F. M. Letter No.112; 2017.2/11(土)掲載
フリーライターの眞鍋じゅんこさんは東京生まれ。夫でカメラマンの鴇田康則氏とともに30年来、農山漁村や都会の「秘境」に足を運び、農林漁業者や職人さんを対象に生業や暮らしについてインタビューし、記録されている方です。
その幅広く奥深い取材結果は、多くの書籍や雑誌で発表されています。
例えば『中古民家主義』(2008年交通新聞社、鴇田康則氏との共著)は、「実は都会の風景の中身こそが、今まさに消えゆこうとする秘境だったのだ」として、町工場、長屋、銭湯、下宿、赤線建築など、私達の暮らしの隣にあって今や失われつつある住まいや建物、そこで営まれてきた生業の様子を丹念に取材されています。
素敵な写真とイラストと相まって、そこに住む(住んでいた)人たちの息吹きが伝わってくるような好著です。
各地で講演会も開催されています。
例えば2015年11月27日(金)に東京・渋谷で開催された「市民科学講座・日本の暮らしの魅力の探り方を語る」(主催:NPO法人市民科学研究室(市民研))では、ご主人が撮影した写真を映写しながらのお二人によるスライドトークでした。
全国各地の多くの魅力的な人々の姿や光景が次々と映されますが、とても予定の2時間半では全ては伝えきれなかったようです。
さらに、NHK 文化センターなど各地のカルチャー教室が主催する「東京湾岸歩き」「商店街・門前町今昔散歩」「東京写真さんぽ」など、独自の視点で農山漁村や都会を実際に歩いて体験するワークショップ等も、毎月数回、開催されています。
去る1月26日(木)には、やはり市民研の主催による「健康まちづくりまち歩き第5回-神田川沿い(日本医学教育歴史館を含む)」が開催され、眞鍋さんに解説を頂きながら日本最古の大学(湯島聖堂)や鬼門封じ神社(神田明神)をめぐりました。
なお、眞鍋さんは水産庁長官により「お魚かたりべ」に任命されており、日本の魚食文化の普及・伝承にも取り組んでおられます。
「面白いことや人を見つけると、じっとしていられない」という性格の眞鍋さん。
これからも様々な地域を訪ねられ、ご主人の素敵な写真とともに、国内外の多くのマチやムラ、ヒト達の姿を伝えていって頂きたいと思います。
[参考]
公式ブログ『眞鍋じゅんこのまっすぐには歩けない』
http://minamida.exblog.jp/