【ほんのさわり】末松広行『日本の食料安全保障』

−末松広行『日本の食料安全保障−食料安保政策の中心にいた元事務次官が伝えたいこと』(2023/4、育鵬社)−
 https://ikuhosha.co.jp/book/ikh093143.html

【ポイント】
 食料安全保障施策の「現場」にいた元農水省行政官が、消費者を含む関係者に向けて忌憚のない意見(私見)を述べるとともに、傾聴すべき提言を行っています。

著者は1959年埼玉県生まれ。2008年に新設された農林水産省・食料安全保障課の初代課長、後には農林水産事務次官を歴任するなど、まさに日本の食料安全保障施策の立案と運用の「現場」の中心にいた元行政官です。… 続きを読む

【ほんのさわり】寮 美千子(文)『ぼくが子どものころ戦争があった』

−田中幹夫(原作)、寮美千子(文)、真野正美(絵)『ぼくが子どものころ戦争があった−「いくさの少年期」より』(2024/7、ロクリン社)−
 https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=258550

【ポイント】
 実話を基にした絵本。淡々とした文と絵が、79年目の8月に、改めて平和や食べものの大切さを教えてくれます。

1933年福井県生まれの原作者(弁護士)の体験を基にした絵本。帯には「戦争体験を語れる最後の世代から、これからの日本をつくる世代へどうしても伝えたいこと」とあります。… 続きを読む

【ほんのさわり】太田昌秀『決定版写真記録 沖縄線』

−太田昌秀『決定版写真記録 沖縄線』(2014/5、高文研)−
 https://www.koubunken.co.jp/book/b202015.html

【ポイント】
 沖縄戦では、動員された学徒を含む多くの子どもたちが命を落としました。その惨劇の記憶が、現在も子どもを「宝」として大切にする想いにつながっているような気がしてなりません。… 続きを読む

【ほんのさわり】河合雅雄『子どもと自然』

−河合雅雄『子どもと自然』(1990/3、岩波新書)−
 https://www.iwanami.co.jp/book/b267932.html

【ポイント】
 著者は、子ども時代には、36億年もかかって創り出された様々ないのち(自然)の中に自分を位置付けて考える機会が必要としています。

著者は1924年兵庫県生まれの霊長類学者。京都大学名誉教授、(財)日本モンキーセンター所長等を歴任し、2021年に逝去されました。… 続きを読む

【ほんのさわり】アリス・ウォータース『スローフード宣言』

−アリス・ウォータース『スローフード宣言−食べることは生きること』(2022/11、海士の風)−
 https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=05_90993402/

【ポイント】
 著者はファストフードとスローフードを対峙させつつ、「食べることは生きること」「何を食べるかが世界に大きな影響を与える」と主張しています。

1971年、著者はアメリカ・カリフォルニア州バークレーに「シェ・パニーズ」をオープンしました。オーガニックとローカルをコンセプトに「顔のみえる食材」を提供するレストランは、現在、最も予約が取りにくい店と言われているそうです。… 続きを読む

【ほんのさわり】岩井吉彌『山村に住む、ある森林学者が考えたこと』

−岩井吉彌『山村に住む、ある森林学者が考えたこと』(2021/5、大垣書店)−
 https://www.books-ogaki.co.jp/post/38904

【ポイント】
 日本の林業・森林が急速に荒廃している元凶は林業経営の採算の厳しさにあるとし、今後は「家族林業」による副業を重視し、さらに都市住民の森に対する関心の高まりに注目しています。

著者は1945年京都生まれ。実家は北山杉で有名な京都市北山で代々林業を営んでおり、自身も林業経営と大学教授という「二足のワラジ」を履いてこられた方。… 続きを読む

【ほんのさわり】真田純子『風景をつくるごはん』

【ポイント】
 都市と農村の不平等な関係を解消するためには、環境や風景に配慮した農産物が生産され、それらを消費者が積極的に選択すること(風景をつくるごはんを食べること)が必要としています。

−真田純子『風景をつくるごはん−都市と農村の真に幸せな関係とは』(2023.10、農山漁村文化協会)−
 https://toretate.nbkbooks.com/9784540231247/

著者は1974年広島・福山市生まれの東京工業大学教授(景観工学)。2013年には農地の石積み技術を継承するため「石積み学校」を立ち上げられました。… 続きを読む

【ほんのさわり】青木美希『なぜ日本は原発を止められないのか?』

−青木美希『なぜ日本は原発を止められないのか?』(2022.11、文春新書)−
 https://bunshun.jp/articles/-/67655

【ポイント】
 日本が原発を止(や)められないのは、原子力ムラが存在しているから。しかし原発は巨大だから変えられないというのは嘘で、推進する勢力は一部だけ。

著者は札幌市出身。地元新聞社を経て全国紙に入社後は東日本大震災・原発事故の現場を取材し、「手抜き除染」の告発報道等に携わられました。現在も個人の立場で、学生時代からのライフワークである原発問題の取材を続けておられます。ちなみに祖父は電力会社勤務、父親は大学工学部の教授として原発に代わる発電方法の研究をされていたそうです。… 続きを読む

【ほんのさわり】蔦谷栄一『生産消費者が農をひらく』

−蔦谷栄一『生産消費者が農をひらく』(2024.1、創森社)−
 https://www.soshinsha-pub.com/bookdetail.php?id=436

【ポイント】
 著者は、「生産消費者」がキーとなって「農的社会」を広めていくことが、日本の世界的・歴史的な役割であり責務であるとしています。

著者は宮城県出身。農林中央金庫熊本支店長、農中総研特別理事等を歴任し、現在は農的社会デザイン研究所を主宰し、様々な活動に取り組んでおられます。… 続きを読む

【ほんのさわり】平賀 緑『食べものから学ぶ現代社会』

−平賀 緑『食べものから学ぶ現代社会−私たちを動かす資本主義のカラクリ』(2024.1、岩波ジュニア新書)−
 https://www.iwanami.co.jp/book/b638607.html

【ポイント】
 まずは資本主義のカラクリを知り、その逆を、自分から主体的に行くことで、人も自然も壊さない経済を草の根的に広げていけると著者は訴えています。… 続きを読む

【ほんのさわり】吉井たくみ『鷹のつらきびしく老いて 評伝・村上鬼城』

−吉井たくみ『鷹のつらきびしく老いて 評伝・村上鬼城』(2023.9、朔出版)−
 https://saku-pub.com/books/taka.html

【ポイント】
 著者は「『真情の俳句』を詠んだ村上鬼城の世界観は、これからの持続可能で新しい世のなかを導く一つの力になるのではないか」としています。… 続きを読む

【ほんのさわり】吉田俊道『図解でよくわかる 菌ちゃん農法』

−吉田俊道『図解でよくわかる 菌ちゃん農法−微生物の力だけで奇跡の野菜づくり』(2014.1、家の光協会)−
 https://www.ienohikari.net/book/9784259567828 

【ポイント】
 菌ちゃん(微生物)の力を借りた元気野菜づくりについての、初心者にも分かりやすいガイドブック。市民農園や家庭菜園での野菜作りにも、大いに重宝しそうです。… 続きを読む