は東京都

で最も多いなど農業の盛んな地でもあります。

 ここ八王子を中心に、江戸東京野菜等の固定種について研究・情報交

換したり、様々な活動に取り組んでいる方達のネットワークが多摩・八

王子江戸東京野菜研究会です。

 代表の福島秀史さん(江戸東京野菜コンシェルジュ・小城プロデュー

ス代表執行役員)を中心とした10名ほどのメンバーは、江戸東京野菜等

の普及のために精力的に活動されています。

 現時点で八王子で認定されている江戸東京野菜は、高倉大根、川口エ

ンドウ、八王子ショウガの3種類。いずれも昔から現在まで地域の食文化

を育んできた野菜ですが、栽培や出荷に手間がかかること等から生産は

減少してきています。

 

 そこで、福島さん達は収穫を手伝うなど生産者の方達とも連携しつつ、

生産者の拡大、旬の江戸東京野菜の調理実習・試食を含む市民講座の開

催、小学生に対する食育への協力、飲食店における江戸東京野菜を使用

したメニューの普及・提供など、様々な活動に積極的に取り組んでおら

れます。

 

 去る2015126日(日)に開催された高倉大根の見学会には約30名が

参加(私も参加させて頂きました)。

 1軒だけとなった生産者の方を訪ね、冬の風物詩ともなっている干し

大根の様子を見学させて頂きながらお話を伺うことができました。さら

に、その後は「けいの家」(居酒屋)に移動して高倉大根づくしのオリ

ジナル料理を楽しませて頂きました。

 

 多摩・八王子江戸東京野菜研究会の方達は、お揃いのグリーンのTシャ

ツに、江戸東京野菜を次世代へつなぐという思いを包んで活動されてい

ます。

 これからの研究会の取組に、注目・期待していきたいと思います。

 

[参考]

 多摩・八王子江戸東京野菜研究会

 https://www.facebook.com/tamahachi.edotokyo/

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 JKSK ふくしまオーガニックコットン・ボラバス2015(第3回)
(11/27)

  http://food-mileage.jp/2015/11/27/

 

 眞鍋じゅんこさん「日本の暮らしの魅力の探り方を語る」 (12/01)

  http://food-mileage.jp/2015/12/01/

 

 2015収穫祭 @上越・大賀集落
(12/03)

  http://food-mileage.jp/2015/12/03/

 

 奥沢ブックカフェ(第2回) (12/05)

  http://food-mileage.jp/2015/12/05/

 

 きき酒と新ソバの会 @ふくしまオルガン堂 (12/08)

  http://food-mileage.jp/2015/12/08/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 福島学 in 駒場 4弾「廃炉編」

 日時:1215日(火)190021:00

 講師:開沼博先生(福島大学特認研究員)

 場所:番來舎(駒場東大前)

 主催:ベテランママの会

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/920731667974679/

 

 もやもやフィールドワーク報告と対話編第9

  報告「閉じながら開かれる場ふわカフェの実践から」

  /哲学カフェ「安全な場所はどこにあるのか」

 日時:1217日(木)190021:00

 場所:芝の家(港区芝3-26-10

 主催:多様性と境界に関する対話と表現の研究所

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/146369752391732/

 

 奥沢ブッククラブ(第3回)

 日時:1218日(金)18:3021:00

 場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢2-32-11

 課題図書:辺見庸『もの食う人びと』

 主催:奥沢ブッククラブ

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/551171421708015/

 

 2015年もありがとうアースデイマーケット×週末農風
忘年会

 日時:1223日(水・祝)夕方

 場所:from a & e cafe(フロマエカフェ、荒川区西日暮里4-21-7

 主催:Earth Day Market

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/497042157143282/

 

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* 今号のコツコツ小咄。

「今まで安物の靴下を履いてたんだけど、これからはランクアップする

ことに決めたの。大根を洗うようにね」

「えっ、どういうこと?」

「いよいよ、シルク(白く)」

 

 注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛(?)投稿中です。

  https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7

 

* 次号No.841225日(金)[霜月十五日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

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