「までい(真手)」とは、左右揃った手、両手という意味の福島県北部地方の方言です。
例えば「食べものはまでいに(大切に)食べなさい」「子どもはまでいに(丁寧に)育てなさい」「仕事はまでいに(しっかりと)しなさい」等と使われるのだそうです。
福島・飯館村(いいたてむら)は、2004年に策定した第5次総合振興計画書において、「手間ひまを惜しまず」「丁寧に」「時間をかけて」「じっくりと」「つつましく」暮らす“までいライフ(MADAY LIFE)” を村づくりの基本理念に位置づけました。
これは、ふるさと・飯舘村が本来持っている歴史や風土を今一度見直し、人間本来の楽しい「暮らしぶり」や「生きざま」をつくりあげようとするものです。
このような独自の村づくりに取り組んでいるさなか、2011年3月の福島第一原発事故により、全村避難を余儀なくされたのです。
それから6年後の今年(2017年)3月31日、一部の区域(帰還困難区域に指定されている長泥地区)を除いて飯舘村の避難指示が解除されました。これを受けて、まだ数としては少ないものの、帰村して農業や暮らしを再開する人が徐々に増えています。その一方で、帰村政策に批判的な村民の方たちもおられるのが現状です。
経済優先・効率優先への反省として出てきた「スローライフ」の日本版とも言える「までいライフ」に基づく飯舘村が再生していく姿を、これからも注目していきたいと思います。
[参考]
飯舘村 第5次総合振興計画書「大いなる田舎までいライフ・いいたて」
http://www.vill.iitate.fukushima.jp/soshiki/1/39.html
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-オーシャン・カレント」
http://food-mileage.jp/category/pr/
(出典:フード・マイレージ資料室 通信 No.131、2017年11月18日(金)[和暦 神無月朔日]発行)