世田谷・喜多見農業公園で頂いてきた種を育てた大蔵大根は、2年目の品川カブとともに豊作。とても食べ切れそうにありません。
その大根とカブを抱えて、2017年12月18日(日)は群馬・南牧村を訪ねてきました。
2014年の日本創生会議のレポートで「消滅可能性」全国一位の自治体とされる一方、様々な地活性化策に取り組んでいることでも著名な地です。
ちなみに長野県にも同名の村がありますが、こちらは「みなみまきむら」と読みます(ややこしや)。
朝8時にJR川越駅西口に集合。
NPO法人エコ・コミュニケーションセンター(ECOM)主催の伝統食づくりツアー2回目の参加者は、ECOMの森良さんを含めて6名です。
前週の比企ツーリズムから2週続けて森さんにお世話になることに(大根とカブは森さんへ)。
関越道でひどい事故渋滞に巻き込まれ、下仁田IC経由で南牧村に入ったのは10時20分頃。
休憩を兼ねて道の駅・オアシス南牧に立ち寄り。見事な下仁田ネギも並べられています。
役場を過ぎてさらに西へ。南牧川の谷が次第に深くなってきます。
途中下車した「蝉の渓谷」は紅葉の名所とのこと。
次第に道路の幅が狭くなり、傾斜もきつくなってきます。今朝、舞ったらしい雪が残っています。
目的地である星尾集落(南牧村でも最も奥まった地域)に到着したのは、予定よりだいぶ遅れて11時過ぎになりました。
石垣の坂道を登った所にあるのが、同県内から4年ほど前にIターン移住された小保方努さん宅です。
囲炉裏や障子もある懐かしい雰囲気の古民家ですが、水回り等は村が改築したそうで、キッチンや洗浄器つきトイレは綺麗です。
小保方さんは「南牧村に学ぶ会」の事務局長で、切り干しプロジェクトの代表でもあります。
まずは、こんにゃく作り体験から。
南牧村はこんにゃく栽培の発祥の地とされており、今は杉が植林されている土地の多くは、かつてはこんにゃくの段々畑だったとのこと。最盛期にはトラック1台分出荷すると数百万円にもなり、灰色のダイヤとも呼ばれていたそうです。
1800ccの水を張ったボールに、50gのこんにゃく粉(「和球(わだま)」と呼ばれる在来種)を入れて、ひたすら掻き混ぜます。次第に粘りが出てきて、腕が疲れてきます。
3人で交代しながら20分ほど、泡立て器を持ち上げてもこんにゃくが落ちなくなり、ようやく小保方さんからOK。そこへ消石灰水200ccを注ぎ、さらに20分ほど攪拌。
型に入れたところで体験は終了です。
昼食は小保方さん手作りのカレー。鹿肉入りです。柔らかくクセはありません。
なお、ここでも獣害は深刻とのこと。
ジャガイモ餅も出してくださいました(これも美味)。
村の自然、文化財や伝統行事等の様子(「大日向の火とぼし」はすごい迫力!)を描いたDVDをみせて頂いた後、集落を案内して下さいました。
集落自体が傾斜地にあるため、どの住居も石垣の上に立てられています。数軒先の古民家は、現在、温泉施設に再生するプロジェクトが進行中です)。
プロジェクトリーダーで、近くにある民宿のオーナーでもある米田優さんが出迎えて説明して下さいました。
築150年を越える100坪ほどの伝統的建築物。養蚕等のために2階部分は広い一間になっています。留守宅になっていたのを、ガス設備等を除いて地域の方達の手で改修が行われており、来春の開業を目指しておられるそうです(クラウドファンディングも募集中。私も小額ながら申し込みさせて頂きました。
道路沿いの川には大きな岩がゴロゴロ。見上げると青空に大屋山の雄姿が映えます。
少し下ったところにあるのが、米田さんがオーナーをされている体験型古民家民宿・かじか倶楽部。
なお、米田さんご自身も移住者(千葉県出身)とのことです。
薪ストーブがある広間(食堂)の壁には、写真や、体験に訪れた子ども達の絵がたくさん飾られています。暖かい雰囲気のなかでコーヒーを頂いた後、館内を見学させて頂きました。
渓流を望む各部屋には専用の露天風呂があります。そば打ちや木工等の体験のための部屋もあります。
地下室は、簡単なコンサートもできそうな雰囲気のあるスペースです(これは、一度泊まりに来なければ)。
さらに集落内を散策。高い石垣が連なる景観は見事です。
地域の方達と行き会うたび、にこやかな挨拶が交わされます。高齢ですが、みなさん、足腰も丈夫でお元気な様子。
小保方さんは心強い存在のようです(「テレビがつかないと言われて行ってみると電池が切れていただけ。交換してあげたらビールを頂いた」といった話も伺いました)。
小保方さんが借りておられる畑へ。
たくさんのサツマイモが掘り出されていますが、ここ数日の寒気で駄目になってしまったそうです(もったいない)。
建物に入ると1階には蒸し器。階段を上った2階では、蒸してスライスした芋が金網の上に並べられています。
寒風にさらして天日干しすることで、伝統食である「切り干し」ができます。
並べられた芋を裏返す作業をお手伝い。わずかな時間でしたが「1人でやると小一時間はかかるので助かりました」と言って頂き、かえって恐縮。
試みに畑に鍬を入れてみました。珍しい二本爪ですが、堅くて土に入りません。
再び地域の方達と挨拶を交わしながら、小保方さん宅へ。寂しい地域という感じはしません。
その後は、車に乗って風穴を見学。地中から冷風が出ていて、蚕種の保管場所として使われていたとのこと。
見上げると立岩の雄姿。他では見られないような不思議な光景です。
小保方さん宅に戻ると、こんにゃくを茹でて小分けして下さっていました。お土産に頂きました。
短い時間で振り返り。もの作りの楽しさを体験できた、貴重な財産である古民家を守っていきたい、自分も無駄の無い暮らしを追求していきたい等の感想。
帰りは森さんの事務所のある小川町駅で解散。東武東上線で帰途に着きました。
「消滅可能性」全国一というイメージがばかり強かった南牧村ですが、実際に足を運んでみると、移住者の方達の活力と、地域の高齢者の方達の元気な様子が印象に残った日帰り旅行でした。
森さん、地域の皆さま、お世話になり有難うございました。
ECOMではこれからも南牧村へのツアーを継続していく予定とのことです。