「土と平和と福島と」(結イレブンvol.33)

 2016年9月11日(日)。
 午前中は東京・小平市で品川カプの栽培実習講座に参加した後、午後は高田馬場へ。
 新宿NPO協働推進センターへ。統合された中学校を活用した施設のようです。都心でも子どもの数は減っているということでしょうか。
 ここで16時から開催されたのは、福島復興の集い「土と平和と福島と」(結イレブンvol.33)。東日本大震災の月命日である毎月11日に定期的に開催されているふくしまと東京を結ぶ「結イレブン」も33回目となりました。
 広い多目的室に参加者は10名ほど。半分以上は学生など若い人たちです。
 きぼうのたねカンパニー(福島・二本松)の野菜等も販売されていました。
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 国際青年環境NGO 「A SEED JAPAN」 の西島香織事務局長から、
 「今日は15年前に米国で同時多発テロが起こった日。また、10月には「土と平和の祭典」への参加も予定していることから、今日は平和について考えたい」等の挨拶。
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 続いて結イレブンの主催者の一人である鈴木亮さん(東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)福島担当)から、
 世界人口73億人、難民の数は6,530万人に対して、日本の難民受入(認定)数は27人等のデータを紹介しつつ、
 「このような世界の情勢に自分たちはどこまで想像力を働かせられているか。福島から避難している人も難民と言えるかも知れない。大震災の経験から学び、支え合い分かち合う未来の社会に向けての話し合いを進めていきたい」等の説明。
 ここで、スカイプで福島・喜多方市山都町の有機農業者・浅見彰宏さん(ひぐらし農園)にインタビュー。
 千葉県のご出身、埼玉・小川町で研修をされた後に山都(三間の地です。)で新規就農された方。NPO福島県有機農業ネットワークの理事長でもあり、様々な地域活動にも取り組んでおられます。私はこれまで何度かお話を同う機会もあり、昨年7月には山都も訪問させて頂きました。
 月2回開催されている「あいかわ百姓市」 の会場からの中継です。浅見さんにとって平和とは、との質問には、
  「もともとアジアの貧困を解決するのに役に立ちたいという思いはあった。しかし西側先進国にいる限り加害者的要素を持っている以上、まずは自分自身が変わらなければと思い、なるベくシンプルなライフスタイルを目指そうと決心したのが農業を始めた理由」
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 百姓市の概要や獣害が深刻な状況、車がないと生活できない(化石燃料に依存せざるを得ない)不便さ等について話された後、都会の若い人に対する提案やメッセージを促されると、
 「自分は農業を選択したが、それが全てではない。地域の農業や社会を守っていくため、これまで移住や企業誘致を推進してきたが、これからは地縁的コミュニティに加えて特定の意識や目的を持ったコミュニティ(テーマ型コミュニティ)が重要になってくるのでは。
 例えば、毎年多くの堰さらいボランティアが都会からきてくれる。水路を守るというテーマで都会の人と山都の山間部とがつながっている。都会にいても地方や農業と繋がる方法は一杯ある」とのことでした。
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 その後、A4版の紙(裏紙利用)が配られ、4分割して「名前・所属」「個人としての平和とは」「国としての平和とは」「心がけていること」について、各自、記入しつつ休憩。
 休憩後、鈴木さんから「ひまごみらい平和アクション」の提案。
 まず「情報のライフスタイルを変える」。NGO等の無料メルマガに登録するだけでも効果は大きいとのこと。続いて「モノのライフスタイルを変える」。食べものや着るものの産地等を意識して選択する。そして「年収の3%をNGO等に寄付する」との内容。
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 その後、3人ずつに分かれてのグループ討議。
 同じグループになった大学3年生の男性は、戦争や平和についての教育が重要ではないか、自分としてはできるだけ世界のこと を理解していきたいと発言。大学4年生の女性は、鳥や虫の声が聞こえ土の匂いがすることが平和、 自然に優しい選択(合成洗剤ではなく石けん等)をしていきたい等。
 その後は全員でシェア。熊本支援のお菓子や鈴木さん手製のサングリアを出して下さいました。
 個人だけの平和はあり得ない、選挙に行って政治家にも物申すことがも大事、話を聞いて共感することが平和に通じるのでは等の意見が出されました。
 さらに「自分の生き方を自分で決められることが、平和ということではないか」との意見も。
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 16時頃、ゲストのハッタケンタローさん(一粒合同会社、環境エンタメ*プロデューサー、デザイナー)が到着し、お話を頂きました。
 埼玉・小川町在住で、10月の「土と平和の祭典」の実行委員も務めておられる方です。
 「小川町では初めて面としての有機農業の里を実現。世界遺産にも認定された和紙(江戸時代の情報のハード)の産地としても有名。小川町では有機農業の仲間も多く、様々な活動に取り組んでいる。人とつながり支え合うことが平和ということではないか」
 「アースデーは1970年頃に米国で始まった。環境問題は市民運動でやらないと継続しない。故・藤本敏夫さんの著書『農的幸福論』が「土 (農) と平和(幸福)の祭典」の開催につながり、今年で10回目となる。国民皆農という言葉もあるが、農は、団塊世代、団塊ジュニア、若い人等をつなぐテーマ の一つになるのではないか」
 等の興味深い話がありました。
 なお、今年の「土と平和の祭典」は10回目を記念して、10月14日(金)~16日 (日)の3日間開催とのことです(於 東京・日比谷公園)。
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 さて、「結イレブン」には私も何度か参加させて頂いてきましたが、原発被災地の復興に向けて福島と東京を結ぶという当初の趣旨からは、ややずれてきた感が無きにしも非ずです(浅見さん、ハッタさんの話には大いに得るところはありましたが)。
 平和が重要であることは間違いありませんが、あまりにテーマが大きすぎて、正直、議論も深まらなかったという印象。ちなみに前回は東京五輪を推進する団体とコラボしたそうです。
 さらには、もう一つの主催団体からは一人の参加者もなく、全体でも10人ほどとこれまでなかったような少なさでした。
 福島復興が「風化」しつつあるとは思いたくはありませんが。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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