熊本の特製お弁当

 いささか立て込んでいて、ブログ更新が遅れてしまいました。1週間前の記事です。
 1月28日(土)は久しぶりに熊本へ行ってきました。フード・マイレージのセミナーが開催されたのです。
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 熊本は2005年4月から3年間を過ごした地です。
 赴任した九州農政局では食育を担当することとなったのですが、食育基本法の制定、食事バランスガイドの作成等、国の行政として一定の枠組みが出来つつある時期、何しろそれまでは食育という言葉さえ世の中にあまり知られていなかったのですから、それをどうすれば地域に拡げ、根付かせていくかというのが、与えられた大きな課題でした。
 食育の範囲は幅広いものです。例えば栄養バランスの改善、食生活や食習慣の見直し、料理教室、農業体験、グリーンツーリズム、食料自給率や環境問題のことなど。部屋の中で議論していてもいい知恵がでる訳がないことはすぐに分かり、同僚たちの中から、まずは実際に食育に関わる活動に取り組んでおられる方達を回ってみてはどうか、という意見が出てきたのです。
 案ずるより産むが易し。
 すでに熊本、九州においては、栄養士、食生活改善推進員、学校の先生、JAや農家、生協、食品事業者、NPOや市民団体、主婦の方など、多彩な方たちによって、それぞれの立場と問題意識の下、特色のある食育の活動が展開されていたのです。
 国こそ法律まで制定して本格的に取り組み始めたものの、何のことはない、地域、世の中の方がとっくに先行していて、行政はようやくその後を追いかけ始めていたということを実感しました。一方で、食育の取組の範囲・内容も、取り組んでおられる方々も非常に多彩であり、横の連携は必ずしも十分とは言えない面があることも明らかになりました。
 そのため、まず国の出先機関としてやるべきことは、一定の方針や方向性を示すことではなく、食育に取り組んでいる方達のネットワーク作りではないか、ということになったのです。
 後から来た者が先行している方たちの信頼を得るためには、足で稼ぐしかありません。できるだけ実際に取り組んでおられる方達を訪ね、活動の現場を見学させてもらい、話を伺うようにしました。個人的には人生初めての単身赴任で自分の時間もたっぷりとあったこともあり、休日等には個人的にも多くの方達に会いに行くようにしました。
 実際に現場で様々な活動に取り組んでおられる方たちのお話は、本当に貴重で気づかされることも多く、楽しい経験をさせて頂いた熊本での3年間でした。
 今回のセミナーを企画し、私を熊本に呼んで下さったのも、その当時に知り合った方たちです。
 主催者の1つはFMPA(フード・マイレージプランナー アソシエート)という市民グループです。
 フード・マイレージの考え方や計算方法をマスターして周りにも広めていきたい、という方たちが自主的に「実践講座」を企画・開講され、その第1期の修了生の皆さんが立ち上げられたグループがFMPAです。メンバーは家庭の主婦、スーパー経営をされている方、自ら料理教室を主宰されている方、環境NPOの事務局の方など、それぞれのお立場で食育に取り組んでおられます。
 もう一つの主催者は「フード&ライフスタイル協会」。主に生協や大学で活動されてきた方が中心となって、こちらも市民グループのネットワークの中で様々な活動をされています。
 会場の熊本県立大学に開始1時間前に伺うと、既に熊本県庁の皆さんにより「えこめ牛」等の幟やパネルがセットされていました。
 熊本は、飼料米の取組では全国でも最も先進的な地域の一つですが、それが実現している背景の一つには、休日の朝早くから来られるような熊本県の行政の方達の熱意があることが分かりました。
 定刻の10時、フード&ライフスタイル協会の毎熊知子代表の司会により開会。
 会場を見渡すと、80名を超える参加者の中には、熊本在勤中にお世話になった多くの方たちの懐かしいお顔も見えます。有難いことです。
 FMPAの宮田会長の挨拶に続き、私からは「あなたの食が地球を変える」と題して2時間ほどの話。やや時間オーバーで反省。
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 休憩後は、第2部のランチョンセミナーです。
 日頃から食材等にこだわっている(株)亀井ランチさんですが、今日のお弁当は特製です。演壇ではFMPAの古閑元子さんから、このお弁当の食材を題材にしたフード・マイレージの計算結果の説明。
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 続いて生産者や事業者の皆さんから、食材に込めた思いを話して頂きました。鹿本農業高校の女子学生さん達からも、日頃の授業での農業体験等の取組について報告してもらいました。
 そして会場の参加者の皆さんとの意見交換。
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 もともと美味しいお弁当は、皆さんのお話を伺いながら頂くことにより、さらに何層倍にも美味しくなりました。一つひとつの食べものは、それ自体もとは生き物であり、さらには生産や加工・流通に関わった多くの人達の思いが込められているのです。
 その事実に改めて気づかせて頂いた今回のセミナーは、大変楽しく、美味しく、意義あるものでした。また、熊本における食育のネットワークがさらに拡がっていることも実感でき、嬉しい気持ちで一杯になりました。
 さて、午後には熊本市内新屋敷にあるひご野菜コロッケ専門店「ひご之すけ」を訪問。
 FMPA立ち上げの中心メンバーの一人である北亜続子さんが、昨年、内閣府の起業支援事業を活用して立ち上げられたお店です。伝統野菜には、これからの社会を変えていく大きな力があると思っているのですが、それをコロッケという親しみやすい形で拡げていこうという北さんの取組、ますます発展していくことを期待したいと思います。
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 夕方には、皆さんの持ち寄りによる懇親会。
 会場は、熊大病院前にある「サーコカフェ」。NPO起業・経営者養成の訓練講座で学んだ方たちが立ち上げたお店とのこと。熊本の伝統品種「みさお大豆」を使ったラザニアなど、持ち寄りの料理は、さすが料理教室を主宰されている方達です。懐かしいお顔と新しく知り合いになった方たちとの会話も弾み、美味しい料理と米焼酎で、気がつくと夜も更けていました。
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 翌日、熊本空港から帰京。
 空港近くにはたくさんの風車があります。羽根の間に半月。この日は旧暦では1月7日でした。
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2 Replies to “熊本の特製お弁当”

  1. SECRET: 0
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    落語が縁で江戸東京野菜に繋がり、そして、フード.マイレージと。曾て水産増殖に席を置いていた身として、この歳にこの出会い。人生に無駄はなし。
    パートナーの卒論もそういえば、水産物流通でした。
    私達で出来る事で、日本の食を考える広報活動が、出来ればと思います。
    高円寺から発信出来たらと思います。

  2. SECRET: 0
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    松井様
     メッセージを有難うございます。
     落語、いいですね。私も大好きです。高円寺での落語会、先日は伺えませんでしたが、ぜひ、また情報提供をお願いします。
    > 落語が縁で江戸東京野菜に繋がり、そして、フード.マイレージと。曾て水産増殖に席を置いていた身として、この歳にこの出会い。人生に無駄はなし。
    > パートナーの卒論もそういえば、水産物流通でした。
    > 私達で出来る事で、日本の食を考える広報活動が、出来ればと思います。
    >
    > 高円寺から発信出来たらと思います。

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