【ブログ】2019年 市民研・新年交流会

2019年最初のブログ掲載です。
 引き続き食や農に関する情報発信に務めて参りますので、どうぞよろしくお願いします。

お節や雑煮は、多様性を受け入れ「改創」する日本文化の象徴ではないか、といったことを考えた正月でした(拙メルマガ参照)。

2019年1月12日(日)は、寒い空から細かな雪が落ちてくるような一日。

西武新宿駅から徒歩8分ほどの常園寺(東京・西新宿7丁目)では、恒例のロータス寺市が開催されていました。誠実に作られたこだわりの農産物や加工品等を集めたマルシェが、年3回ほど開催されています。

都心の喧騒の中にありながら、山門をくぐると、ふっと空気が変わったようです。
 到着したのはお昼前。生憎の天候ながらキッチンカーの前には行列も。会場の祖師堂(1階、B1階)の中は親子連れを含む多くの来場者で賑わっていました。

なお、次回は5月に予定されているそうです。

無茶々園(愛媛・西予市)のみかんなどを求めてJR中央線に乗り、御茶ノ水駅(ここも大工事中です。)で下車。
 徒歩で向かったのは文京区湯島。

ビルの2階にある市民科学研究室(市民研)の事務所で、この日と翌日の2日間、市民科学研究室(市民研)の新年交流会が開催されたのです。

市民研とは、リビングサイエンスという概念を手がかりに「生活者にとってよりよい科学技術とは」を考え、そのアイデアの実現を目指すNPO法人。

代表の上田昌文さん始め、理事や会員の皆さん15名ほどが集まり、14時過ぎから交流会が始まりました。

参加者が持ち寄った料理などを取り分け、ビールやソフトドリンクで乾杯。
 何と、市民研ラベルのワインもあります。

食事を頂きながら、参加者からの自己紹介に続き、まずは3名の理事以外の方から少し詳しく活動されている内容などについて話題提供。
 参加者や、その活動内容等は多岐に渡りました。

出版社や雑誌編集部など多彩な経歴を経て、現在は医療生協さいたまに務めておられる方。

認定NPO法人 難病のこども支援全国ネットワークの事務局にで活動されている方は、相談活動や、地域でのクリスマス会など交流活動の様子について紹介して下さいました。

科学映像制作会社の(株)アイカムは、生きた細胞・組織を顕微鏡撮影し、一般向けの展示活動もされているとのこと。
 今年はアイカム創立50年を記念して「30の映画作品で探る“いのち”の今」と題する上映会を隔月で実施されるそうです(2月23日(土)には板橋区でも開催)。

他には、米国の大学の日本校で企業内教育プログラムに携わっておられる方や、骨格標本を三次元プリンタで複製し公開する活動(路上博物館)をされている方。

「趣味」で数学の英文論文を読み定理の証明等に取り組んでおられるという方(内容は全く理解できませんでした)、科学情報過程論の研究者、訪問看護師をされている方。
 消費者アンケート等を基に魚食普及(復権?)の課題についてレポートされた方も。

私からは簡単な資料をお配りし、拙ウェブサイトメルマガ等を通じて食や農に関する情報発信を続けていきたい旨、報告させて頂きました。

意見交換の中では、「科学の目的は知識を伝えることではなく、物の見方を伝えることではないか」「理屈抜きにして感じてもらいたい」「科学とはエンタテイメント」等の刺激的な言葉も飛び交います。 

後半は(談論風発、だいぶ予定の時間が過ぎていましたが)、理事の3名の方からの報告。

三河内彰子理事は、昨年7月の国際隕石学会(モスクワ)での特別講演で「初めて土星の輪を見た時にワーッと声が出ること」の大切さを知り、理科教育も知識偏重から舵を切ることが重要と感じられたそうです。

瀬野豪志理事は、福澤諭吉『肉食之説』、仮名垣魯文『安愚楽鍋』など文藝人の「食」をめぐる話を復刻、アーカイブされている取組み(npo蘇音)について報告して下さいました。
 改めて詳しく聞きたくなる内容でした。

橋本正明理事からは米粉についての話題提供。
 山口の生産者の方から提供頂いたという特製の米粉を使って、実際に様々な料理をされたそうです。
 この日は事務所のキッチンで調理(再現?)して下さった米粉のシチューを出して下さいましたが、暖かく濃厚で美味です。
 小麦粉と違ってダマにならないそうで、米粉には(小麦粉の代替ではなく)新しい可能性がありそうです。

参加者の方々かは多くのパンフレットやチラシも頂きました。
 上田代表からは、2018年に各所(30箇所ほど)で行った講演、ゲスト講義、学会発表などで使用した配布資料等を収めたDVDも。

「科学・技術に市民の思いを生かしたい」というのが市民研の思いとのこと。
 今年も様々な市民研の活動が、ともすれば過度に専門化されがちな科学や技術を、再び市民の身近なものに変えていくことにつながっていくことを期待したいと思います。