【ブログ】農あるまちづくり講座(フォローアップ講座 & 所沢)

2023年11月13日(月)は快晴。
 自宅近くに一画を借りている市民農園で、ようやく落花生(おおまさり)と安納芋を収穫。
 ところがどちらも大不作。特に落花生は、例年、茹でたものを冷凍しておいて翌年夏ごろまで食べるのですが、今年はひと鍋分だけ。3日ほどで食べてしまいました(美味!)。

その日の夕刻は、東京・池袋へ。
 18時30分から、水天宮近くにある日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の8階会議室で、「農あるまちづくり講座」のフォローアップ講座が開催されました。

 持続可能で循環型の地域社会づくりを目指す「農あるまちづくり講座」は、これまで西東京市(2022年9月~23年2月)、世田谷区(2023年3月~6月)で開催されてきました(後述するようにこの翌日からは所沢での講座がスタート)。
 これら講座の修了生等の学習・情報交換・交流をねらいとした第一回目のフォローアップ講座が開催されたのです。参加者はオンラインを含めて20名ほど。

まず、主催団体である都市農業研究会 副委員長の蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)から、
 「第1ステップは知る、学ぶ。これが農あるまちづくり講座。第2ステップは体験農園など農業への参画、地産地消の推進。これは修了生の地域での活動に当たる。第3ステップが生産者と連携しての地域自給圏づくりとネットワーク化。フォローアップ講座はこれを目的としており、年数回開催したい」等の説明がありました。

続いて、この日のゲストである韮塚 功さんから、「東京上流域におけるサークルファーム等の活動」について報告がありました。
 韮塚さんは埼玉・深谷市生まれ。埼玉県農林部、農林振興センターに勤務し、退職後は自ら「武蔵農EN塾」を立ち上げられた方。
 美里町役場の南側に隣接する水田が遊休化していたのを、サークルファーム(自治体、企業等の有志によるCSA活動)として再生された取組み等を紹介して下さいました。「都市側の人、企業からのアプローチが必要」とも。
 行政、企業、JA等に対して積極的に提案されているそうで、「現在は、どんどん池に石を投げこんでいる状態。どのような波紋が広がっていくに期待したい」と力強く語っておられました。

 参加者一人ひとりから自己紹介と意見交換。20時30分過ぎに終了後は、有志数名で近くの居酒屋さんで延長戦です。

翌11月15日(火)から「農あるまちづくり講座 in 所沢市」がスタート。
 毎月第2、4火曜日の19時からを基本に、来年3月に向けて全9回の講座が予定されています。行政や企業等からの説明、農業者からの実践報告など充実した内容です。

世田谷に比べれば所沢は近いと油断していた訳ではないのですが、暗くて途中の道路が分かりにくく、会場(森のとうふ屋さんの手づくり菓子工房conomiの2階)に到着したのはギリギリでした。すでに20名近くの受講者で満席です。

まず、蔦谷先生からの趣旨説明。
 「現代人が自然から切り離されつつある現在、都市農業は日本農業の先駆けであり、都市農地は宝。本講座を通じて、体験農園等も含め農業に参画する市民・消費者を増やしていきたい」等と、熱い思いを語られました。

続いて世話役の肥沼位昌さん(図書喫茶カンタカ)、須賀貴子さん(conomi)達に続き、15名の受講者一人ひとりから自己紹介。
 比較的シニアの方が多く、体験農園等で農業に関わっておられる方、何らかのかたちで農業に関わりたい方など、熱心な方ばかりのようです。

初回の講師は、さいたま民族文化研究所(元埼玉県立歴史資料館長、元文化庁文化審議会専門委員等)の大舘勝治さん。
 「所沢市の歴史から見る農~所沢の農家に生まれて」と題して講義を頂きました。詳しいレジュメ、研究所のパンフレットのほか、ご著書『所沢-魅力・不思議発見』も配って下さっています(全カラー416頁、写真や図版も満載です)。

 大舘さんによると、所沢は「ところさわ」と清音で発音するのが本来とのこと。実家は農家で(1960年代の稲刈りの写真も見せて下さいました)、田んぼや畑で色んな遊びをし、学んできたが、所沢市の水田面積は激減しており、残していってほしいとも。
 ご実家の「生産暦と儀礼食」の一覧表も。節目の行事ごとに、様々な儀礼食を頂く習慣があったことが分かります。ちなみに稲は直播(田摘み)で、麦刈り作業との兼ね合いで労力は集中しないものの、除草が大変立ったそうです。また、現在の季節は温暖化で昔より1か月ほど遅れているとも。

ご実家の平面図をみると、川越藩の指導もあって屋敷林で囲まれていたことが分かります。カシの木は防火や農具の柄として利用する目的があり、ケヤキは戦時中には供出したとも。養蚕も行っており、フンは麦がら等とともに堆肥として利用していたそうです。

 また、暮らしは雑木林に生かされていたとも。クズハキ(「落ち葉掃き」も地域によって呼び名が違うとのこと)で集めた落ち葉は、燃料やたい肥として利用していたそうです。雑木林の木は、定期的に地面ギリギリで伐採するなど丁寧に管理されていたとも。
 そして、現在、残されている雑木林は地域の共有財産として、有機農業の推進や環境教育・理科教育等の面で活用するなど、雑木林を取り込んだ街づくりが重要と訴えられました。

会場の受講者との間で(蔦谷先生とも)活発な質疑応答・意見交換。大舘さんご自身の体験に基づく内容であったため、興味深く聴かれていた方が多かったようです。

 最後に、フェスタの事務局の方から「川崎平右衛門フェスタ2023 in 西東京市」の案内を頂きました。12月10日(日)13時からコール田無・多目的ホールです。