2017年7月6日(木)の夕方。
前夜に台風3号が慌しく通過したものの「台風一過」とはならず、それどころか福岡・大分を中心に大きな豪雨被害が出ているとのニュースを聞きながら、東京・神保町にある農文協・農業書センターへ。
ドラッグストアの中の階段を3階に上がると、農林業や食、地域活性化づくり等に関する豊富な書籍や雑誌が並べられています。固定種の種なども販売されており、随時、様々なイベントも開催されています。
この日開催されたのは「スライド上映・沖縄戦(緊急開催)」。
書店のフロアに丸椅子が並べられましたが、50名以上が集まったようで立ち見の方も多数。
先日、亡くなられた大田昌秀さん(元沖縄県知事、戦史研究家)が残された『写真記録 沖縄戦-国内唯一の“戦場”から“基地の島”へ』(2014年5月、高文研)は、沖縄戦の悲惨さを伝えるため、大田さんご自身が米国立公文書館に通って収集された写真等と図版で構成されています。
この日は、その写真集の一部がスライドとして上映されました。解説は山本邦彦さん(高文研編集者)です。
冒頭、山本さんから大田さんとの交流の様子等についてお話がありました。
「大田さんの本は高文研から3冊しか出していないが、私が編集を担当した『沖縄鉄血勤皇隊』が最後の著作となった。沖縄戦男子学徒隊・全12校の記録を残したいと、大田さんから依頼があったもの。昨年12月頃から体調を崩され、今年1月にお会いした時も衰弱されていた様子だったが、大きなステーキを平らげられた。これがお会いした最後になった」
「亡くなられた6月12日は、92歳の誕生日でもあった。大田さんは、自らが体験・目撃したようなことを二度と絶対に起こしてはならない、それが生き残った者の義務という気持ちが強い方だった」
そして映写が始まりました。
沖縄戦までの経緯(学童疎開船・対馬丸の沈没等)米軍の慶良間諸島、続いて沖縄本島への上陸、死闘(特攻等)を経ての首里司令部の崩壊、勝ち目のない戦場に投入された14~17歳の学徒隊、捕虜と収容所の様子、久米川事件(日本兵による住民虐殺)など。
圧倒的な映像の迫力に、会場は静まり返りました。
1時間弱で180枚ほどのスライドが映写された後、山本さんは地元紙を掲げ、
「大田さんは政治家としてだけではなく研究者としても偉大だった。県民にも慕われ、逝去された際は地元紙に多くの投書が掲載された。7月26日には県民葬も予定されている」
「沖縄の地元紙に掲載されている書店の広告は、他の系列の出版社の本も含め、書店として売りたい本が紹介されている。これは沖縄独特の大事にして欲しい分化の一つ」との紹介もありました。
私自身は、沖縄戦についての詳しい知識は持ち合わせていません。
この日お話を伺ったのをきっかけに、まずは求めさせて頂いた3冊の方から勉強したいと思います。
貴重な機会を提供して下さった農文協・農業所センターの皆さまにも感謝申し上げます。