12月9日(日)は今年の「野の文化学習会」の最終日。好天に恵まれました。
朝8時半、JR京浜東北線の北浦和駅で数名の方と落ち合い、車に分乗して見沼たんぼの中にある会場へ。
ちなみに「見沼田んぼ」とは、さいたま、川口2市にまたがる約1,300haの農地や平地林で、豊かな自然環境や歴史を有するとともに、洪水防止など都市防災上の大きな機能を有しています。
「野の文化学習会」を主催しているのは、さいたま市の「生活文化・地域協同研究会」(通称「協同研」)です。
1992年に秩父の横瀬町宇根地区で開始され(秩父での学習会は20年目を期に終了)、7年前からは、さいたま市の見沼地区でも開催されています。
今年の「野の文化学習会・見沼田んぼ米づくり体験2012」は、5月の田植え、6月の「かっぱなし」(田の草取り)とじゃがいも掘り、9月の稲刈り、10月の「おひまち」(収穫祭)とさつまいも掘りと、開催されてきました。
そしてこの日、今年最後の「餅つきと凧づくり・凧上げ」の日を迎えたのです。
駅から10分ほどで、活動を受け入れて下さっている農家の浅子さん宅に着きました。
空は抜けるような青空ですが、日陰に入ると風が冷たく感じられます。
ふだんの会場は自宅脇の広場だそうですが、この日は、陽当たりの良いご自宅の庭を貸して下さることになりました。
さっそくスタッフに混じり、ブルーシートを敷き、テーブルを組み立てて並べます。
準備して下さっていた泥つきの大根を地下水で水洗い。水道水よりは暖かいはずですが、冷たさに手がかじかみます。
ブロックを運んできてカマドをしつらえ、火をおこします。重たい臼も据えます。
10時が近くなるに連れて、次第に参加者の方達が集まってこられました。ほとんどは小さな子どもを連れたご家族です。興味深そうにカマドの火を覗きこむ子どもたちもいます。
開会に当たり、協同研代表の菊池陽子さんと浅子さんから挨拶。
その後、子ども達は、慣れない包丁を使って野菜を切ることからスタート。洗った大根は、大根おろしにします。
この会には、いつも東京農工大学のサークル「耕地の会」の学生達がスタッフとして参加してくれており、この日も、数名の男女の学生が子ども達の作業をサポートしてくれます。
餅米は、前日に訪ねたスタッフが研いで水に漬けていたのですが、これをカマドにかけます。
やがて蒸し上がり、臼に移して、餅つきです。
最初の米粒をつぶしてこねる力仕事は、主に男子学生が担当。
その後、子ども達も交代で杵を持って餅つきです。
つき上がった餅はテーブルに運び、ちぎって丸め、あんこ、きな粉、大根おろしにまぶしていきます。
野菜たっぷり、豚肉も入った汁物もできあがりました。みんな子ども達も参加しての共同作業です。
お楽しみの昼食の時間。青空の下で大勢で食べるお昼ご飯は、格別のご馳走です。
合間に少し時間を頂いて、私から農水省・消費者の部屋から提供された「子ども農林水産白書」と説明資料を配り、自給率やフード・マイレージ等について説明させて頂きました。
午後は、凧づくりの時間。
親子の共同作業でA3版1枚の紙を切り、軸とひも、のりで立体にします。そして好きな絵を描けば、自分だけの凧のできあがり。
そして、裏の竹林を抜けたところにある広場へ。
ちょうどいい風が吹いていて、手づくりの凧はぐんぐんと青空に上っていきます。
この日の体験メニューは、これで終了。
しかし、すぐに帰るわけではなく、毎回、帰る前に、参加者は感想文を書くことになっています。子ども達も行儀良く、時間をかけて熱心に書いてくれました。
内容を読ませて頂くのが楽しみです。
お土産は、1年間の農作業体験でできたお米です。
参加者の皆さんを送り出し、片付けも終えて、みんなで浅子さんご夫妻にお礼と最後の挨拶。
ここでサプライズ。
農工大「耕地の会」の学生さん達から、浅子さんとスタッフに対して、大学農場の小麦で作ったクッキーと、1年間を振り返っての寄せ書きの色紙がプレゼントされたのです。
今でこそ、多くの地域で様々な農業体験会等が行われていますが、協同研では実に20年以上前から先駆的に取り組まれているのです。
さらには「学習会」という名称が示す通り、単に楽しんで終わりということではなく、1年をかけて米作り等の一連の作業を学ぶほか、地元の方との交流を通じて農業や農村文化を学習することを主眼としている点が特徴的です。
協同研のスタッフはシニアの方が多いのですが、若い学生さん達が一緒になって、子ども達に農業の喜びや食べ物の大切さを伝えています。
子ども達には、忘れられない楽しくて貴重な体験になったことは、間違いありません。
このイベント、来年も開催される予定です。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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