【ブログ】はじめての江戸東京野菜講座@新宿御苑

週後半の木・金曜と待望の雨が降り、畑の水不足もひとまず解消。好都合にも週末の2017年5月27日(土)は天気は回復、新宿に向かいました。

ところが電車が運転見合わせ、集合時間に30分ほど遅刻して新宿御苑に到着。電話しつつ出発していたガイドツアー(午後の講座のオプション)の皆さんを追いかけます。

フランス式庭園の辺りで追いつきました。バラが満開です。
 苑内を歩きながら担当の方が説明して下さいます。ユリノキも綺麗な花を付けていました。

ランチは、その名を冠したレストラン・ゆりのきへ。
 メニュー等をみると、江戸東京野菜など東京食材もふんだんに使われているようです。ジビエもあります。

壁には、江戸東京野菜コンシェルジュ協会・納所二郎理事長が書かれた軸(書と絵)が掲げられています。いずれも江戸東京野菜をテーマにしたものです。
 シカ肉のカレーを頂きました。内藤トウガラシも使われているそうです。

インフォメーションセンターへ移動。2Fのレクチャールームで13時から開催されたのは「はじめての江戸東京野菜講座~江戸東京野菜には物語があります」。
 東京にも伝統野菜があることを広く一般の方々に知ってもらうため、年数回、開催されています(主催は江戸東京野菜コンシェルジュ協会)。

江戸東京野菜コンシェルジュ協会の福島秀史理事の進行で開会。納所理事長からの挨拶に続き、講師の大竹道茂さん(江戸東京・伝統野菜研究会)が登壇されました。

JA東京中央会に勤めておられた時から、当時はあまり知られていなかった江戸東京野菜の復活・普及に精力的に取り組んでこられた方。
 江戸東京野菜コンシェルジュ協会の会長も務められ、「江戸東京野菜(物語編、図鑑編)」等の著作もあります。

スライドを映しながらの大竹さんの説明は、以下のような内容でした(文責・中田)。
 「東京都は東西に長く、西には2000m級の山があり東には海抜0m地帯も。島もある。色んな作物が栽培されており、東京農業は日本農業の縮図とも言える」

「江戸東京野菜の復活・普及の取組を始めた平成元年頃は10数種類だったが、生産者を探したりジーンバンクから種を取り寄せたりして生産を復活させていった。神社庁の協力も得て1997年頃から神社の境内等に屋外説明板を設置」
 「現在は45品目が江戸東京野菜として認定されている」

「江戸東京野菜の取組みの特色は固定種にこだわっていること。今、全国的に伝統野菜が注目されているが、中にはF1(交雑)種を含むものもある。
 固定種は3割位は規格通りにはできない。伝統小松菜は葉が広がるなど栽培に手間が掛かり非効率。これらの理由から生産が減少してきたもので、不味い訳ではない。今、改めて食べてみると美味しい」

「江戸開府により人口が急増し野菜不足になったため、諸大名は国許から野菜の種を取り寄せて栽培するようになった。全国の野菜の種が江戸に集まり、旧中山道の巣鴨辺りには多くの種屋が開業して種屋街道とも呼ばれた。
 大名が参勤交代で帰国する際には種を江戸土産として持ち帰るようになり、江戸の種が全国に広がることとなった。
 練馬系のダイコンが全国各地に広まっていることは古文書でも明らかだし、全国のゴボウの8割以上は滝野川系」

「新宿の農業について。
 新宿御苑は徳川家康の重臣・内藤家(後に信濃・高遠藩主)の屋敷があった地で、内藤トウガラシや内藤カボチャはそのことに由来。内藤カボチャは西洋カボチャのようにホクホクと甘くはないが、食べ方を工夫すれば本当に美味しい。
 明治の一時期には農事試験場になり、近代日本の農園芸の発展に重要な役割を果たした地でもある」

「田山花袋『東京の三十30年』には『早稲田は一面のミョウガ畑』とある。早稲田ミョウガは無くなったと言われていたが、早稲田大学の学生たちと捜索隊を結成して民家の庭で発見した」

「各地で生産者グループが江戸東京野菜の栽培に取り組んでいる。まちづくりや食育にも積極的に活用されており、ある小学校では学年をまたいで種の贈呈式を行っている。
 江戸東京野菜コンシェルジュの皆さんも色んなキャリアを活かしながら活動している。
 仏・オランド大統領が国賓として来日した時には、官邸の昼食会で三國シェフが江戸東京野菜の料理を提供された」

大竹さんの講座の後は、江戸東京野菜の料理への活かし方と食味体験(試食)です。

今回の食材は川ロエンドウ(八王子)とアシタバ(伊豆諸島)。
 レシピ開発と調理を担当された上原恭子理事(野菜ソムリエ)からは、旬の食材を生かし切るように工夫したというメニュー等の紹介。
 福島理事からは、1軒だけが生産していたという川口エンドウの生産拡大の取組み等について説明がありました。旬の期間は短い(5月の連休から5月末位まで)そうで、この日の食味体験は貴重な機会とのこと。

食味体験(試食)の会場に移動。
 ランチを頂いたレストラン・ゆりのきに向かって、緑のあふれる苑内を移動。

スタッフの皆さんが、試食の準備を整えて待っていて下さいました。
 まず川口エンドウは、筋も除かずそのまま姉でたもので食味や食感を体験した後に、炒めたカツオ節とあえたもの、それにポテトサラダ(じゃがいもは大分産。上原さんの知り合いの方のもの)。

アシタバは、茎と葉に分けて茹でたもので素材の味を体験した後に、ベーコン炒めと炊飯を頂きました。

最後に伊藤総料理長さんがデザートに「内藤とうがらしクレープ」を出して下さいました。食べた後に辛味がほんのりと香るような絶品です。
 なお、この日はNHKの取材(カメラ)も入っており、参加者の何人かはインタビューされていました。

お土産(八丈島産のアシタバ)まで頂きました。
 この日の講座は初心者向けのもので、私はこれまで大竹さんの話は何度もお聞きしているのですが、今回も多くの内容が追加・拡充されており、新しい発見もありました。江戸東京野菜の試食も貴重な体験になりました。

江戸東京野菜コンシェルジュ協会では、これからも随時イベント等を開催される予定で、秋にはコンシェルジュ資格取得のための育成講座(総合コース、第7期)も予定されているとのこと。
 農業のみならず、食育や地域づくりに関心のある方にとっても内容の濃い講座等が続きます。

帰途、西新宿の常圓寺に立ち寄ってみました。
 第8回ロータス寺市の開催日。お寺を会場に年3回開催されているマルシェです(主催は特定非営利活動法人ロータスプロジェクト)。

ほとんど終了の時間だったのですが、今回もこだわりの農産物や加工品、フェアトレード商品など、国際色も豊かなブースが並んでいました。
 内藤とうがらしプロジェクトも出展されており、新商品の「梅七味」を求めさせて頂きました。

ところでこの日は、新宿の町全体が何となく浮かれていたのは、花園神社の例大祭の日に当たっていたためです。御苑近くにも神輿と法被姿の人たちがおられました。

花園神社に立ち寄ってみると、境内の神楽殿では里神楽が演じられ、多くの露天が並んでいます。
 暮れなずむ中、外国人の方を含む大勢の人たちで賑わっていました。