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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信− ◇◆◇
No.86; 2016.1/24(日)[和暦 師走十五日]発行
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暖冬かと思うと突然の大雪。遅れてきた冬を取り戻すように寒波も襲
来。年々、気候の変動が荒々しくなってきているように感じられます。
1/21は大寒。やがて暦は立春(2/4)を迎えます。
時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と
十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は師走十五日
の配信です。
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◆ F.M.豆知識
食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、
あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げ
ていきます。
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2017年4月からの消費税率引き上げ時に、軽減税率の導入が予定され
ています。
(増税する中で据え置くのを「軽減」と呼ぶのはいかがか、とのもっと
もな指摘はありますが、ここでは触れません。)
その軽減税率の対象とされているのが、外食を除く食料品と宅配の新
聞です。
(「これでいよいよマスコミは死んだ」とする論者もいますが、これも
ここでは触れません。)
今回、取り上げるのは、軽減税率の対象品目が決まった翌日(昨年12
月17日)付けの日本経済新聞2面の社説です。
そのタイトルは「『民主主義のコメ』として」。
この社説では、日本新聞協会の諮問を受けた法学者らによる「新聞の
公共性に関する研究会」が13年9月にまとめた「新聞への消費税軽減税率
適用に関する意見書」から、「新聞は誇るべき日本の文化」「日本全土
のいたるところでサービスを受けられる新聞こそが日本の民主主義の支
柱であり基盤」といった意見を引用した上で、新聞は民主主義にとって
重要な位置づけにあるとし、そのことを「民主主義のコメ」と表現して
いるのです。
経済専門紙らしく(?)、かねてTPPや原発再稼働には「前のめり」
な論調が目立つ日経がこのような表現を使っていることに、ちょっと驚
きました(ちなみに、日経は私の日々の愛読紙です)。
もっとも、戦後の復興期には鉄鋼が、高度経済成長期には半導体が
「産業のコメ」と呼ばれていたこともあります。コメは、中枢であり重
要なものを表す代名詞として現在まで使われてきているのです。
さて、図43は「うるち米」5kgと「民主主義のコメ(新聞)」購読料
(1ヶ月)の推移を示したものです。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/43_shinbun.pdf
これによると、1970年代までは概ね同じような動きで推移してきたの
が、1980年代に逆転し、1990年代半ば以降は米価は下落基調となり、両
者の間には格差が広がっていることが見て取れます。
重要なものの代名詞として今も使われる本家本元の「米」は、主食と
しての地位も(1人年間消費量:1963年118kg→2013年57kg)、日本農業
の主役としての地位も(農業生産額に占める割合:1963年53%→2014年
17%)失いつつあります。
このことが、価格の動きにも反映しているのかも知れません。
[出典、参考資料等]
2015年12月17日付け日本経済新聞社説「『民主主義のコメ』として」
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO95229160X11C15A2EA1000/
総務省「小売物価統計調査(動向編)」、
主要品目の東京都区部小売価格(昭和25年〜平成22年)
http://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/3.htm
FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html
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◆ オーシャン・カレント −潮目を変える−
食や農の分野に関連して、先進的かつユニークな活動に取り組んで
おられる方達やトピックス等を紹介しています。
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正岡子規は、明治16(1883)年、16歳の時に上京して東京大学予備門
に入学するも間もなく中退、俳句・短歌革新運動に没頭するようになり
ます。しかし何度か喀血するようになり、更にはカリエスに侵され、30
歳になる頃には東京・根岸で寝た切りの生活を送ることとなりました。
病床において子規は多くの優れた随筆・日記文学を残しています。
なかでも『仰臥漫録』は、他人に見せることを想定していなかった私
的な日誌であったため、より直接的に子規自身の思いが記されており、
同時に「写実派」の子規らしい詳細な日々の記録となっています。
子規の病は次第に重篤となり、激痛に耐えられない時はひたすら「絶
叫、号泣」するより他ない日々となります。そのような苦しみのなか、
子規に残された唯一の楽しみは「うまい物を食ふ」ことでした。
『仰臥慢録』には、日々の食事のメニューが丹念に記録されています。
例えば、明治34年9月24日の献立は以下のようなものでした。
[朝]ご飯3椀、佃煮、奈良漬、牛乳ココア入り、餅菓子、塩せんべい
[昼]粥3椀、かじきの刺身、芋、奈良漬
[間食]餅菓子、牛乳ココア入り、ぼたもち、菓子パン、塩せんべい
[夕]粥3椀、生鮭照焼、ふし豆、奈良漬、ぶどう
ほぼ毎日、このような食事が続いています。壮大な子規の胃袋は、彼
の残りわずかな生への強い執着を一身で背負っているかのようです。
また、高浜虚子ら弟子に対しては「富も名誉も一国の元気も、みな御
馳走の中から湧き出る」のであるから「御馳走を喰ふが第一」と勧めて
います。
明治35年9月19日未明、子規は数え35歳で永眠しました。
最後まで「食べること」に執着した壮絶な子規の生き方に、現代の私
たちも心を打たれます。
[参考]
正岡子規『仰臥慢録』
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/7/0070200.html
子規庵(東京・台東区根岸)
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◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント
の開催情報等をお届します。
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▼ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報
○ えいきやさん生誕祭とハイキング @檜原村 (01/10)
http://food-mileage.jp/2016/01/10/
○ たまつき発・寺田本家酒蔵ツアー2016(前半) (01/14)
http://food-mileage.jp/2016/01/14/
○ たまつき発・寺田本家酒蔵ツアー2016(後半) (01/16)
http://food-mileage.jp/2016/01/16/
○ 東京ウド収穫体験会 @小平 (01/18)
http://food-mileage.jp/2016/01/18/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には
必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。
○ ユギムラ祭
日時:1月24日(日)11:00〜16:00
場所:ユギムラ牧場(東京・堀之内)
主催:株式会社フィオ(FIO)
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/173246986372818/
○ 日本の田んぼを守る酒蔵「仁井田本家」を訪ねる旅
日時:1月30日(土)9:30福島・郡山駅集合
場所:仁井田本家(福島・郡山市田村町)
主催:CSまちデザイン
(詳細、お問合せ等↓)
○ 第11回 US.Peaceシェフズテーブル
日時:2月7日(日)11:30〜15:00
場所:Bouchon d’Or (ブジョン・ドール、東京・中央区銀座5-9-5)
主催:US.Peace
(詳細、お問合せ等↓)
http://uspeace.jp/user_data/event.php#sheff
○ セミナー「農村におけるつながりの価値・機能について」
日時:2月10日(水)14:00〜16:00
場所:農林水産政策研究所セミナー室(千代田区霞が関3-1-1)
主催:農林水産政策研究所
(詳細、お問合せ等↓)
http://www.maff.go.jp/primaff/meeting/kaisai/2015/20160210.html
○ 子規庵糸瓜寄席
日時:2月13日(土)17:30〜
場所:子規庵(台東区根岸2-5-11)
主催:(一財)子規庵保存会
(詳細、お問合せ等↓)
http://www.maff.go.jp/primaff/meeting/kaisai/2015/20160210.html
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* 今号のコツコツ小咄。
「山歩きをすれば、いい句ができますよ」
「えっ、そうなの?」
「俳句ing(ハイキング)って言う位ですから」
注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛(?)投稿中です。
https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7
* 次号No.87は、2月8日(月)[睦月朔日]の配信予定です。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて
頂いています。いつもありがとうございます。
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方
の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
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◆ 発行者:中田哲也
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