【ほんのさわり】山本紀夫『ジャガイモのきた道』

山本紀夫『ジャガイモのきた道』(2008.5、岩波新書)
https://www.iwanami.co.jp/book/b225922.html

民族植物学を専門とする筆者(国立民族学博物館名誉教授)の「ジャガイモ愛」に溢れている本です。
「イモ」については、日本人は「洗練されていない」等の良くないイメージを持っているだけではなく、ヨーロッパでは「悪魔の植物」「聖書に載っていない植物」として忌み嫌う国さえあるなど、二流の食べものといった偏見に満ちているとのこと。

しかし、ジャガイモは世界中で広く栽培されている重要な作物(栽培面積は第4位)として、多くの地域の食料供給と人口を支えていることについて、原産地であるアンデス、導入されたアイルランドやヒマラヤ等の丹念な現地調査を通して明らかにしています。

そのジャガイモと日本の関わりは、17世紀前半にオランダ船によってジャワ島から長崎に伝来したのが最初。
その後、日本各地に広まっていくのですが、その普及に大きく貢献したのが、18世紀後半に甲州(山梨県)の代官を務めていた中井清太夫という人物でした。
清太夫は、天明の飢饉(1782~87)のおり、幕府に陳情して九州から種イモを取り寄せてジャガイモの栽培を奨励し、食糧の確保に尽力したのです。

甲州の人々は、清太夫を偲んでジャガイモのことを「清太夫イモ」「セイダイモ」等と呼ぶようになりました。上野原市の龍泉寺には、清太夫を「芋大明神」として讃える碑が残されています。
また、甲州以外の地域では、ジャガイモのことを「甲州イモ」とも称することもあったようです。

現在の山梨県には「せいだのたまじ」という郷土料理があります。
ネガタというジャガイモ(せいだ)の小ぶりのもの(たまじ)を甘辛い味噌で煮たもので、なかなか美味です。
先に紹介した「びりゅう館」の定番メニューであり、さいはら祭りでも頂くことができると思います。

[参考]
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-ほんのさわり」
http://food-mileage.jp/category/br/