2017年3月18日(土)。
3連休初日は、穏やかな春の気配となりました。
自宅近くに借りている市民農園の一画へ。幸運にも契約更新でき春作業を本格化させる季節なのですが、生憎と正月前後から出た坐骨神経痛が全快しません。
まあ、加齢のせいですから付き合っていくほか仕方ありませんが。
翌19日(日)は東京・八王子市のクリエイトホール(生涯学習センター)へ。
14時から開催されたのは「小さな農と生きがいのある人生-『半農半X』という生き方」と題するイベント。
開演15分以上前に到着しましたが、200人以上も入れるホールは満席近くなっています。
定刻の14時から、塩見直紀(しおみ・なおき)さん の講演が始まりました。
塩見さんは1965年京都・綾部市生まれ。33歳の時に退職してUターンされ、現在は半農半X研究所代表、福知山公立大学地域経営学部特任准教授、総務省地域力創造アドバイザー等を務めておられます。
大きな字で書かれたスライドが正面のスクリーンに映し出されます(文責中田。なお、使用されたスライドは後日、希望者に送って下さいました)。
塩見さんによると「現在の世界は台風前の海に漂っている小舟のよう。向かう先がわからない。羅針盤も壊れていたり、海に落としていたり」。
21世紀の2大問題は、環境問題と天職問題(どう生きるか)。
それを解決するコンセプトが、持続可能な農ある小さな暮らしをベースに生きがい・天職(X)を活かす「半農半X」。
内村鑑三の「我々は何をこの世に遺して逝こうか。金か、事業か、思想か」(『後世への最大遺物』)等の言葉も引用されます。
塩見さんは博覧強記の方のようです。
哲学的ともいえる話の合い間には、塩見さんの活動の場である京都・綾部市の風景や(多くの地域資源に恵まれているそうです)、身の回りにある様々な「X」の写真(エックスフォトクラブ)も紹介されました。
塩見さんは理論家であるだけではなく、同時に実践者であり、楽しむことも忘れておられないようです。
今でこそ、移住や「田園回帰」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、塩見さんが「半農半X」のコンセプトを生み出されたのは20年も前のことだそうですから、この分野での先駆者のお一人であることは間違いありません。
休憩をはさみ、後半はワークショップです。
受付の際に配られたA4版のペーパー。9マスに分けられており、中央には「自分とまちの“エックス”をデザインする」とあり、まずここに名前と日付を記入。
そしてまず「あなたの型」として、分子に大好きなこと、得意なこと、気になるテーマ等を3つ記入。分母は活動フィールド(住んでいる町など)を埋めます。
続いて「X」として何を目指すか。人生で叶えたいことは(プロジェクト名を記入)。自宅から半径3km以内にある宝物(地域資源)をたくさんあげてください。自分の研究所の名前等々。
さらにはA~Zのアルファベットを並べ、それぞれを頭文字とするキーワードを書き出していくというもの。自分や地域の魅力を発見するための「魔法の手法」とのことですが、これはなかなか大変です。
これらキーワードを他の人と交換、組み合わせることによって、新しいまちづくり等がデザインできるとのことです。
もっともこの日はホールでの講演会だったので、会場ではグループワークはできませんでした。
終了後は、企画された石川さんに誘っていただき20名ほどで懇親会へ。
けいの家さんは、江戸東京野菜も積極的に出して下さるお店です。
この日の料理にも滝野川人参等が使われていました。
懇親会の途中でワークショップの続き。
4人ずつのグループに分かれて「X」のアイディアづくりです。わいわいと話し合って発表し合い、盛り上がりました。それぞれが自分の「研究所」を立ち上げる日も近いのかもしれません。
この日は講演会の会場で、塩見さんが代表をされている綾部ローカルビジネスデザイン研究所が発行したミニブックを求めさせていただきました。
「A to Z が世界を変える!」「じぶん資源とまち資源の見つけ方」そして「ローカルビジネスのつくり方問題集」の3冊です。
これらミニブックを活用することで、具体的なじぶん作り、まち作りをデザインするノウハウを得ることができるとのこと。
私も自分自身の「X」を探していきたいと思います。塩見さんから貴重な「宿題」を頂きました。