サラダ油等と呼ばれることもある植物油は、私たちの食生活に欠かせない食材であり、同時に世界の農業・食品産業のなかでも重要な地位を占めています。

世界の植物油の生産量は2億13百万トン(2021/22年度見通し。以下、同じ)。
その内訳は、リンク先の図238の右側の円グラフにある通り、パーム(アブラヤシ)油が36%と最も多く、次いで大豆油が28%とこの両者で全体の6割以上を占め、次いで菜種油が13%となっています。なお、パーム油はインドネシアやマレーシア、大豆油は中国やアメリカが主な生産国です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/03/238_vegeoil.pdf
これらに次ぐのがひまわり油(10%)です。
ひまわり油は日本ではあまり馴染みがありませんが、実は世界の植物油市場では大きな地位を占めています。
左側の円グラフは、ひまわり油の国別の生産量のシェアを表しています。
これによると、最も多いのはウクライナの31%、次いでロシアの28%と、現在、武力紛争下にある両国が全世界のひまわり油生産量の6割近くを占めています(輸出量では約8割)。
アメリカ農務省の最新(2022年3月)のレポートでは、黒海の港湾及び搾油施設の閉鎖に伴い、ウクライナのひまわり油の輸出は前月の予測に比べ14%減少すると下方修正されています。
小麦の価格上昇が日本の食卓を直撃していますが、同様にほとんどを輸入に依存している植物油についても、今回の紛争が大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
[資料]
USDA(アメリカ農務省)“Oilseeds: World Markets and Trade”(March 2022)
https://apps.fas.usda.gov/PSDOnline/Circulars/2022/03/Oilseeds.pdf
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.238、2022年3月17日(木)[和暦 如月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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