2013年9月7日(土)は、「東京ゴマ0→1(ゼロワン)プロジェクト」の4回目で檜原村へ。
東京都の最西端、西は山梨県に接する本土では唯一の「村」です。
中山間の農地は急傾斜、耕作放棄地を開墾してゴマを栽培して加工や販売まで行う(6次化する)ことにより、現状はほとんどゼロのゴマの自給率を1%まで上げることを目指すというのが、この壮大なプロジェクトです。
主催は「都会と田舎をconnectする」(つなぐ)ことをミッションとするグリーンスマイル(略称グリスマ)というグループ。
9時半、JR武蔵五日市駅の改札前に集合。
生憎と雨が落ちてきた中、いつものバスに乗って「小沢」下車。今日はお祭りの日で、橋にも提灯が飾られています。
まずはベースキャンプの「竹ハウス」へ。
村外から移住して様々な地域興しの活動に取り組んでおられる竹本亮太郎さん(竹さん)の自宅です。
この日の参加者は30名ほど。小さな子どもを連れた家族も数組。
着替えなど準備を済ませて、まずは自己紹介。食べものや農業、地域興しや田舎暮らしに強い関心を持っておられる方ばかりです。
スタッフの方と竹さんから、今日のスケジュールと作業内容について説明を受けた後、いよいよ畑に向かいます。
幸い、雨は止んでいます(どうやらグリスマには強力な晴れ女・男の方がおられるようです)。
最初(5月)に来た時、畑に向かう車道の急傾斜に驚いたものですが、やはりかなり急です。息を切らせつつ畑の麓に到着。ここで収穫方法を教わってから、いよいよゴマ畑に向かいます。畑もかなりの傾斜地にあります。
ゴマ畑に近づくにつれ、一面に大人の背丈ほどの作物が生い茂っているのが見え、胸が高鳴ってきました。
1回目(5月11日)に来たときは開墾して太い根っこを抜いて種を播き、2回目(6月8日)には除草と追加の種播きをしました。
その時のゴマは芽を出したばかりで、か細く、雑草に負けそうにみえるほど頼りなかったものです(3回目・7月は私は欠席)。
そのゴマが、たくましく、大人の背丈ほどにも伸びていたのです。
そして、茎にはびっしりと紡錘形の緑色のサヤがついています。
ここで竹さんの模範演技(?)を学んだ後、3グループに分かれ、畑の一番上から作業に取りかかりました。
まず、根本からハサミで切るのですが、太さ1センチ近くもある茎は意外と堅く、しっかりしたハサミが必要です。
また、ゴマには、おびただしい蔓(つる)草が絡みついていて、これを外すのも一苦労。蔓草は、補強にもなるのであえて除かなかったそうです。
葉を落として50cm位に切りそろえ、穂先の方を下にして袋に入れていきます。
単純な作業ですが、サヤを落とさないように蔓草を外すのはなかなか難しく、また、背丈が低いものを見逃さないように気をつけていると、なかなかはかどりません。
サヤを開いてみると、小さなゴマがびっしりと並んでいます。
口に含んでみると、まだ柔らかいものの、しっかりとゴマの香りと味がします。黒ゴマは、また違う風味です。
突然、お母さんの悲鳴と子ども達の歓声が。
見ると、7~8cmはある大きな緑色の芋虫。ツノもあります。気がつくと、あちらこちらにいます。後で調べてみるとスズメガの幼虫のようです。
「持って帰って子どもに見せたい」と、都会の保育園の先生が言っていました(ちなみにこの方、白ゴマを黒ゴマに見紛うほどの美白の手のひらです)。
他にも宝石のようなカメムシなど多くの虫が。生物多様性は子ども達にとっては大きな驚きと喜びです。
こんな様子ですから、なおさら作業ははかどりません。
途中、竹さんが別の場所に植えている金ゴマも試食させてくれました。これは甘いような味です。
ちなみに畑は電気柵に囲まれており、通電のための太陽光パネルが設置されていました。鳥獣害が深刻だそうです。これも生物多様性(?)、農家の皆さんには(グリスマのメンバーにも)悩みの種です。
13時頃に作業は終了。
ゴマで一杯の袋を下げて畑を降り、とりあえず軽トラの荷台に並べました。
結局、この日は3分の1も収穫できませんでした。下の方は播種が1ヶ月遅いとはいえ、多くの収穫作業か残されました。
竹ハウスに戻って着替え、バーベキューパーティーのスタートです。
今日はお祭りだからと言いながら、地元の酒屋(永喜屋)さんがたくさんのビールを差し入れて下さいました。いつも有り難うございます。
ちなみに永喜屋さんのご主人、グリスマ常連メンバーの一人と並んでみると瓜二つでビックリ!!。
美味しい食事と飲みものを頂きながら、竹ハウスの庭にあったキウイを収穫させてもらったり、すぐ前を流れる川で遊んだりと、思い思いに檜原村を堪能します。
お腹も一杯になり、遊びも一段落したところで集まりワークショップ。
グリスマ代表「てーさん」から、プロジェクトの方向性について説明と提案がありました。クラウドファンディングにもチャレンジしており、ゴマを売れる商品に仕上げなければなりません。
デザイナーやメディア関係の方も参加しておられ、様々な連携が進みそうです。ただの農作業体験と懇親会に終わらず、みんなで話し合いながらプロジェクトを進めていくのが、このイベントの特色です。
何しろ、みんな、本気で日本全体の(せめてその前に東京の)ゴマの自給率を向上させようと思っているのですから。
ワークショップの間、ずっと祭り囃子が聞こえていました。
この日(9月第1週の土曜日)は、ちょうど地区の祭りの当日です。雨が上がってよかったです。
会場は竹ハウスのすぐ裏手、廃校となった旧北檜原小学校(現在は渋谷区檜原自然の家)の校庭で、食べ物やおもちゃの屋台も数店出ています。
車いすのお年寄りや小さな子どもを抱いたお母さん達が見つめる先には、小ぶりな舞台。お囃子に合わせて翁(おきな)が舞っています。
この地に古くから伝わる「式三番(しきさんば)」という舞で、能楽の流れを汲んでおり、都の無形民俗文化財にも指定されているそうです。
一方、校庭の中央では、竹で区切った空間の四隅に顔を隠した女性が立って「ささら」を鳴らすなか、お囃子に合わせて3頭の獅子が掛け合うように、ユーモラスに舞います。
この歴史ある山村においては、竹さんたち地域外からの移住者も含めて、伝統的な行事を現在と未来に引き継いでいっているのです。
最後にみんなで記念撮影(写真は「こじまん」さん提供)。
私は、この日もしっかりと「ふくしまオーガニックコットン」のTシャツを着ていきました。
地元のおばあちゃんと宿泊組に見送られ、いつもの17時前のバスと電車を乗り継いで帰宅。
都心のすぐ近くに、こんな素敵な農山村があります。
品川でのマルシェにも取り組んでいるグリスマでは、引き続き仲間を募集中です(公式ブログはこちら)。
それにしても、刈り残した大量のゴマが、ちょっと気がかりです。
【ご参考】
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