【豆知識】作付規模別にみた米生産費

一般的に生産コストは規模が拡大するに伴って低減します。このスケールメリット(規模の経済)は、米についても明らかに観察されます。
 リンク先の図244は、米の60kg当たり生産費(費用合計)を作付規模別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/06/244_kibo.pdf
 
 2020年産米の60kg当たり生産費(費用合計)は平均で1万3104円ですが、棒グラフにある通り、作付面積0.5ha未満では平均の1.9倍、0.5〜1ha層では1.5倍となっているのに対し、10〜15ha層では71%、50ha以上層では56%と、作付規模が大きい経営体ほど生産費は低減しています。
 費目別にみると、特に農機具費、賃借料及び料金(作業委託料等)、労働費が大きく低減していることが分かります。

一方、折れ線グラフは、生産費に占める肥料費、農業薬剤費、光熱動力費及び雇用労働費の割合を示したものですが、これらは大規模層ほど大きくなっています。
 輸入に依存している肥料や農薬の原料、重油等は、近年、高騰が続いています。また、外国人労働者(研修生)の確保も困難となっています。

このことは、パンデミックやウクライナ危機など不測の事態の影響等を、大規模層ほど相対的に大きく受けることを示唆しています。逆に言えば、生産コストは高いものの、資材や労働力の自給割合の高い小規模層の方が、危機に際しては強靭(安定的)である可能性を示しています。

(資料)
 資料:農林水産省「2020年産米生産費(個別経営)」
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_nousan/index.html

出典:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.244、2022年6月13日(月)[和暦 皐月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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