【ブログ】新潟・上越市大賀の「秋上げ」

2018年11月10日(土)は久しぶりに新潟・上越市大賀へ。
 ふるさとラボ大賀(農作業や地域の行事に参加するため、年数回、大賀に通っているグループ)の今年最後のイベント。私は夏の草刈り以来の参加です。

朝7時に高田馬場駅前で「みずか」さん(ふるさとラボ大賀代表)の車に乗せてもらい(同乗3名)で秋の行楽シーズンで混雑している関越自動車道を北上。

いつもの上里SA(埼玉・上里町)で地粉うどんの朝食。

この辺りは小麦の産地なのですが、アンケートに答えると「彩のきずな」というお米の2合パックを頂きました。
 埼玉県農業技術研究センターが開発した高温障害にも強い新品種で、2017年産食味ランキングでは「特A評価」を獲得しているとのこと。

北上するに従い、山全体が紅や黄色に彩られるようになってきました。青空に映えて綺麗です。

ところが関越トンネルを抜けると天候が急変。霧がかかり細かな雨が落ちています。
 この日はちょっと遠回りして日本海沿岸を経由。柏崎の恋人岬には、鍵で柵に結びつけられた大量のハート型のプレート。雨は上がっていますが、曇天の日本海は迫力があります。

岬のたもとにあるのが日本海鮮魚センター。新鮮な海産物や加工品の直売所でレストハウスも併設されています。
 イナダとイカを求め、刺身用に下ろしてもらいました。

国道8号線を左折して上越市吉川区(旧吉川町)の中心部を抜け、いよいよ車は山間部へ。
 大賀地区への入り口には本年9月にリニューアルされた看板が。現代美術家・しゅんさくさんの力作です。

さらに20分ほど登って大賀に到着。吉川区の中でも最も上流に位置する集落です。

お世話になっている中村昭一さん(「師匠」と呼ばせて頂いています。)宅を訪ねて到着の挨拶。
 庭先には見事なショウガが並べられていました(翌日の品評会に出品されていました)。

この日は師匠の案内で「山さわぎ」(山を歩いてきのこなどを採取すること)をする予定でしたが、かなりの雨が降ったそうで取り止めに。

通称「庵寺」(あんでら)へ。普門庵というお寺だった建物を集落が改修・管理しています。
 柿の色が鮮やかで、大賀は晩秋から初冬の風情です。

手分けして掃除や風呂焚きをしているうち、中村さんの奥様はじめ集落の方たちが集まり始めました。
 鴨肉をさばいて鍋を作って下さいます。地元産の野菜もたっぷり。

さらに地域の方たちが手づくり、心づくしの料理を持ち寄って下さいました。鮮魚センターで求めてきた刺身も。

熱々の鴨汁はたまらない美味しさです。

ちなみに私は、地元・豊島屋酒造の日本酒「屋守」(おくのかみ)と、自宅の市民農園で収穫した紫落花生(山梨・上野原市西原由来)を持参。

世帯数5戸ほどと外形的には限界集落と呼ばれる地区ですが、関東から移住してこられたご一家(4歳のお嬢さんも)や最近結婚された後継者の方なども参加されて、賑やかに盛り上がりました(集合写真は赤木(谷内)美名子さん撮影)。

翌11日(日)は7時を過ぎてようやく目が覚めました。
 昨夜の内に2名が到着、東京からの参加メンバーは5名になっています。

朝食の準備はお任せして(いつもスミマセン)、小雨がちの中を棚田の方に散歩。
 モヤがかかって幻想的な美しさです。今年の豪雨で破損した法面には修復の跡があります。

パイプから水が入れられていました。
 天水に依存している棚田は、冬の間から水を張っておくことで渇水に備えるのだそうです。様々な生き物が暮らす場にもなります。

朝食のご飯は、新潟県の新品種・新之助
 新潟県農業試験場が開発した新品種で、コシヒカリ集中のリスク回避も念頭に置いた耐暑性の晩生品種とのこと。日本の米づくりにも、様々な新しい動きが出ているようです。

朝食を済ませ、車で30 分ほどの旧・吉川町立源(みなもと)小学校へ。
 ここの体育館を会場に開催された「秋上げ」とは、上越市吉川区(旧吉川町)の山間部に当たる源地区の毎年恒例の行事。8組に分かれての集落対抗の運動会も行われます。わが大賀は高沢入地区との合同チーム。

9時過ぎに到着した時には、第2種目のペタングの予選が行われていました。
 高齢の方が多いものの、若い方や子ども達の姿もあります。

脇のテーブルの上には、地元の方々が手塩に入れて作った農産物や工芸品が並べられています。品評会も兼ねた行事で、ネギ、キャベツ、ショウガなど見事です。

子ども達のパン食い競争も。われ先にと吊り下げられたお菓子の袋をくわえ、走る子ども達の姿に、観戦している大人達から歓声がわき上がります。
 最後は、80歳以上は子どもと同じと、高齢者と子ども達が一緒に競争しました。

風船割りリレーは、男女二組で風船を膨らませお尻で割るという単純なゲームですが、なかなか膨らまなかったり(コツが必要)、何度も腰を落としても割れなかったり(膨らまし方が足らないとなかなか割れません)。
 滑稽な姿に会場は笑いの渦に包まれます。

輪投げや玉入れも。
 勝ったチームからは歓声、負けたチームからはため息。集落が一体となって楽しんでいます。

東京組も応援要員として参加しました。私は風船割りと輪投げに挑戦しましたが、どちらも惜しくも予選敗退。

閉会式では全員が整列して成績発表。続いて品評会の結果発表と入賞された方に賞品の授与。
 最後は全員で万歳三唱です。

引き続いて出品された農産物等のセリが行われました。
 順番に競られていきます。参加者の皆さんは運動会の間に目をつけていた一品を逃さないよう虎視眈々。大いに盛り上がりました。

終了後は、大釜で煮られた豚汁と、おむすびが2個ずつ振る舞われました。集落毎に車座になって頂きます。
 熱々の豚汁は、冷たい体育館の床の上ではことさら美味です。競り落とした野菜の話題等で盛り上がりました(私は胡桃をゲット!)。

このような行事に参加したのは初めての経験でした。
 この地域では人口が減って高齢化が進み、しかも車社会のため、普段は道で会っても(すれ違っても)話はできないそうです(全国どこでも似たような状況と思われます)。

年に一度の「秋上げ」は、地域社会を維持するための重要な行事になっているようです。

お腹も心も温かくなったところで、庵寺に戻って掃除と片付け。

5年前に移住された赤木(谷内)美名子さん が、もんぺの生地を持ってきて見せて下さいました。

移住前からのパタンナーの仕事を続けられている美名子さんは、農業や子育てもされつつ、越後亀田縞を使ったオール新潟の「お洒落な農作業着」を作る工房(もんぺ製作所)を立ち上げられました。
 近く本格的な受注と生産が始まるとのこと。楽しみです。

中村さん宅に寄って、お預けしてある味噌の熟成度合いをチェック。まだ少し寝かせておいた方がいいようです。
 お願いしてあったお米を2kg、5kgの袋に小分け。申し込んでいた他のメンバー用に持ち帰ります。
 中村さんご夫妻にお礼を言って、ススキやクミの実も美しい大賀を離れたのは15時前。

帰りは3台に分乗。私はSさんに乗せて頂きました。
 セリで珍しいおかめかぼちゃをゲットしたSさんは、立ち寄った青空市場でも種採り用に野菜を購入されていました。勤め先でも個人でも、野菜などを作っておられます(毎回、大賀にも持ってきて下さいます)。

行楽シーズンの常磐道は、やはり激しい渋滞。帰宅した時は21時を回ってしまいました。
 大賀の皆さま、ふるさとラボの皆さま。今年も1年お世話になりました。来年もよろしくお願いします。