図1-1 輸入食料のフード・マイレージ(品目別)


◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎回少しずつ取り上げていきます。
また、今号から、ポイントとなるグラフ等をリンクを貼るかたちで提供していきます。継続していけば、食や農に関するミニ・データベースができます(できるはずです)。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(1) 輸入食料のフード・マイレージ
まずは、メルマガのタイトルにもある「フード・マイレージ」に関する基礎的なグラフ等を紹介していきます。

フード・マイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた単純な指標(例えば、20トンの食料を50km輸送してきた場合のフード・マイレージは、20×50=100トン・キロメートル)で、これに、二酸化炭素排出係数を乗じることにより、その食料の輸送によって排出された二酸化炭素の量を推計することができます。
つまり、食料の輸送に伴う環境への負荷の大きさを定量的に把握できるのです。

私が農水省・農林水産政策研究所在勤中に、最初に輸入食料のフード・マイレージを計測したものが、以下のリンク先のグラフです。
(2001年値。その後、日本については2010年の数値を追加。)

2001年における日本の輸入食料のフード・マイレージを試算すると、約9000億トン・キロメートルとなりました。これは、日本国内における1年間の全ての貨物輸送量の約1.6倍に相当します。

また、諸外国と比較すると、韓国・アメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約5倍、フランスの約9倍と、際立って大きくなっています。(なお、輸入食料のフード・マイレージが世界一大きい国は、人口大国の中国と思われます。)

さらに、日本の輸入食料のフード・マイレージを品目別にみると、飼料穀物(とうもろこし等)や油糧種子(大豆、菜種等)が大きな部分を占めていることが分かります。つまり、戦後、日本人の食が欧米化(米の消費半減、畜産物や油脂の消費急増)したことが、際立って大きな輸入食料のフード・マイレージの背景にあるのです。

また、2010年の日本の輸入食料のフード・マイレージは若干減少していますが、これは、近年における世界的な食料価格の高騰に伴い、輸入量が減少したことによるもので、私たちの食が、長距離輸送された大量の輸入食料に支えられているという状況は、残念ながら変わっていません(平均輸送距離は、むしろ永くなっています)。

このように、フード・マイレージは、私たちの食のあり方(どのような食生活を選択するか)が、地球環境問題とも関わっていることに気付くヒントとなるものです。

次回も、輸入食料のフード・マイレージについての説明を続けます。

[参考]
フード・マイレージについての少し詳しい説明
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-gaiyou.html

フード・マイレージ関係資料(発表論文等)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

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