【豆知識】原発被災地の人口移動の推移

10年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、12市町村に避難指示が出され、多くの方が避難を強いられました。自主避難された方も多数おられました。

その後、避難指示は徐々に解除され、現在では汚染度が高い帰還困難区域(双葉町、浪江町、大熊町、富岡町、南相馬市、葛尾村及び飯舘村の一部)を除き避難指示はすべて解除されています。
 なお、東日本大震災と原発事故に伴う福島県から県外への避難者数は、最も多かった頃からは半減しているものの、現在も28,959人を数えます(2021年1月13日時点、福島県集計)。

さて、リンク先の図211は、原発事故に伴い避難指示が出された12市町村の転出入者数の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/02/211_juminidou.pdf

これによると、2011年の約8,000人という大幅な転出超過(マイナスの純転入者数)はいったん千人強にまで大きく減少しましたが、2017年頃からは、避難指示の解除が進んだにもかかわらず、転出者数が増加したことから転出超過数も増加している状況が伺えます。
 これは、もともと住民票はそのままにして避難していた方が、避難先での生活が長くなるに連れて、住民票を移すケースが多くなっているためと考えられます。
 原発事故から間もなく丸10年を迎えますが、人口移動で見る限り、原発被災地は厳しい状況が継続していると言えます。

一方、転入者数は毎年4千人程度で、若干ながら増加傾向で推移しています。新規事業や復興支援に従事するため、県外等から被災地に移り住んで来られた方達の動向にも注目する必要があります。

[データの出典]
 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」
 https://www.stat.go.jp/data/idou/

[参考]
 福島県HP「県外への避難者数の状況」(ふくしま復興ステーション)
 https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/ps-kengai-hinansyasu.html

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 No.211、2021年2月12日(金)[和暦 睦月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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