2017年7月8日(土)。
福岡・大分を中心とする豪雨被害は、全貌が明らかになるに連れてますます被害が拡大。テレビの濁流の映像等には身をすくめるばかりです。
一方で関東地方では晴天が続き、荒川水系では20年ぶりに取水制限とのニュース。自然とは不都合なものです。
この日の午前中は、自宅近くに一画を借りている市民農園へ(暑い!)。
今年は春作業が出遅れたものの、キュウリ、枝豆、いんげん、ミニトマト、あやめかぶ等の収穫が本格化しつつあります。寺島ナスも最初の実を付けてくれました。自然は災厄も恵みも、もたらしてくれます。
この日の午後は勉強会2本立て。
(もっとも、どうやら自分は勉強が好きなのではなく、勉強していること(ポーズ?)が好きなのだと、ようやく最近気付いてきました。)
メトロ竹橋駅から程近い ちよだプラットフォームスクウェアへ。都心も猛暑です。
15時30分から開催されたのは「子どもの貧困が日本を滅ぼす~社会的損失のデータと貧困対策で子どもはどう変わるか~」と題する特別研究会(主催:戦略経営研究会)。
戦略経営研究会とは、茂木正光さん(行政書士・司法書士)が主宰されている専門性あるビジネスパーソンによるグループで、800名以上が参加しており、月2回ほどのペースでこの日のような勉強会も開催されています。
講師は小林庸平さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済政策部主任研究員)。話題となった『徹底調査 子どもの貧困が日本を滅ぼす』(2016.9、文春新書)の共著者の一人で、この日の講演も本書の内容紹介が中心でした。
自己紹介に続き、まず「子どもの貧困率」が直近では低下していることについて紹介がありました。
2012年の16.3%(6人に1人)まで上昇傾向にあった子どもの貧困率は、2015年には13.9%(7人に1人)に低下したとのこと(本年6月30日に公表された厚生労働省「国民生活基礎調査」)。主な要因は雇用者所得の増加で社会保障の充実ではないこと、国際的にみると子どもの貧困率はまだ高い水準であること等についても説明がありました(この部分は本が出版された以降の新しい情報であり、特に参考になりました)。
このように問題は深刻であるにもかかわらず、多くの人にとって子どもの貧困は身近ではない「ヒトゴト」。
それを「ジブンゴト」として認識し、実際の行動につなげていくために、改善策を講じなかった場合の経済的影響(社会的損失)について具体的な推計をされたのです。
その結果、子どもの貧困の社会的損失は所得でマイナス42.9兆円。財政収入ではマイナス15.9兆円になるとのこと。
そして、問題解決のためには客観的な議論が必要であるとし、米国における研究成果を引用しつつ、子どもの貧困対策については高い投資対効果があることを紹介されました。
さらに結論として、家庭を巻き込んで、早期に、非認知能力(学力ではないコミュニケーション能力等)を高める政策を取ることの重要性等を強調されました。
引き続き、会場の参加者との質疑応答。
この日は、大学教員、マスコミ(新聞社)記者、税理士等のほか、障がい者就労支援や福祉関係のコンサルタントをされている「現場の」方も参加されていました。
「ジブンゴト」にすることが重要という点に共感した、様々な交流会の開催が有効では、リテラシー(読み書きや九九など)さえ乏しい子どもたちが多いのが現実といった意見が出されました。
「貧困や格差」と言葉で言うのは簡単ですが、小林さんの指摘どおり多くの市民にとっては(私自身も含め)問題の深刻さを身近に感じてはいないのが現状です。その「ヒトゴト」を「ジブンゴト」にするための様々な取組み(小林さんの場合は経済的損失の計測)が重要と、改めて感じさせてくれた有意義な研究会でした。
もっと色々とお聞きしたかったこともあったのですが(せっかくの懇親会も予定されていたのですが)、残念ながら次の勉強会に向かいました。
外に出ると、都心はまだまだ熱気に包まれています。
時間がないこともあり、タクシーを拾って江戸川橋に急ぎました(続く)。