【ほんのさわり】菅野正寿、原田直樹『農と土のある暮らしを次世代へ』

-菅野正寿、原田直樹『農と土のある暮らしを次世代へ』 (2018.7、コモンズ) -
 http://www.commonsonline.co.jp/books/books2018/201807no_to_tuchi_noaru_kurashi.html

編著者は、福島県有機農業ネットワークの前代表である二本松市東和地区の農家と、日本有機農業学会理事を務める新潟大学教授の2人。… 続きを読む

【ほんのさわり】早川タダノリ編著『まぼろしの「日本的家族」』

-早川タダノリ編著『まぼろしの「日本的家族」』(2018.6、青弓社)-
 https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234377/

編著者は1974年生まれ。フィルム製版工などを経て現在は編集者。
 本書においては、近年、自民党の「日本国憲法改正草案」(2012年)に代表される右派の言説において「伝統的家族像」が理想的なものとして推奨されているとし、その事例として、食育の第一人者・H氏(本書中では本名で登場)の以下のような発言(概要)が取り上げられています。

「昔、朝と晩の二回は一家団欒で食卓を囲んだものでした。みんなで食事をすることこそ家族なんです。憲法は個人だけを強調することで、家族をバラバラにして、その流れの中で食卓も崩壊しているのです」… 続きを読む

【ほんのさわり】古川日出男『馬たちよ、それでも光は無垢で』

-古川日出男『馬たちよ、それでも光は無垢で』(2018.2、新潮文庫)-
 https://www.shinchosha.co.jp/book/306073/

作者は1966年、福島・郡山市生まれ。実家はシイタケ農家で、原発事故の際には出荷制限を課されたそうです。
 2011年3月11日、作者は取材のために京都市に滞在していました。
 最初は「関西でも長い地震はあるのだな」と感じただけでしたが、ホテルに戻ってテレビを付けたとたん画面に釘付けになります。火柱を噴き上げるコンビナート、水没した空港の滑走路、茶色い濁流に呑み込まれる無数の車輛・・・。… 続きを読む

【ほんのさわり】網野善彦『日本社会の歴史』


-網野善彦『日本社会の歴史』(上、中、下、1997.2、岩波新書)-
 https://www.iwanami.co.jp/book/b268321.html

前項(オーシャンカレント欄)のとおり、米(稲作)は日本の歴史において重要な地位を占めていますが、これについては異論もあります。その代表がいわゆる「網野史観」です。
 日本中世史を専門とする網野は、非農業民(漁民、職人など)に着目することで、日本を農業国家とする通説(農本主義)に異を唱えました。また、稲作祭祀を司る天皇の支配権力が及ばない「無縁、公界、(くがい)、楽」等の存在も明らかにしています。

本書下巻の最終章では、痛烈な「農本主義」批判が展開されています。… 続きを読む

【ほんのさわり】小松理虔『新復興論』

-小松理虔『新復興論』(2018.9、ゲンロン叢書)-
 https://genron.co.jp/books/shinfukkou/

東日本大震災と原発事故による被災が今も継続している「福島」の復興について、心に引っかかりを感じている人にとっては必読の書です。
 潮目の地・いわきの歴史と宿命、アート、障害福祉などの広範な観点から、復興(イコール地域づくり)が語られています。なお、400ページ近い大著ですが、文章は平易かつ明晰で、非常に読みやすい本です。

小松さんは食品メーカーに勤務する「当事者」だったこともあり、食についても多くのページが割かれています。… 続きを読む

【ほんのさわり】蔦谷栄一『未来を耕す農的社会』

蔦谷栄一『未来を耕す農的社会』(2018/9、創森社)

著者は1948年宮城県生まれ。(株)農林中金総合研究所で永く調査・研究に携わられた後、現在は自ら設立した農的社会デザイン研究所の代表を務めておられます。
 本書は著者にとっての13冊目の単著で、前著『農的社会をひらく』から2年半の間の実践や思索の成果を踏まえ、農的社会(生命原理を最優先する社会)をいかにして創造していくかを、理論と実践(ノウハウ等)両面から広範に論じられています。… 続きを読む

【ほんのさわり】国木田独歩『武蔵野』

-国木田独歩『武蔵野』(1949/5、新潮文庫)-
 https://www.shinchosha.co.jp/book/103501/

国木田独歩(1871~1908)は千葉・銚子に生れ、山口、広島で少年時代を過ごした後に上京。新聞記者を経て詩人・小説家になりましたが、自然主義文学の先駆者と位置づけられています。

独歩の代表作である『武蔵野』は明治31(1898)年に刊行されました。

当時、渋谷に住んでいた独歩は、画や歌に描かれるほどの武蔵野の現状を自分の目で確かめるため、ある年の秋の初め、汽車を境で降り、そこから歩いて桜橋に向かいました(現在、文学碑のある場所です)。… 続きを読む

【ほんのさわり】正岡子規『仰臥漫録』

-正岡子規『仰臥漫録』(1983/11、岩波文庫)-
 https://www.iwanami.co.jp/book/b248901.html

 病床において子規は多くの優れた随筆・日記文学を残しますが、その一つ『仰臥漫録』(ぎょうがまんろく)は他人に見せることを想定していなかった私的な日誌であるため、子規自身の率直な思いや身の回りの出来事が綴られています。
 自ら寝返りを打つこともできない子規は、仰向けに寝たまま、日々食べたものについても克明に記録しました。

例えば, … 続きを読む

【ほんのさわり】原田信男『コメを選んだ日本の歴史』

-原田信男『コメを選んだ日本の歴史』(2006/5、文春新書)-
 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166605057

1949年生まれの著者の専門は生活文化史で、食文化についても多くの著作があります。本書は、日本の歴史を通して、いかに米が大きな役割を果たしてきたかを明らかにしています。

弥生時代に渡ってきた水田稲作システムは、日本の人口や社会に大きなインパクトを与えました。
 その生産力の高さにより社会的剰余を生み出すことで、クニ(古代国家)の形成が始まり、やがて激しくなった戦争(軍事力の背景にも米がありました。)を経て統一国家(ヤマト政権)が成立します。… 続きを読む

【ほんのさわり】藤原 彰『餓死した英霊たち』


-藤原 彰『餓死(うえじに)した英霊たち』(ちくま学芸文庫、2018/07)-
 http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480098757/

1922年東京に生まれた著者は、陸軍士官学校を卒業して中国各地を転戦。復員後に東京大・文学部史学科に入学し、後に一橋大教授等を務められ、2003年に逝去されました。

太平洋戦争における日本軍人の戦没者は … 続きを読む

【ほんのさわり】斎藤 美奈子『戦下のレシピ』

斎藤 美奈子『戦下のレシピ-太平洋戦争下の食を知る』(2015/7、岩波現代文庫)
 https://www.iwanami.co.jp/book/b256540.html

1956年新潟生れの文芸・社会評論家である著者による「戦争中の食の世界へあなたを誘うガイドブック」です。
 著者は、戦下においても発行され続けた婦人雑誌に掲載された食や料理に関する記事をたんねんに調べました。… 続きを読む