【ブログ】 銀座農業コミュニティ塾 第10回 勉強会(有機農業)

今年(2019年)は7月に入っても、なかなか気温が上がりません。
 記録的な冷夏に見舞われた1993年は、作況指数が74まで落ち込み、米の緊急輸入が行われたという記憶が頭をよぎります。杞憂であればいいのですが。

7月10日(水)の終業後は、東京・京橋へ。
 もっとも「ゆう活」のため普段より退庁が1時間早く、途中、日比谷図書文化館などに立ち寄るなど、ゆっくりです。

7月10日(水)の終業後は、京橋の東京スクエアガーデンへ。毎回、立派な建築に圧倒される思いがします。
 6階の中央区立環境情報センターでは、環境に関する 展示やイベント等が行われています。七夕飾りもありました。

19 時からセミナー室で開催されたのは、銀座農業コミュニティ塾第10回勉強会
 様々な立場の塾生の方達の交流を通じて、自然や生命を大切にする農的社会の実現を目指す勉強会が、ほぼ2ヶ月に1回のペースで開催されています(誰でも参加できます)。

 10名ほどの参加者(うち初参加は3名)から一言ずつ自己紹介の後、蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)からの講義が始まりました。
 なお、文責は全て中田にあります。

前半は、今、先生が考えていることについて。
 「高度成長から現在まで、時代の象徴はグローバル化であり、そのベースには大規模化があった。生産工程は分業化・パーツ化され、ひたすらマーケット(GDP)の拡大を目指してきた。その結果、『生きにくさ』 が募ってきているのではないか」

  「これからは『小さいことがいい』という時代になって欲しい。国連の『家族農業の10年』や『小農の権利宣言』など、世界的に資本主義的農業に対抗するムーブメントが起こっている。小さい農業だか らこそ、販売まで含めて自ら裁量でき、地域の循環にもつなげていける」

 「ピュアな社会から混じり気のある社会へ。人と人との触れ合いを大切にし、生命を尊重する農的社会の実現に向けて、できる範囲で『小さなこと』をやっていこうと呼びかけていきたい」

後半は、この日のテーマである「有機農業をめぐる最近の動き」について。
 レジュメは事前にメールで配布されています。

 「有機農業をめぐる状況は、だいぶ変わってきているという実感。
 世界の有機農地面積は約7000haと、17年間で5.3倍に拡大。小売販売額も5.4倍へと増加。
 面積ではオセアニアが51%、スペインなどヨーロッパが 21%を占めている」

 「有機面積比率は世界平均で1.4%。オーストリアで24%などヨーロッパで高く、特にフランスで最近上昇しているのはAMAP(小規模農業生産者を守るための産直提携、フランス版CSA)の普及が背景にあるようだ」

 「一方、日本の有機面積比率は認証ベースで 0.2%。世界で有機農業が伸び ているなか日本の停滞が著しい。
 モンスーン気候下にあるアジアでは病虫害や雑草防除など有機農業は難しいと言われてきたが、韓国では親環境農業に取り組んでいる」

さらに蔦谷先生からは、2020オリパラ等を背景に、民間からの提案を受けつつ、有機JAS規格の見直し(追加)の動きが進んでいること、有機農業の本質や位置づけの明確化を目指す新しい勉強会設置の動きがあること等について紹介がありました。

 先生は、これらの新しい動きのなかで、中心的に関わっておられるようです。

20 時30分頃からは、塾生との間で質疑応答と意見交換。

 千葉・いすみ市では地元産有機米100%の学校給食を実現していること、木更津市が『オーガニックなまちづくり』に取り組んで いる状況等について紹介して下さった方。

 イギリスを視察された方からは、「イギリスではオーガニック食品は所得の高い人向けとなっているが、 このような状況は好ましくないと思う」との意見を出された方など。

最後に蔦谷先生からは、生ゴミを循環利用しているコミュニティガーデン(東京・日野市)、有機食材を使った日替わりシェフのレストラン(埼玉・小川町)、三富新田における落ち葉堆肥農法(埼玉・所沢市等)等を紹介しつつ、

 「小規模だからこそ実現している事例が各地に出てきていることは心強い。巨額の初期投資 も不要で、やろうと思ったらできる。『小さい』がこれからのキーワードになるのでは」等のまとめがありました。

 勉強の後は、いつもの餃子屋さんで懇親会。
 こちらの方を楽しみに参加している人も(私?)。

 なお、次回(第 11 回勉強会)は、9月17日(火)に同じ会場で開催される予定です。