
元日付けの日本経済新聞3面には「食料高騰、世界を揺らす」との大きな見出し。
異常気象、バイオ燃料需要の増加、コロナ禍による人手不足等により国内でも食品価格が上昇していますが、途上国では政治的なリスクも高まっている等の内容です。
リンク先のグラフ上段の折れ線グラフは、世界の食料価格指数の推移です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/01/234_PriceIndex.pdf
これによると、世界の食料価格指数(実質)は1974年をピークに下落し、比較的低い水準で推移していたものの、2000年代後半から上昇に転じ、さらにここ2年で急騰して2021年には10年ぶりの高い水準となっています。
一方、日本の食料自給率は、1960年代にはカロリーベースでも70%以上ありましたが、現在(2020年)は37%に低下しています(金額ベースでは71%あるものの同様に低下傾向で推移)。
このように食料自給率が低下傾向で推移するなかでも、冷害により米不足となった1993年(前々年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火と関連があるとされています。)を除いて食料供給に大きな不安が生じるがなかったのは、日本経済全体に購買力があり、安定的に食料を輸入できていたことによります。
ところが、棒グラフにあるように日本の貿易黒字は2000年代後半から急速に縮小し、2010年代に入ってからはほとんど赤字で推移しています。この背景には生産拠点の海外移転もありますが、日本経済は、かつてのように安定的に食料を輸入できる実力を喪失しつつある懸念があります。
[データの出典]
資料:FAO “World Food Situation”
https://www.fao.org/worldfoodsituation/foodpricesindex/en/
農林水産省「食料需給表」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/
財務省「貿易統計」
https://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/nenbet.htm
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.234、2022年1月17日(月)[和暦 師走十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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