2015年8月27日(木)の終業後は池袋へ。
西口の繁華街、ビルの8Fにある「バー・クオーレ」(Bar Cuore)。分厚い木の扉を開けると、夜景のきれいに見えるお洒落なスペースです。
今夜は、ここが農業ビジネス研究会「晩夏の対談!若手野菜農家×若手八百屋 旬のおいしい野菜へのこだわりとお客様とのつながり」と題するイベントの会場です。
主催は農業情報総合研究所。
大学生等とも連携し、農・食・環境に関する情報発信等の活動をしているNPO法人です。
19時過ぎ、農業情報総合研究所の植村春香理事長から、開会の挨拶と、2人の発表者の紹介がありました。
山木幸介さん(写真右)は、千葉・山武市で有機野菜を生産されている「三つ豆ファーム」の代表の方。
千田(ちだ)弘和さん(中央)は、三軒茶屋駅前の商店街にある八百屋「三茶ファーム」の代表です。
お二方とも、素敵なデザインのウェブサイトを運営されています。
続いて参加者から自己紹介。
会社経営者、税理士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、栄養士、料理教室をされている方など、多彩な方々が20名ほど。香川・高松から来られたという税理士の方は、ご自身も野菜作りをされているそうです。
そして事務局の茂木正光さん(行政書士/司法書士)の進行により、対談がスタートしました。
まず、お互いに相手を紹介。
千田さん
「山木さんは同い年の1977年生まれで、千葉・山武で就農されて11年目。3年ほど前、八百屋を始める前に遊びに行って知り合った。有機農家が多い地域。就農されたのは、インドでの衝撃的な体験がきっかけとなったと伺っている(笑)」。
山木さん
「千田さんは、IT関係のサラリーマンから独立し起業。『ネオ八百屋三銃士』の一人。三茶ファームは駅近くのアーケードにあるが、自分でみて選べるという八百屋さんの楽しみが分かる店。ただ、先日行った時も千田さんは不在だった(笑)」。
(補足的に自己紹介を)
千田さん
「青森の出身だが、上京して食べものが美味しくないと感じた。途上国に行くと、食の重要さ、食は生きるペースであることを実感する。次第に自分の中で食や農業に対する関心が高まってきた。
サラリーマン(SE)をやめて自分で1年ほど畑をやってみたこともあるが、自分は作っている人をサポートする方が向いていると思い、八百屋を始めてから2年半。IT関係から農業関係へ、という人は割と多い」
山木さん
「2.5ヘクタールほどの野菜経営。妻とパート2人、研修生1人で年間70品目ほどを栽培している。大学院で水質浄化を学んでいた時、インドに行って自らの人間力の無さを思い知らされた。
帰国して分かりやすく人の役に立つ仕事に就きたいと思い、池袋で『新農業人フェア』に参加したことをきっかけに千葉で研修することに。その後、独立。地元の『師匠』が農地や農業機械の面倒をみてくれた。有難かった」
(こだわっていること等は)
山木さん
「無農薬だから美味しい、という訳ではない。味の決め手は品種、旬、鮮度。
それでも無農薬にこだわっているのは、土を大事にし、持続可能な農業をしたいから。農薬を使っていない畑に入ると気持ちがいい。色んな生きものが美味しい野菜をつくってくれていると感じる」
「現在は、ほとんどが個人宅配。半分は事務作業になるが、多種類・小面積の経営でも成り立つ。
毎月、代々木公園で開催しているアースディマーケットにも、野菜とともに私たちの姿を見てもらう場と思って参加している」
千田さん
「対面販売ということを大事にしている。年間、約50軒の農家と直接取引しているので、どのような生産者か、どんないい野菜か、ストーリーをお客さんに伝えることができる。同じものでも、より美味しく食べて頂けるように手助けができればと思う。
「店は、ほとんど2人の女性に任せてある。1人は管理栄養士でレシピなども作ってくれている。顔なじみになることで信頼感、安心感も生まれる。結局、大事なのは人と人との関係、つながり」
(今後の展望など)
山木さん
「使いやすさ、畑への来やすさを追求していきたい。惣菜加工等も手掛けたい。
さらに、消費者、料理人、地元の方達(先輩農家、後輩の新規就農者)との交流にも力を入れていきたい。色々なイベントも実施しているが、参加者の多くは以前からの顔見知りの方。もっと多くの方に来て頂けるように、離れに泊まることができるような家を探しているところ」
千田さん
「将来については、正解はないし前例もない。自分たちの姿をみて、若い人たちが八百屋を始めるきっかけになれば嬉しいと思っている」
20時30分を回り、会場との質疑応答。
実際に新規就農されている方、「ネオ八百屋三銃士」の他の2人の方との間でも、興味深いやりとりがありました。
21時近くなって懇親会に。
野菜ソムリエの増田さん((有)こだわり屋)が調理して下さった山木さんの野菜が並びます。
その増田さんの音頭で乾杯。
スティックカットのきゅうりとミニトマト、坊っちゃんカボチャとキタアカリの煮物に焼きナス、つるむらさきのにんにく炒め、モロヘイヤのスープなど。
手作りの味噌を持って来て下さった料理教室主宰者の方も。
会場を提供して下さったバー・クオーレの燻製や飲み物とともに、美味しく頂きました(このお店、ウィスキーなど大変な種類があります)。
農業ビジネス研究会には、これまで何度か参加させて頂きましたが、幅広い方達と交流できることがこの研究会の醍醐味です。
参加者の多くは、農業や食べものとは直接関連のない業種、職種の方ですが、そのような方達が、今、農業や食べ物に強い関心を寄せるようになっており、具体的なアクションも起きつつあるのです。
例えば、この日、偶然、隣り合わせた方は事務・光学機器メーカーの会社員の方ですが、日本農業のために何ができるか社内で色々と検討されているとのこと。
また、研究会では、日本(東京)に合ったCSA(地域支援型農業)のあり方についての研究等もされているそうです。
日本の食料や農業についての固定観念が打ち破られ、新たな可能性を感じることができた一夜でした。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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