◆ F.M.豆知識
食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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「食生活パターンとがん」
ここ数回にわたって、食の安全や安心にかかわる事項を取り上げてきました。
例えば、自分でコントロール可能なリスクは実際よりも小さく感じられること、リスク認識の程度は一般消費者と専門家との間では大きく異なっていること等を紹介しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/54_risk.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/55_riskninsiki.pdf
そして前号では、科学的評価により決定される客観的な「安全」と消費者の主観的な心理的判断である「安心」とは異なること、さらに、私たちが安心を得るためには、消費者自らが情報収集し学ぶ努力が不可欠であることを述べました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/56_anzenansin.pdf
今号は、その知っておくべき情報の一例として、食生活パターンとがんとの関連性についての研究結果を紹介します。
去る6月20日付けの日本経済新聞に「欧米型の食事、乳がんご用心」といった見出しの記事が掲載されました。
これは、国立がん研究センター等による研究グループが公表した「多目的コホート研究」の成果によるもので、1990年と93年に全国9保健所管内に住んでいた人のうち、95年と98年のアンケートに回答した45〜74歳の女性約5万人を2012年まで追跡したという大規模な調査の結果です(「コホート」とは「群れ」や「世代」という意味です)。
研究対象の49,552人を約15年追跡したところ、718人が乳がんと診断されました。
そして、アンケート結果に基づき食事パターンを大きく3つ(野菜やいも類など健康型、肉類やパンなど欧米型、みそ汁や漬物など伝統型)に分け、各対象者のスコアにより5つのグループに分類して乳がんリスクとの関連を調べたところ、欧米型食事パターンのスコアが最も高いグループでは、最も低いグループに比べて乳がんのリスクが32%上昇することが明らかとなったのです。
健康型や伝統型の食生活では乳がんのリスクの上昇はみられませんでした。しかし、過去の多目的コホート研究の結果によると、食生活パターンが「伝統型」の度合いが強まるにつれて(塩分濃度の高い食品をよく食べるグループほど)、胃がんのリスクが 2.4〜2.9倍と、はっきりと高くなることが判明しています。
これらの結果からは、「健康的」なバランスの取れた食生活を実践ることの重要性が示唆されています。
[出典、参考資料等]
国立がん研究センター「食事パターンと乳がんリスクとの関連について」
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3809.html
同「食生活パターンと胃がんとの関連について」
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/262.html
FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html
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