2018年4月28日。GWは夏のような好天でスタートしました。
JR十条駅北口を出て踏切を渡った先には「十条中央商店街」の看板。なかなか昭和的な街並みです。
商店街を抜けたところには浅間神社があり、「祝 世界遺産登録・富士山」との看板も。
軽く富士登山と参拝をして商店街を戻り、お目当てのパレスチナ料理店・Bisan(ビサン)へ。
さほど広くない店内は一杯です。
12時から開催されたのは「パレスチナ トーク&ランチ~ゲスト:写真家 高橋美香さん~」。
パレスチナの家庭料理を頂きながら、写真とともに高橋さんのお話を伺おうというイベントです。
主催の岩本薫美子さんは二胡の演奏者で、池袋のたまTSUKIで偶然知り合った方。
個人的な知合いを中心とする小規模のイベントに、声をかけて下さったのです。
まずはランチ。テーブルに並べ切れないほどの皿が並びます。
現地から取り寄せた食材やスパイスも使った、Sudkiシェフによる本場のパレスチナ家庭料理です。
ホンムス(ひよこ豆)、バスクド二スィーヤ(ナスとゴマ)など4種類のペースト。サラダにモロヘイヤのスープ、ピタパン。ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ風揚げ物)。
煮込み料理はバーミヤ(オクラとトマト)、ファースリーヤ(インゲンとパプリカ、トマト)。
それにローストチキンなど。
サフランライスは長粒種のお米が使われており、さらさらとして他の料理と合います。
あまり馴染みのない料理ばかり。
どれもオリーブ油がたっぷりと使われていますがくどくなく、見た感じほどスパイシーでも辛くもありません。いずれも美味しく頂きました(食べ切れないほどのご馳走でした)。
食事が一段落したところで、高橋さんのお話が始まりました。
高橋さんは「困難」と闘う人々の日常を主なテーマとして、パレスチナ、アフガニスタン、沖縄、東日本大震災の被災地等での撮影活動を続けておられる方。
『パレスチナ・そこにある日常』、『それでもパレスチナに木を植える』等の著作もあります。
「困難を抱えている地域を訪ね、そこで暮らす人たちを撮影してきている。その地の日常を感じてもらえたらと思う。
パレスチナにはこれまで8回ほど行っていて、今回はヘブロン(南部)、ジェニン(北部)、ビリン(中央部)での話を中心にする。居候させてもらって、生活を共にした土地もある」
高橋さんが現地で撮影されてきた写真が、順番に映写されます。
「パレスチナにはあちらこちらに検問所がある。イスラエル兵が深夜に突然家に入ってきて、家族全員の身分証を調べるといった場面にも遭遇した。パレスチナ人に出て行って欲しいという嫌がらせ。家を壊されたり、拷問で殺された人も。
サッカー好きの14歳の少年は、フェンスの近くにいただけで4時間拘束された」
「しかし若いイスラエル兵と話してみると、彼らも普通の若者。兵役という国のシステムに組み込まれている」
「当然ながら、平穏な日常の日々もある。家族とのふれあい。友達といる時の子ども達の笑顔。ヤギや羊を放牧に連れていく様子。トマト農場での収穫」
「数年前には、日本からの支援金も活用させてもらい、ガレキに埋もれた地を耕してオリーブやレモンを植えた。順調に育っている。
厳しい状況の中だが、人々は不屈の精神で懸命に生きている」
深刻な政治情勢も子ども達の笑顔も、どちらもパレスチナの「日常」とのこと。
窓の外は、商店街を家族連れやカップルが行き来する平和な日本の景色。コントラストの大きさに胸が締め付けられる思いもしました。
最後に岩本さんから(岩本さんも、最近、高橋さんとともにパレスチナを訪ねてこられたそうです)、
「現地を訪ね、友だちが1人でもできると他人ごととは感じられなくなる。これからも高橋さんの活動を応援して欲しい」との話がありました。
ところで、この日の参加者には、高橋さんの写真集「Bokra」が一冊ずつ配られました。
「ボクラ」とはアラビア語の方言で「明日」の意味とのことです。
扉に高橋さんは、
「明日こそは、今日よりいい日でありますように。みんなの笑顔に会いたくて、私はまたパレスチナに向かう」と記しておられます。
帰り際に、パレスチナ製のトートバックを求めさせて頂きました。
イドナ村というところの女性たちが、一針一針ハンドメイドしたクロスステッチしたそうです。
色鮮やかで、細かな刺繍のバッグです(丈夫そうでもあります)。
岩本さんからは「一緒にパレスチナに行きましょう」とお誘いも頂いたのですが、さて・・・。