
-宮台真司、飯田哲也『原発社会からの離脱-自然エネルギーと共同体自治に向けて』(2011.6、講談社現代新書)-
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210598
ともに1959年生まれの気鋭の社会学者と、自然エネルギーの第一人者による対談。東日本大震災と原発事故の直後に「緊急出版」されただけに、メインテーマはエネルギー政策です。
宮台先生は、原発依存からの脱却のためには「原発をやめられない日本社会」そのもの(空気に抗えない悪い共同体)の変革が必要であるとします。特にグローバル化した高度技術社会においては、<市場や国家などのシステム>に盲目的に依存することは、ますます危険であるというのです。
この危険を回避するためには巨大システムに代わる共同体自治を進めることが必要であるとし、その際には、食とエネルギーが手掛かりになるとしているのです。
危険性をいち早く認識した欧州では、チェルノブイリ原発事故がきっかけとなって自然エネルギー化=エネルギーの共同体自治が進むのと併行して、食のスローフード化=食の共同体自治も進んでいるとのこと。
本書においてはスローフードについての記述は詳しくありませんが、別の著書(『日本の難点』(幻冬舎新書、2009/4)では、「スローフードとは『世直し運動』。食が近隣農業を支え、近隣農業が経済やライフスタイルや風景や町の匂いや近隣文化を支えることへの自覚が必要」といった記述もあります。
生産者と顔の見える関係を構築していくことは、食にかかわる安心の確保にとどまらず、私たちの社会全体を変革していくための手掛かりになるのかもしれません。
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
No.190、2020年4月7日(火)[和暦 弥生十五日]
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/