熊本市の熊本県立大学の教室を会場にお借りして、フード・マイレージ実践講座がスタートしました。熊本での開催は、これで3期目(3年目)です。かつて九州農政局に勤務していた際のご縁で、2年前、熊本市の一般消費者(主婦)の皆様の自主的な取組として、フード・マイレージをヒントに自分たちの食と農業、環境の問題を考えていこうという講座が初めて発足しました。その後、東京でも2年続けて開催しましたが、3年続けての開催は熊本が最初で、熊本の皆さんの環境問題への取組の熱心さがうかがえます。
今回の講座の参加者は、大学の先生、小学校の教員の方、保育園の栄養士・保育士の3名の皆さん、生協関係の主婦の方、そして若い野菜農家の方(唯一の男性)の7名です。2回にわたる講座の一日目は、フード・マイレージが必要とされる背景(食生活の変化、世界の食料事情と日本の食料自給率、食生活と地球環境との関わり等)、フード・マイレージの概念と計算方法等について説明し、意見交換しました。プロの教員でも研究者でもない私の4時間弱の拙い話に、熱心に耳を傾けて頂いた参加者の皆さんの熱意には、頭の下がる思いでした。
より豊かな未来の食を築いていくためには、行政や政治の取組も当然ながら必要ですが、結局は、一人ひとりの消費者の気付きと実践が決定的に重要です。私も一人の消費者として、参加者の皆さん、事務局(FMPA)の皆さんとともに学んでいきたいと思います。
それにしても台風が接近するなか、一日ずれていれば熊本行きも危ぶまれましたが、無事に開催できたのは、事務局の皆さんの日頃の行いのお陰(「晴れ女」?)かと感謝しています。11月末の第2回講座(最終回)も、何とか参加者の皆さんの期待に応えられるような充実したものとしたいと、身の引き締まる思いです。
秋晴れの一日、東京都農住都市支援センターが主催する「江戸東京野菜探訪バスツアー」に参加してきました。江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂さんに紹介頂いたものです。
JR西国分寺駅に集合したのは一般消費者の皆さん約60名、バスは補助席まで満席です。国分寺薬師堂から「お鷹の道」を散策、途中、大竹さんからは、蛍も棲む豊かな湧水は農地や平地林が水を涵養しているお陰との説明がありました。
小坂良夫さんの農地では、東京競馬場から引き取った馬糞や敷藁によるエコファーマーの取組をお聞きした後、亀戸大根やベビーリーフの収穫体験。
バスに戻り三鷹へ移動する車中では、フード・マイレージからみた江戸東京野菜の取組の意義について、私から説明させて頂きました。
三鷹の星野直治さんの農場では、寺島茄子の収穫体験の後、料理研究家・酒井文子さんによる寺島茄子料理の試食。江戸時代以来のヘタ部分を調理した料理もあり驚きました。そして東京都ブランド豚肉TOKYO-X等のバーベキュー、流しそうめん、焼き芋など心づくしの昼食。星野さんからは、都市農業ならではのご苦労等(近隣の住宅地への配慮等)についても話を聞くことができました。
最後はJA東京むさし「三鷹緑化センター」を見学した後に三鷹駅で解散。東京の豊かな農に触れることができた一日でした。
日本のカロリーベース自給率は40%ですが、東京都はわずか1%です。その都市化が進む東京でも、周囲の環境との調和を図りながら、ご苦労をされながら頑張っておられる生産者の方々がおられること、そして、このようなツアーに多くの消費者の方たちが参加され熱心に質問をされている様子を見て、心強く思った次第です。大都会・東京で生産者と消費者の絆づくりができるなら、日本全国、どこででも実現できるのではないでしょうか。
今回のツアーを受け入れて下さった農家の皆様、主催・協力頂いた関係機関の方々、それに大竹さんに感謝です。
(詳しくは写真等も含めブログ「フード・マイレージ資料室だより」に掲載しました。)