2021年9月に農林水産省が発表した「みどりの食料システム戦略」(以下、「みどり戦略」)においては、有機農業の面積を2050年までに100万ha(全農地の25%)へと拡大する目標が掲げられています。
では現在、日本において有機農業に取り組まれている農地はどの程度あるのでしょうか。リンク先は、日本の有機農業の取組み面積と、全農地面積に占める割合の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/05/266_yuuki.pdf
2022年における有機農業の取組み面積は25.2千haと、過去10年で約5割と大きく拡大しています。内訳をみると、有機JASの認証を取得している農地が56%、認証を受けていない農地が44%となっており、近年、認証を取得している農地の割合が上昇しています。
しかしながら、全農地面積に占める割合はわずか0.6%弱に過ぎません。
これは、イタリアの16%、ドイツ・スペインの約10%、フランスの8.8%、韓国の2.3%等と比較しても非常に低い水準です。
また、消費面(国民1人あたりの有機食品消費額)からみても、日本はスイス、フランス等の4〜8%、アメリカの9%程度と、同様に非常に低い水準に留まっています。
このような現状から、「みどり戦略」が掲げた高い目標は、有機農業関係者からは驚きと懐疑の念をもって受け止められましたが、農水省は現在、目標達成に向けてモデル的な先進地区の創出等に取り組んでいます(「オーシャン・カレント」欄参照)。
一方、「有機農業は広がっていない」との通説は間違っているとの論調もあります(「ほんのさわり」欄参照)。
データの出所:
農林水産省「有機農業をめぐる事情(2022.9)」、「耕地及び作付面積統計(累年統計)」から筆者作成。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/attach/pdf/index-1.pdf
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/menseki/#r
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.266、2023年5月4日(木)[和暦 弥生十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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