【ブログ】「街の木ものづくりネットワーク」(マチモノ)設立記念収穫祭

2017年6月25日(日)は東京・世田谷区の三軒茶屋へ。
 少し早めに着いたので、駅から直結するキャロットタワーの26Fに上がってみました。
 カフェなどもあり、地域の方達の憩いの場になっているようです。この日は一日、曇り空でしたが、雲の切れ目から西日が射し込んでいました。

そのキャロットタワーの4Fにある世田谷文化生活情報センター・生活工房ワークショップルームの入り口脇には、「一般社団法人 街の木ものづくりネットワーク設立記念収穫祭」の看板。
 木の葉などもあしらわれている手作りの素敵な看板です。

街で伐られる木(街路樹や屋敷林等)を活かすため、製材・木工ワークショップ、街の自然の恵みを活かす食のイベント、伐採予定木の診断・活用相談等の活動をされていた「街の木を活かすものづくりの会」(マチモノ)が、このたび「街の木ものづくりネットワーク~マチモノ~」として一般社団法人化され、それを記念する収穫祭パーティーが開催されたのです。

19時を回って開会。
 代表の湧口善之さんから、これまでの取組み等についてのプレゼンも兼ねつつ、挨拶。

「伐採したら処分されてしまう街の木のあり方を問い直したいと思い、活動を続けてきた。街の木を活かすことで街づくりができる。
 街の木はまっすぐではないなど、活用するのは難しい。しかし街の木を活かすことをきっかけに、専門家、地域住民やボランティアグループの間をつなぐことで、街づくりができる。木に対する理解も進む。社団法人マチモノとして、ネットワークづくりを通じて新しい価値を創っていきたい」

そして「このような活動は、横山夫妻の熱意があったからこそ」と、お2人の理事を紹介されました。

ヨコヤマタカシ理事からは「感謝の気持ちしかない。出番を待っている街の木も人も多く、これまでの取組みを加速していきたい」等の挨拶。

司会役も務められていたヨコヤマメグミ理事からは「1本の木をきっかけにして仲良くなれる。ふれあいが心地よい。そんなシンプルな目的も持って活動していきたい」等の決意表明。
 会場からは大きな拍手です。

マチモノの取組みに「惚れ込んで」監事に就任されたという都市計画家の林泰義さんからも挨拶。
 続いて来賓の千葉晋也さん(世田谷まちづくりファンド運営委員、(株)石塚計画デザイン事務所 東京事務所所長)、土肥真人さん(エコロジカル・デモクラシー財団代表理事、東京工業大学准教授)からの祝辞が続きます。土肥さんは即興でお祝いのラップを披露して下さいました。

ここで、会場後方から「収穫隊チーム」が入場。ここでも大きな拍手。
 プロの料理人やお菓子職人を含む方達が、木の実や「ご縁のある野菜」を使い工夫を凝らして準備して下さったメニューが並べられました。

お皿やトング、食器を置く台、お料理の名前が書かれたプレート等も木製品です。
 世田谷区の山桜やシラカシなど、街で伐られた木がここで活かされていると思うと、それだけで暖かい気持ちになります。

メニューの一部を紹介すると、マテバシイ(食用どんぐりの女王と呼ばれているそうです。)のどんぐりパンは黒糖が併せられているとのこと。くさいちご酵母パンラスク。天然酵母は、街の木の果実、梅、桑の実、ヤマモモから起こしたものだそうです。

うずらの卵とナッツの燻製、それに燻製塩は、民家にあったソメイヨシノのチップが使われているとのこと。シラカシとクヌギチップの燻製豆腐は、工事現場で伐られたシラカシやクヌギのチップだそうです。どんぐり羊羹(マテバシイのペースト入り)。

色鮮やかなたっぷりのサラダは、世田谷区喜多見の農園の野菜等が使われています(生産者の方も見えられていました)。自家製ポン酢等を使ったジュレドレッシングで仕立てられています。同じ農園のナスと枝豆は「かわいい田楽」に。ミニトマトは寒天寄せ(梅蜜と白だし入り)でも頂きました。
 街中の屋上農園で収穫された野菜も使われています。

イベリコ豚の塩釜焼きには、地元産のローリエやローズマリーの香りが包み込まれています。
 ほかに、赤飯やお寿司などご飯ものも。

宮地成子さん(場所づくり研究所『プレイス』)の音頭により乾杯、そして懇談。
 途中、赤池円さん((有)グラム・デザイン代表取締役、私の森.jp 編集長、NPO法人森づくりフォーラム理事)からお祝いのスピーチ。三重県から来られた武田誠さん(武田製材)からも。
 樹木医の岩谷美苗さんは、余興として簡単な実験も披露して下さいました(岩谷さんのブログによる報告はこちら)。

ところでこの日の参加費は、4995円。なぜ、こんな中途半端な金額なんだろうと思っていたのですが、お釣りをもらって腑に落ちました。
 5円玉の穴に薄いピンク色の紐が通され、結ばれているのです。この日発足したマチモノと、その記念すべき会に参加できた私たちとの「ご縁」が結ばれた証ということのようです。

このようなアイディア(遊び心)もちりばめられ、主催者やスタッフの皆さんの心のこもった暖かい手作りのパーティー。会場は参加者全員の熱気であふれていました。

日本の木材自給率は近年上昇しているとはいえ、まだ食料自給率(カロリーベースで39%)より低い33%。貴重な資源である国産材は十分に活用されておらず、山村地域は人口流出が進み限界集落(嫌な言葉ですね。)と呼ばれる多くの地域が全国各地にあります。

そのようななか、さらに本格化・加速化するマチモノの取組み。
 身近な樹を活かすことを通じて、都市に住む人たち(私もその1人)の木材や森林、ひいては山村地域の現状等についての理解が進むきっかけにもなることも期待したいと思います。