【豆知識】国土を守る小規模町村

37.8万平方kmの国土に1億2700万人が暮らしている日本。
 全国平均の人口密度(1平方km当たり人口)は336人ですが、これは地域間で大きな差があります(リンク先の図171の左側の赤い棒グラフ)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/06/171_kokuchou.pdf
 
  これによると、DID地区(人口集中地区)は6,794人であるのに対して、それ以外の地域は110人と、極めて大きな差があります。
 市町村別にみても、市部は536人であるのに対して郡(町村)部は70人、町村のなかでも人口5千人以上1万人未満の町村は37人、人口5千人未満の町村は15人と、小規模町村の人口密度は非常に小さくなっています。
 つまり、小規模町村は一般的に「非効率」とされ、「撤退」すべきとされることさえあります。

 しかし、ここで試しに、単純に分母と分子を入れ替えてみると、全く異なる景色が現れます。
 グラフの右半分(緑の棒グラフ)は、住民1人当たりの土地面積を示したものです。
 これによると、全国平均では0.3ヘクタール、DID地区は0.01ヘクタール(100平米)に過ぎません。
 また、市部は0.2ヘクタールであるのに対して郡部では1.5ヘクタール、うち人口5千人以上1万人未満の町村は2.7ヘクタール、人口5千人の町村は6.9ヘクタールとなっています。

 当然ながら人口密度と全く逆の姿になるのですが、このことは、一般的に非効率とされる小規模町村の住民は、そこにで暮らすことによって、非常に広い面積の国土(森林や農地)を管理していることを示しています。
 森林も農地も適切に管理されて初めて、水資源の涵養、洪水の防止、食料の供給など多面的な機能を発揮することができるのです。

[出典等]
 総務省統計局「国勢調査」
  https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka.html 

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出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.171
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(過去の記事はこちらにも掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/