【オーシャン・カレント】冨澤 剛さん


【F.M.Letter No.108; 2016.12/13 掲載】
東京・三鷹市の農家の4代目として、年間約30種類の野菜等を生産・出荷している冨澤 剛(とみざわ・たけし)さんは、このたび毎日農業記録賞の最優秀賞(一般の部)を受賞されました。
そのタイトルは「見直したぞ!東京農業私のイノベーション戦略~必要とされるために~」。去る11月19日(土)、江戸東京野菜コンシェルジュ総合講座の一環で富澤ファームを見学させて頂いた際、冨澤さんはその作品を朗読して下さいました。

農家の4代目(次男)に生まれた冨澤さんは、少年の頃、「地下の高騰は農家が土地を売らないからだ」「東京の農地は宅地化するべき」など東京の農業がまるで「悪者扱い」されているのを聞くたび、悔しい思いをされていたそうです。
その悔しい気持ちが、バブル期にも土地を売らずに続けてきた実家の農業を15年前に継いだ冨澤さんを奮起させました。スキルアップのため様々な勉強会等に積極的に参加されたとのこと。特に野菜ソムリエの資格取得が大きな転機となり、栄養士など様々な人と知り合うことができ、それをきっかけに小中学校の学校給食に食材を提供する途が開けたそうです。

現在は、のらぼう菜など江戸東京野菜の栽培(ご自身も江戸東京野菜コンシェルジュの資格取得者)、事業者と連携しての漬物加工、子ども達の農業体験の受け入れ、「こども食堂」への食材提供にも取り組んでおられるとのこと。

そして、農業を通じて子育て支援など社会問題を解消していきたい、農業を起点にしてローカルな経済活動を構築していきたい、農の力で人が幸せになることを目指したい、と述べておられました。

また、12月3日(土)には、冨澤さんが副部長を務めておられる地元ののJA東京むさし青壮年部の協力の下、三鷹緑化センターで「都市農地と防災」と題するイベントが開催されました。
多くの一般市民等が参加し、炊き出し体験の一環として地場野菜をふんだんに使った汁物等を頂きながら、防災面からみた都市部における農地の役割等について学習と意見交換が行われました。

昨年、都市農業振興基本法が成立・施行されるなど、都市農地の多面的な役割の重要性が再認識されています。しかしながら地価の高い都市部では、相続が発生する度に貴重な農地が売却・転用されるという状況が続いています。
都市農地がその公益的な機能を十分に発揮していくためには、都市農地の重要性に関するコンセンサスの醸成が不可欠であり、そのためにも、広く一般市民等との交流を通じた冨澤さん達の取組は非常に意義深いものがあります。

[参考]
とみざわファーム
http://www.tomizawa-farm.com/
毎日農業記録賞
http://www.mainichi.co.jp/event/mainou/

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